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【一部完】世界を救っているのに自分は気づかない話  作者: おむすびさん
一章【孤高の魔術師編~ただのボッチ~】
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プロローグ


 ソーディア王国の名門魔術師一家にして、法衣貴族だが侯爵位を持つ男の三男(庶子)に転生して15年。

 今はカイとだけ名乗っているが、本名はもっと長い。


 俺が前世の記憶?を思い出したのは5才の頃だ。


 前世の記憶といっても、自分の周りの人間や自分が通っていた学校や職場の事、どんな風に生活していたかや、どうして死んだのかの自分自身の記憶はない。


 覚えているのは漫画やWeb小説を読んでいたり、映画やアニメ、テレビ等を観たり、ゲームを楽しんでいる記憶だけだった。


 思い出したおかげで、四則演算は出来るようになった。

 ゲームやクイズ番組で四則演算を使うゲームや問題があったからだ。

 それに文字も日本語に近く、法則性を見つけたのですぐに覚えられた。


 文字も覚えたので、俺は魔法を使ってみたいと思ったし、今から鍛えたら俺tueeeできるかも…なんて事を考えた。


 屋敷の図書館にあった「誰でもできる魔法入門書(※出来なければ才能ないので、別の道を選んでください)」を読んだ。


 ツッコんだら負けな気がしたので、無視して本を開いた事を今でも覚えている。


 魔法書には魔法は十才になってからと注意事項があったが、理由は書いてなかった。


 幼児に殺傷能力を持たせるのは危険だもんなと自分かりに推測して魔法の勉強と訓練を始めた。

 魔法属性は火、水、風、土、雷、氷属性の基本属性と光、闇属性の上位属性があり基本属性の判別方法が書いてあったので試した。


 試した結果、俺の属性は雷属性だけだった。


 火から順番で試して、土まで無かった時は泣きそうになったが、雷があってほっとし、小説みたいに全属性じゃないのかよ!とツッコんだ気がする。


 人の欲望には最限がない…


 魔法の勉強や訓練は捗った。

 初級雷魔法や身体強化を出来るようになったし、魔力も最初の頃より大きくなった。


 魔法だけではなく、肉体の強化も忘れない。


 午前中は肉体の強化をした。朝起きて柔軟を30分くらいして、体が強くなる訓練方法の本があったので、庭で走ったり筋トレをしたりしていた。

 初めの頃はあまり出来なかったが日々出来る量が増えていき少しずつできるようになった。


 兵士に剣や槍の訓練をつけてほしかったが、まだ早いらしくやんわり断られた。


 そんな生活をして2年たった。

 努力の末、この頃には雷の下級魔法を覚えたし、本に書いてあった訓練方法もできるようになった。


 魔法は、初級、下級、中級、上級、最上級とある。もしかしたら発見されていないだけで、伝説級、神話級なんてものがあるかもしれない。


 下級といっても、普通は10才から初めて15才くらいで覚える魔法だ。

 俺が人族初の伝説級や神話級を使ってやるぜ。なんて事を考えていた。


 優秀な俺だったからか、勉強(まだ四則演算や、文字と魔法の勉強だけだけど)もできるし、魔法も使えて、体力もあるので別邸の人からは、麒麟児なんて呼ばれていた。



 そんな噂を聞いたからなのか、父上が俺を呼んでいるらしく、王都にある本邸に引っ越した。


 ※カイは本邸と別邸を勘違いしてます。


 本邸に引っ越す前日は、会うのが楽しみで眠れなかった。


 父上はこの国の四強の一人で、王国一の魔術師だった。

 最上級火魔法と雷魔法を使えるし、いろんな事を教えてもらえると期待したからだ。

 馬車のなかで寝てしまったが、何事もなく本邸に到着した。


