三度目の正直。いやいや、二度ある事は三度ある。
「だから何度も言っているだろ?俺は彼女と結婚したいんだ。なのにどう捻じ曲がったのか、彼女の姉と婚約する事になった。俺は彼女に一目惚れして、手紙でもやり取りして、偶に会って愛を育んできたのに…」
「二度の婚約破棄をした相手か…」
「そう、一度目は相手の婚約者が妹である彼女に惚れて言い寄った所を見たらしくて…二度目は完全な身分目当てで、常に女の噂が絶えなかった相手さ。もしこれで自分がこの婚約を無かったことに、なんて言ったらどうなる?俺はどうしたら良い?今更妹の方と愛し合っていますなんて言ったら…」
「何でもっと早く言わなかったんだよ!」
「言えるわけないだろ!彼女が傷付く。一度目の時は、少なからず彼女のせいだって噂すら流れたんだぞ!?悪いのは相手の男なのに!」
「だがもっと早く言うべきだった!お前のその判断のせいで、もっと拗れる事になってるんだからな!」
「それは…」
「結局、お前はお姉さんの方と結婚するつもりはないんだろ?」
「…彼女と一緒になりたい。でも…」
「最低だな、お前」
仰る通り。もっと言え。そう思った。何で誰も何も言わないのだろうか。私、馬鹿にされすぎてませんかね?これでも伯爵家の後継なんですがね。それに、こんな話を聞いた以上、私自身こんな男と結婚なんてしたくないし、寧ろ身内にしたいとは微塵も思わないタイプと判断したんだが?妹と婚約もさせたくないんだが?こんな優柔不断で頼りない男と、我が家のお姫様を婚約させるなんて言語道断だ。言っておくけど、我が家のお姫様は可愛らしい妖精さんである。まさか、この優柔不断男め、そんな妖精さんに既に手を出していたりしてないだろうな。キスしてたら許さん!唇溶接してやるからな!もっとしてたら使った場所全て別の欲しい人に切り取って渡してやるからな!あー!!考えただけでイライラしてきた。我が家の男を見る目が無い父親に、三度目の婚約破棄話を叩きつけに行こう。もう、無理。あー無理ですとも、私、潔癖なので。どれだけ自分の経歴にマイナスになろうとも、将来結婚出来なくとも構わないのですよ。他人にとやかく言われる筋合いなんて無いの、微塵もね。理想が高い?結構な事でしょう、伯爵位を継ぐ人間の隣に立つ人間なんですから、選りすぐって然り。感謝されこそすれ、文句を言われる筋合いなんぞ無い。もし将来を考えて後継をと言うならば、可愛い妖精姫が産んだ子を一人教育したって良いのだ。必ずしも私の子である必要は無いと言う事だ。さて、その辺を分かってないらしい父親様は、確か書斎に居たはずだ。私は偶然聞いてしまった我が家の裏庭からそっと気付かれない様に父の書斎へ行く事にした。
*
「お父様、失礼致します」
ノックを4回、返事を待たずに扉を開けて中へ入る。先の会話を聞いた私は、今非常に腹が立っているので、礼儀なんかそっちのけで行かせて頂く。
「マ、マリエラ?今ガーデンパーティー中ではなかったのか?と言うか、返事をしていない内から入ってくるなんてマナー違反だろう」
「ガーデンパーティー真っ最中ですわ。そして返事を受ける前に入る事は、紛れも無いマナー違反ですわね」
ワザとですけど何か?そんな思いを込め、ニッコリと笑ってやる。
「はぁ…分かった。それで、どうしたんだ?」
「お話が早くて助かりますわ、お父様。単刀直入に、婚約を破棄したいので、手続きをして下さいまし」
「は?」
「あら、お耳が耄碌しまして?」
「父になんて言葉を…いや、そんな事より待て、今婚約破棄と聞こえたが…?」
「耄碌してないじゃありませんの、聞き間違いなんかでは御座いませんわ」
