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ひとのゆめ

作者: 紅桔梗

きっとあなたも落胆する。

同じ悩みの人はたくさんいる。

どうか、自分を特別だと思わないでね。

まぁ、私は特別だけれど。


 この世に死にたい人はどれくらいいるだろうか。

 死にたい死にたいと頭の中で唱えながら、

 普通の日常を、あるいは、残酷な日常を送ってる人はどのくらいいるだろうか。

 きっと、日本の人口の3分の1は皆そうであるだろう。

 いじめ、虐待、超過労働、小さい箱の中で行われる残酷な行為に辟易しつつも何とか思いとどまって今をただ生きている人。

 特別不幸な訳じゃなく、幸せな訳でもない。特に変わり映えしない日々をそれとなくこなし、ただ何となく死にたくて仕方がない人。

 前者はきっと環境が変われば、あるいは考えも変わるかもしれないし、望みが叶うかもしれない(不謹慎なのは重々承知している)。

 でも、後者のような、いじめなどの暴力はなく、職場環境も良好で、他と比べれば平穏な毎日を送ってる私のような人はどうすればいいのだろうか。

 平穏で平和な毎日を変える度胸はなく。

 死にたい理由もただ平凡でつまらなく。

 変わらない日々と将来の漠然とした不安から来るものだと言う人も少なくないだろう。

 不安から逃れたい。

 ───死にたい。

 切望するも虚しく。

 虚ろな日々が過ぎ行くのみ。


 突然だが、私は最低な人間だと自負している。

 私よりも不幸な人の現状を見て

『この人達よりはマシだ』

 と安堵し、

 私よりも幸せそうな人を見ては

『どうして私はこんなんなのだろう…』

 と自分を憐れむ。

 そういう、私のような人もきっと少なくない。

 誰かに勝手に同情しては、自分を慰める。

 この行為に優越感を得る。言わば、自慰行為みたいなものなのだ。

 無意識に、意識的に。

 私は私を大切に扱う。


 そしてこれは少数の人しか共感してくれないと思うのだが。

 私は自分が世界一大嫌いで、世界一愛してる。

 矛盾しているが、事実そうなのだ。

 私は理想の自分像がハッキリしている。

 その理想像からかけ離れた自分のことを毛嫌いし、心の中でこう唱える。

『これは、私じゃない』

 そうすると、自分の中にもう1人の自分が現れ、私が捨てた自分を取り込んでいく。

 これを何年も何回も繰り返していき、自分の中に大嫌いな自分ができ上がる。厄介なことにこいつは何時でも何処でもどんな時でも気分で現れては、気まぐれに掻き乱していく。そんな自分もまた私は大嫌いだ。

 そして、私の中には守りたいワタシが存在する。純粋無垢で誰からも愛されるワタシ。理想のワタシ。

 私が唯一愛している自分。

 つまり、私の中には自分が3人いる。

 だけど別に多重人格では無い。

 精神的な病でもない、そう信じてる。


 さて。私自身の話はこれくらいで。


 私はいつも朝目が覚めませんようにと願いながら眠りにつく。

 明日はきっと隕石が落ちてくるって信じながら眠りにつく。

 夜のうちに誰かが殺してくれますようにと、祈りながら眠りにつく。

 そして、何事もない朝に軽く絶望し、平穏な日に失望しながら過ごす毎日。

 それでもきっと、死が目の前に迫ったら、とんでもなく抵抗するんだろうなって思う。

 そうなったことがないから分からないけど、きっとそう。


 以上が私の考えだ。

 これもきっと大多数の人が考えたことのある平凡な思考なのだろう。

 共感は少なくとも、親近感はあるのだろう。

 そして私はまた絶望するのだ。

『私の悩みすらも平凡なのだ』と。



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