 この時、俺自身は初めて血の繋がった家族を見る事になる。


 母上は俺を産んですぐにいなくなっていた。

 母上は立派な方でお強い方くらいしか、誰も話したがらないので詳しい事は知らない。


 俺の耳は少し尖っているので、母上はエルフとかで訳ありなんだろうと推測している。



 父上に挨拶していろんな話をした。

 そのなかで悲しい事実をいくつか知る事になった。


 母上の事を聞いたら遠い目をした後、成人(15才)になったら教えてやると言われた。

 もしかしたらと覚悟していたが、母上は亡くなっているのだろう。

 覚悟はしていたが悲しかった。


 話の中で悲しく、そして衝撃的だった話が魔法が10才から習わないといけない理由だった。


 予想していた理由もあるが、1番の理由は小さい頃から魔法を使ったり、訓練をして魔力が増えると、身体が大きくなりずらくなるとのことだ。


 魔力は体の質量が大きいほど、大きくなりやすいらしく、一流の魔法使いや魔術師と呼ばれる人は大きい人が多い。


 身体を大きくした後に魔力を高めて圧縮した方が、結果的に魔力が大きくなるらしい…


 王国一の魔術師である父上はゴツい。

 父上に会った時、ボディビルダーなんですかと思ったほどだ。


 また筋トレも良くなかったみたいだ。筋トレも成長を阻害するらしい…

 俺はどうやら、同じ年の人と比べるとかなり小柄だった。


 枕を涙で濡らした。



 それに本邸での暮らしは辛かった。


 父上は俺を鍛えるつもりで呼んだみたいだった。俺のこれまでの生活を聞いてガッカリされていた。


 それに冒険者になりたいと言ったので、魔術師にする事を諦めて、俺に一切の感心を示さなくなったのか帰る事がほぼ無くなった。


 貴族たるもの将来使えない者に使う時間はないみたいだ。


 父上は王国魔術師団、総帥の地位なので侯爵位だが、家自体に子爵地位もあり領地を持っていた。別邸がある場所だ。


 身体が大きくなるまで内政を頑張れば、褒美として魔法を教えて貰えるかもしれないと思い、前世の記憶の書き出しと、この国や領地の勉強を頑張る事にした。


 それが義母と義兄達は気にいらないのか、勉強中に邪魔された。


 食事は残飯みたいな不味い料理だったし、サンドバッグや魔法の的にされたりもした。


 不味い飯はちゃんと食べないと、本邸の誰かが義母に報告する。

 報告されると「あなたの為」「将来の為」と言われながら、食べ終わるまで見張られる。

 苦労しながら食べる度に喜んでいた。


 サンドバッグは痛い。まぁ義兄達の魔法は初級魔法なので、少し痛いくらいなのだが、魔法に当たると魔力も少し伸びてしまう事があるので、必死で攻撃を避けていた。


 義兄達は王国魔術師を目指しているが、才能がないのか父上と訓練しているところを見た事がない。

 義兄達も見離されていたんだと思う。


 半年も過ぎると、そんな義兄達の攻撃を、ほとんど避ける事が出来ていた。

 ただ攻撃される事自体がバカらしく、内政は冒険者にあまり必要ないし、ムカつく義兄達を喜ばせる事だけだと気づいて、勉強を辞めて隠れるようになった。


 本邸は義母の味方なので、誰にも見つからないように気配を感じながら隠れて過ごした。


 初めの頃はバレてしまい、サンドバッグや魔法の的(といってもほとんど避けた)にされたりしたが、2年程たつと父上と執事以外、誰も俺を探す事が出来なくなった。

 父上と執事はそもそも、俺にかまう時間がないので、二人にバレても大して問題無かった。


 それから少しの間、細やかな復讐を始めた。

 なにが気にいらないか…された事もそうだが、三高(高身長、高収入、高顔面偏差値)の父上と結婚したとあってか、義母の見た目は綺麗なのだ。そんな両親から産まれた義兄達もイケメンだ。