「待て!何でそんな話になった?受け入れたじゃないか!」
「ええ、ですから破棄をと申し上げております。お耳ではなく、記憶が耄碌…」
「していない!そうじゃなくて、何故だと聞いているんだ!」
「それならそう仰って下さいな。てっきり耄碌してきたのかと…」
まぁ、全部分かってて言っているんだけれどね。見る目が無い父親に、この位の嫌味は別に良いでしょう。この人に対しても腹を立てているのですからね。娘の幸せを本気で願っているのか疑いたくなるわ、本当に。
「マリエラ!」
「はいはい理由で御座いますよね、分かっておりますとも」
「はいは一回!」
「…はぁ〜い」
面倒臭い。
「理由は単純ですわ。私の婚約者様はシルビアと結婚したいと言ったはずが、何故か私にと話がすり替わった事に、大層困惑しておられると言う会話を聞いたのです」
「…誰から」
「勿論ご本人から。シルビアに一目惚れし、手紙を出し合い、偶に会い、愛を育まれて来たはずなのに、と大層嘆いておられましたわよ」
「待て、ならば何故初めにそれを言わなかった?シルビアだってそうだ」
「言い出せなかったそうですわよ、私は過去、二度の婚約破棄をした経験が有り、その内の一つはシルビアが絡んでいる。しかも姉の婚約者に色目を使ったと噂されてしまって傷付いているのに、今度も自分のせいでと気を病ませてしまうと思うと言えなかった、そうです」
シルビアが言わなかったのは分からないけれどね。あの子は優しいから、もしそれが本当なら、姉の為にと自分の恋心を捨てる努力をするだろう。こっそり言わずに、何も無かったフリをするつもりだったのかもしれない。そう思うと健気でなんて良い子なんだと思わずにはいられない。
「何て事だ…せっかくお前が幸せになると思ったのに…」
「お父様、再三申し上げておりますが、私の婚約破棄という醜聞は心底どうだって良いのです。私自身は。ただ、シルビアやこの家を貶めるのだけは本意では御座いません。ですから、今回の破棄で最後にしとうございますので、今後一切婚約のお話を持ってこないで下さいましね。流石に三回駄目になった令嬢の旦那になりたいと思うような物好きはいらっしゃらないと思いますが。私に至らない所が多いのは十分に思い知らされましたから、お父様もそろそろ婚約者を見繕う力が無い事をお認め頂きたいの」
もう、その事で煩わさないで下さいね、と告げてやる。だってその通りだから。私が人として、女として、欠落しているのはもう嫌という程理解した。三回もやれば流石に十分だ。その分を貴族としての方向に向けたいのだ。全集中したいのだ。
「お父様は私の幸せと仰いますが、結婚して子供をもうけ、育てる事が私の幸せと決めつけておりませんか?それを幸せと考える人も多いでしょうが、私は違うのです。不要です。それをシルビアが幸せと感じるなら、シルビアが幸せと思えるような結婚が出来るよう、一緒に考えて、時に手を差し伸べて差し上げて下さいませ。決して勝手に全てを決めるのではなく!」
そう、この人は勝手に決めるのだ。頼んでもいないのに。だから今回も此処まで拗れた気もする。
「……分かった。すまない、マリエラ」
「それは何に対しての謝罪でしょうか」
「全てだ。婚約は取り止めにするよう手続きを進める。シルビアとの関係は、シルビアと話し合って決める」
「ええ、是非そうして下さいませ。では、私はパーティーに戻りますので失礼致します」
よし、言いたい事は全部言った。私はあの優柔不断男を身内にするのは嫌だが、妹であるシルビアが望むのなら我慢するだけの心の隙間は存在する。はみ出た分でいびるかもしれないけども、それ位は許してもらいたい。だって嫌いなんだもの。