 普通、いじめる義母や義兄の顔は悪いだろ!と誰かにツッコミたかった。


 ドアや椅子に電気を帯電させて、義母達を驚かせるくらいの本当に細やかな復習だ。

 帯電といっても初級雷魔法なので、静電気くらいの強さだ。


 それがバレたからなのか本邸から、元々暮らしていた別邸に戻された。



 別邸に戻ってからも嫌がらせは続いた。

 義兄達がいないので攻撃される事はなくなったが、残飯みたいな料理は続いた。


 食べなくてもバレる可能性は低いが、バレた時が面倒臭いと思いしっかりと食べた。


 隠れる必要がなくなったので、戦闘訓練をする事にした。

 魔法がダメなら武術と考え、槍術、弓術合わせて半年間、剣術を四年間習ってみたがあまり上達しなかった。


 上達したなかでもマシだったのは剣術で、この世界にはレベルやスキルレベルがないのでわからないが、普通の冒険者として通用するくらいにはなれた。と思いたい。


 先生達は父上が呼んでくれていた。剣の先生のドルク師匠もそうだ。

 冒険者には必要な技術だからとお願いの手紙を出すと叶えてくれた。少しは気にかけてくれているようだった。


 ドルク師匠は俺を「天才です」と褒めていたが、おべっかだったのだろう。


 結局ドルク師匠に一度も勝てなかったし、4年に一度ある剣術大会に出場した際に、一回戦敗退だった。


 父上の力を使って出してもらえた事に加えて、一回戦の相手はドルク師匠の弟子だった。


 兄弟子は剣術大会の一回戦キャラって感じの相手だったが、そんな兄弟子に負けてしまった。

 長時間戦ったので、ドルク師匠が瞬殺しないように頼んだのかもしれない。


 兄弟子は二回戦で負けてたし…


 別邸への帰り、ドルク師匠は「惜しかったです。頑張りましょう」等、励ましてくれたのが少し辛かった。


 辛かったが、ドルク師匠の励ましと、多少なりとも強くならないと冒険者としてやっていけない。

 そしてなにより剣術が好きだったので、例え才能がないとしても剣術は続けた。


 ドルク師匠の教え方が上手いのか、訓練をしているとドルク師匠と模擬戦をする時間は増えていたので、少しずつは上達していたと思う。

 次は二回戦進出を目指して頑張っていた。


 しかし、そんな生活が唐突に終わった。

 もうすぐで13才になる頃に辺境でモンスターパレードが起こってしまい、それを鎮圧する為に父上が向かった。

 鎮圧は出来たみたいだが、父上が亡くなったらしい。


 訃報の連絡は王国騎士団がやって来て、父上の最期を教えてくれた。


 パレードのボスだった災害級魔物との戦闘中に、助からない傷を負ってしまったが、ボスとその周辺の魔物を道連れにして逝ったらしい。


 義母からの手紙も預かってたらしく、義母が別邸に向かっているので待つように、と書いてあったのですぐに街を出た。

 その際に父上から誕生日で頂いた、高そうな剣を持っていってやった。


 これで不味い飯から解放されると思うと清々したが、ドルク師匠に別れの挨拶が出来なかったので辛かった。


 とりあえず隣の領地のランモ街を目指した。


 ランモ街へ向かっている時に、オーク3体に襲われている馬車を見つけた。


 これがテンプレってやつだなと思った。


 近付きながら討伐する流れを考えた。

 1匹目は気配を消して近づいて、オークの首を切る。2匹目は下級雷魔法で…3匹目は…と感じでイメージした。


 1匹目のオークの背面から首を剣で斬ろうとした。しっかり狙い通り攻撃できたが剣が折れてしまった。


 攻撃したオークの首からは、血なんて流れてもないし、オーク達に俺の存在がバレて、3匹のオークが俺に集中攻撃するしで大変だった。


 下級雷魔法で攻撃してみたが、オークを少しの間しか痺れさせることしか出来なかった。


 俺が囮になっている間に馬車は逃げだしたが、俺はオーク達と、追いかけっこを街道から外れた魔森でする事になった。


 魔森は大陸の西側に広がっている魔窟だ。


 魔物をトレインして街や村へ近づくと、捕まってしまうので魔森へしか逃げる事が出来なかった。


 オーク2体はデカイ狼と戦わせた。

 なかなか撒けなかったので、そうなるように誘導した。


 1体は俺について来た。これは試練だと思った。

 このままじゃオークに苦手意識が出来てしまうので、自分の手で討伐したかった。

 ゴブリンの集団にあて、弱らせてからなら討伐する事を考えていた。