「…マリエラ」
扉に手を掛けた時、呼ばれて振り返る。
「今迄一度も、お前を傷付けたくて相手を選んだつもりは無い。だが、お前の矜持を傷付け結果的にそう思わせてしまったのは、間違い無く私だ。すまない、マリエラ。お前もシルビアも、心から幸せになって欲しいと思っている。その言葉に嘘偽りは無い。信じられないかもしれないが、本当にそう思っているんだ。だから、お前は何も気にしなくて良いから、今迄以上に思う様にやりなさい。出来る限り協力するし、援助もする。勿論邪魔もしない」
「…ありがとうございます」
そう言われてしんみりするのが本来なのかもしれないけれど、私は違う。言質取ったり!と喜んでしまったのだから。捻くれている自覚は大いにあるのだから、その辺は置いておいて。
部屋を出てパーティー会場に戻ると、気付いた妹が私に駆け寄って来た。不安気な様子で。儚げな妖精姫が居ると一瞬呆けそうになった。危ない。
「お姉様どちらに行ってらしたの?姿が途中から見えないから心配したんですのよ」
「お父様の所へ行く用事が出来てしまって…パーティーの事、任せっきりでごめんなさいね、シルビア」
「それは良いのです、お母様も居りますから。で、用事はもうお済みなの?」
「ええ終わったわ。後はこのパーティーを楽しむだけよ」
「良かった!」
ああ、本当に可愛いシルビア。この笑顔を守る相手は、あの男で本当に大丈夫なのだろうか。寧ろ真っ当に指摘していた相手の方が良いのではなかろうか。人の心は思い通りに行かないのが定石だけど、可能であるなら動かしてやりたい。お前にはもっと相応しい相手がいるはずだよ〜とこっそり入れ替えてやりたい。ああ、いっそのこと魔女になりたい。
「マリエラ、探したよ。あまり妹だからと彼女を困らせない方が良い」
「ダート様、私は困っておりません!お姉様、本当ですからね?」
「ええ、大丈夫よ分かっているわシルビア」
婚約者よ、否、元。お前が私を呼び捨てで呼ぶことが出来るのも、後僅かだからな。今は無視してシルビアに笑い掛けてやる。初めから愛し愛される夫婦になろうと、なれるとは思っていなかった。私自身、初めて会ったに近い相手に対し、直ぐに恋愛感情や情愛を持てる程、慈愛に満ちている訳でも、恋愛体質な訳でも無い。そもそも好みのタイプが全く分からないのだ、自分自身の。そんな人間が家族以外の誰かを愛するなんて、一回目の相手の時から無理だったのだ。だから長く居る内に、せめて情愛でもと考えていたが、それすら抱く前に結果三回とも駄目になったわけで。実に困ったものだ、うん。
「マリ…」
「そう言えばシルビア、貴女確かクッキーを焼いてたわよね?」
「そうなんです!あちらのテーブルに用意してありますの!あ、でもお姉様の分は別に取り分けてありますのよ」
「あら、そうなの?じゃあ別のを頂こうかしら」
「あ、せ、折角ですし召し上がって下さい!」
「良いの?」
「勿論ですわ!あ、でもお母様のケーキには及ばないから…」
「何を言っているの、貴女もお義母様もお菓子を作れるというだけで凄いのに、それがいつも美味しいのだから尊敬しているのよ。もっと自信を持って頂戴」
「お姉様…」
ああ、うるうるした瞳が可愛い。キラキラしている。天使だもう。妖精さんどころの騒ぎじゃ無い。私と血が半分しか繋がってないと考えると、お義母様の血が強いのだろう。私は父親に似ていると言われる。母は私を生んで直ぐに亡くなった為、絵姿でしか知る事は出来ない。祖父母には会えるけれど、似ているのは髪の色と口元だ。檸檬の様な黄色い髪は、母の色。瞳は父方の祖母と同じ薄灰色。目の形や鼻は父親に似ている為、トータルとして父親に似ているとなるらしい。妹のシルビアは、今の母、後妻であるサリーさんの子共である。父親の金糸の髪と、優しく可愛らしいサリーさんそっくりな顔や性格を引き継いだ天使が出来上っている。そう、お義母様であるサリーさんも、可愛らしい妖精さんである。癒しの時間がそばに行くだけで流れるのだから、凄いと思う。おまけに、子爵という貴族であったにも関わらず、お菓子作りを趣味とするのだから凄い。そしてそれがまた美味しい。私には才能が無かった。何度か教えてもらったけど、包丁で林檎の皮すら剥けず、林檎の食べる所の殆どが皮にくっついて行ったし、クッキーを焼いたら全部炭と化した。ケーキのスポンジですら膨らまず、逆にクッキー並みの硬さの、よく分からない大きな丸が出来上がるのだ。無理だ。私は食べる専門になると心に誓った。向いてないのだから仕方がない。
話が脱線したが、要するに元は眼中にないのだ、お呼びでないのだ、引っ込んでろ。
*
「お姉様!!」
ガーデンパーティーの次の日、妹と義母が朝食前にすっ飛んで来た。朝っぱらから何事かと思ったが、どうやら昨日の件だったらしい。父親は意外にも早く動いたのかと感心した反面、朝っぱらから中々にヘビーな話は遠慮したいという思いが芽生える。
「私、ダート様と婚約なんかしませんから!!」
「ごめんなさいマリエラ。気付きもせずに…また貴女を苦しめてしまったなんて…」
半分泣きそうになりながら訴える妹と、それ以上に悲観して今にも倒れそうな程真っ青な義母。ヘビー過ぎるだろ、止めて欲しい。ダブル天使のヘビーは、引力で床抜ける心配が出てくるんだから。
「シルビア、貴女彼の事を慕っていたのではないの?お義母様、貴女はそんなに悲観なさらないでくださいまし」
「いいえ!確かに手紙のやり取りはしてましたしお会いする事もありましたけれど、手紙の内容なんて天気とか体調とか、何をして過ごしたかなんていう良くある内容でしたし、会う時だってお友達とのパーティーでしたもの」
「え?」
元、確か愛を育んで来たとかいう様な内容を言ってなかったっけ?
「それに私、熊さんみたいに逞しい方が好きなんですの。この国の貴族の男性って皆んな私より弱そうな人ばかりで…そんな相手を慕うなんてあり得ませんわ!」
鼻息荒く胸を張る妹よ、それでも可愛いけれど何か違う。違うよ?
「マリエラ、貴女は彼の事をなんとも思っていなかったのは、本当?」
「え、あ、はい」
「ならば辛くは無い?」
「はい」
「嘘では無い?」
「は、はい」
「本当に?」
しつこいな義母。
「お義母様、私一目惚れって信じないタイプなのです。ですから初めてお会いした方に直ぐに何かしらの情を抱く事はありません。過去二回、そして今回も全て同じですわ」
この人素敵!と思たら楽なのかもしれないが、少なくとも自分は跡取りで、支えられそうか、ちゃんと周りを見る力がありそうか、とかその辺りを気にしてしまうのだ。情は二の次三の次となるのは当然だと思う。
「…そう、なら良いわ。それにしてもシルビア、だとしたらお父様も言っていたけれど、どうするつもりなの?」
「どうするも何も、お姉様が破棄したらそれでおしまいでしょう?お姉様が相手だから、我が家と下位貴族の三男如きが結婚出来るのだし」
「そうよね」
………ん?今なんかサラッと天使ならざる言葉が聞こえた気がしたけれども?そして義母も受け入れた気がするけれども?私貶された?よね??