 討伐は無理だったとしても、弱らせたオークから逃げきる自信はあった。


 だが5匹のゴブリンに奇襲されてオークは死んだ。まぁゴブリンも2匹死んでいたが…


 結果オーライでもあったが、最弱筆頭のゴブリンですらオークに勝つ強さがあるのだ。

 この世界の魔物は強すぎる。または俺がが弱いのか…


 またこの時モンスターパレードを、鎮圧した父上の凄さを思いしった。


 どんな魔物でも見つかったら終わるので、いつも以上に気を使いながらドキドキしながら、魔森から出て街に向かった。


 無事にランモ街に着いた後、冒険者としてやっていけるか不安だったが、亡き父上に立派な冒険者になると宣言した事、義母達を見返す為に冒険者になった。


 亡き父上はそんな事望んでないかもしれないが…


 冒険者ギルドではなに事もなく普通に登録できた。

 登録の用紙を書いている時、いろいろ考えて名前はカイとだけ書いた。


 登録して2日後、C級パーティーに入れてもらった。

 パーティーを組めばオークも倒せた。


 オークを傷つけるには、魔術師の中級以上の魔法か、魔法付与を付けた武器で攻撃するしかない事を教えてもらった。国宝級の武器があれば別だが…

 ソロでオーク討伐出来たら、見習いだけど王国騎士にもなれるらしい。


 オークの情報以外の魔物の事や、冒険者の心得、旅の注意点、ランモ街のオススメ店なんかも教えてもらった。


 だが魔物より人が怖かった…


 最初はいろいろ教えたり優しくして、俺が信頼したところで殺されそうになった。

 俺の前にも犠牲者がいる事を話していた。


 なんとか逃げ出して冒険者ギルドに訴える事ができた。


 その後すぐに冒険者達が捕まり、その際に慰謝料として少なくないお金を手に入れたが人間不振になった。


 C級パーティーは犯罪奴隷になって、鉱山か辺境のどこかで今も働いているか、死んでいるだろう。


 そんな事があった後、パーティーを組もうと、誘ってくれた人もいたが全て断ったし、臨時パーティーを組むのも無理だった。

 断るのも嫌になってランモ街を出た。


 パーティーを組めば魔物の討伐はできるし、実際にオークを討伐出来た。


 逆にソロでの討伐は難しいが、一瞬の隙も許されない魔物討伐は仲間を信頼出来ないのは致命的なので、パーティーを組まずソロで活動している。



 ランモ街から、今暮らしているバルザ街に来る時に、盗賊に襲われて少し大変だったが運良く討伐できた。


 全員殺してしまったのでアジトに行けなくて、盗賊達が持っていた剣とアクセサリーしか回収出来なかった。

 他の武器や鎧は重くて持てなかったので、門にいた騎士に報告しておいた。

 魔物や他の盗賊に悪用されない為と、賞金首なら後日お金が貰えるので報告したが、なにも連絡が来なかった。


 バルザ街の冒険者ギルドに到着した際に、事情を話してソロで活動できるように協力してもらった。


 協力してもらえたお陰で誰にも誘われていない。

 俺の体がショボいからではないはずだ。例え陰口が聞こえていても、協力してもらえたお陰で誰にも誘われていない。


 大事な事なので2回言った。



 ソロなので採集依頼しか受けていない。


 採集依頼も命懸けだった。

 大体は魔森にある薬草やキノコ等の採取が多い。

 魔森での採集依頼は、必ずといっていいほど魔物の脅威に晒されるので報酬も良い。


 採集する場所が魔森の奥にあればあるほど報酬も良くなるので、弱い魔物(弱いといってもオーク)の討伐依頼よりも報酬が良いのに加え俺は一人だ。


 一度の採集で贅沢しなければ、1~5ヶ月くらいは生活できるので、やりたい依頼がない時は、魔法以外の自主練をしている。

 気配を感じながらのランニング、剣の型の復習等だ。

 自主連ではないが街にいる朝は、柔軟、ランニング、素振りは朝起きると朝食前に必ずやっている。

 やらないと落ち着かないのでルーティーンになっている。


 バルザ街にある剣術道場に行ってみたが、レベルが低かったので一時間で辞めた。


 そんな生活をして1年程経ち俺も15才になった。立派かどうかは別としてもう成人だ。

 そろそろこんな生活から抜けだそうと思い、お世話になっている宿屋を出た。

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