「シルビア?」
「ねえお姉様、お姉様はこの家の後継よ」
「え、ええ、そうね」
「地位と名誉ばかりを欲する屑ばかりじゃなく、私に言い寄るために近づいて来る馬鹿も居る。お姉様が二度破棄して今回で三度目、益々そんな奴らしか近付かなくなるわ」
「え、ええと…?」
「安心して下さいな!私とお母様でこれからもお姉様を守ってみせますから!!」
「ええ、ええ、シルビアの言う通りよ。だから安心してこれからも頑張って頂戴ね」
「………」
意味が分からない、と思ったけれど、要するに
「貴女達、私を貶しているのよね?喧嘩を売っていると見なして、構わないかしら」
後継だから男が寄ってくる。妹が愛らしいから男が寄ってくる。そして傷が付いている無価値に等しいから、これから今まで以上にそう言う奴らしか来なくなる。だから私達がこれからも守ってあげるわね、哀れなマリエラ。と、言いたいわけだな。そう、理解したぞ。
「お、お姉様?何を仰って…」
「そ、そうです!私達は貴女を…」
「先程の会話に、私だから下位貴族の三男如きが結婚出来ると言ったわよね?その後も、私に言い寄るのはろくでもない男ばかりになるだろうと言ったわね。そしてお義母様も、頑張れと言ったわね。それのどこが貶していないと?」
そう、会話の端々から漏れ出る蔑みに、貴族たる私が気付かないとでも思っているのだろうか。どうやら天使だ妖精だと可愛がられるのはお嫌いの様で。
「ち、違う!違うわ!逆よ!お姉様!待って!」
二人を置いて部屋を出る。さて、やることが増えた。どうやって二人を追い出してやろうか。ああ、世間で流行っている悪役令嬢とやらはこんなに簡単に作れるものなのか。それとも私が単純なのだろうか。だとしても、私は一度敵と判断した相手には、容赦しない主義なのだ。
*
「……お母様、お姉様怒ったわね」
「そうね…」
「どうしましょう、私達お父様ごと追い出されるわ」
「心配していないくせに」
「……ふふふ、だってこれで本来の流れになるのだもの。それで良いのよ」
「悪役令嬢が妖精姫を虐めるのでしたっけ?マリエラがそんなに可愛く終わらせるかしら」
「あら良いのよ、普通に追い出してくれれば。そうすれば私は熊さんに漸く会えるのだもの!!」
そう、私はこの物語を知っているのだ。私が15歳になった時、義姉である悪役令嬢が信頼出来ない父親と共に妹である妖精姫と天使を追い出すのだ。そしてそこで本来であれば妖精姫はこの国の要人の子供と出会う。が、言った通り私は熊の様なガッチリした人が好き。この物語に出て来る熊さんで好みのタイプは一人だけ。猟師のザーグルだけ。彼は貴族ではないし、森に行かなければ会えやしない。モブだし。つまり、私が完全に森に捨てられる状況を、作り上げなければならないのだ。生活の苦労?そんなもの愛の力でどうとでもしてやるわよ。お姉様以上に生活能力はあると自負もしてるわ。
ねえお姉様、私達貴女の事心から尊敬しているのよ、本当に。だからさっき言った事、本当に貴女が捉えた逆の意味だったのよ。まぁ、その通りにとってもらっても良かったから、結果万々歳なんだけれどね。ああ早く捨てて下さいな、お姉様。物語通りなら、きっとあの森に捨ててくれるはずなのだもの。待っていて森の熊さん!!森の妖精姫が会いにいきますからねー!!!
*
馬鹿なのかしら、と思う。この光景、私三回目なのよね。いつもお馬鹿さんは森の熊さんの事で頭いっぱいだからだけれど、マリエラは森なんかに捨てないのよね。マリエラはこの伯爵家を継ぐ。そして私とシルビアは引退させられた旦那様についていかされる。旦那様のご実家に。そこで私は姑にいびられ、シルビアは令嬢たるものの基礎を一から叩き込まれる。森に捨てられる?そんな物語はファンの誰かが書いた物語であり、原作は別。誰が巻戻してるのか知らないけれど、もう良い加減にそろそろ解放してもらえないかしら。補正なのかなんなのかが全てにかかっていて、正確には覚えていないけれど、結末は全部同じなのよね。そして同じ時に戻るのよ。
知っている?この世界、私達ってモブなのよね。悪役令嬢とか妖精姫とか言ってるけど、主人公は本来別にいるの。男の人よ。これ、恋愛物じゃないはずだから。まぁ、普通に生活してたら、恋愛もするのが当たり前なんだろうけど。ちょっと出てくる顔のキツめなモブ伯爵のマリエラ。その妹は妖精姫と呼ばれる、愛らしいシルビア。シルビアの実母である私は、天使の様な人に違いない…名前すら出ないのよ。だからね、転生するのはいいのだけれど、皆んなが皆んな幸せになれるとは思わないことね。まぁ、そんな事言ってたら物語になんかならないのでしょうけれど。