第6話
───狼side───
目が覚める小さな骸骨狼がいた。敵かと思いサッと起きあがったが、そいつは敵意が一切なくむしろ恍惚と俺を眺めているようだった。
「さてはお前、俺の第一眷属だな。なんで小さくなったんだ?あと、色が変わってるし。」
『それは主の方が大きくなったからですよ。この度の進化おめでとうございます。主が進化したため、第一眷属である私も進化を果たしました。色が変わったのはその為です。』
「おぉ!お前も進化できたのか。良かったな。」
『ありがとうございます。所で主よステータスを確認しては如何でしょうか。』
「そうだな。自分が何に進化したのか気になるしな。」
俺はいつものようにステータス紙を出して、自分のステータスを見てみた。
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名前:
種族:魂喰狼・冥界種 Lv20
HP:450
MP:600
攻撃力:450
防御力:550
素早さ:800
種族スキル:《疲労無効》《物理攻撃無効》《瘴気吸収》《神聖属性脆弱》
スキル:《超加速》《魂吸収》《魂強化》《魔爪撃》《動植物鑑定》《猛毒耐性》《石化耐性》《麻痺耐性》
派生スキル:《眷属作成・召還》《眷属強化》《眷属念話》
魔法:《闇魔法》《風魔法》《死霊魔法》
魂:258
称号:転生者 神の使い リールの森の支配者候補
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うん。なかなか強くなったじゃないか。だが、新しいスキルや称号が出てるな、確認していこうか。
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《種族スキル》
その種族が持つ特性のようなもの。主に耐性を表す。
《疲労無効》
いくら動いても疲れなくなる。そのため一部のスキルの反動を打ち消すことがある。
*現在は《超加速》の反動も無効化している
《物理攻撃無効》
物理的な攻撃が効かなくなる。
《瘴気吸収》
瘴気が発生している場所で回復効果を得られる。
《神聖属性脆弱》
回復魔法等や浄化魔法でダメージを受けるようになる。また清められた場所に入るとステータスが半減する。
《超加速》
スキル《加速》が進化したもの。今までよりも速く動く事が可能。ただし、使いすぎると疲労により暫く体が動かなくなる。
《魂強化》
魂を消費してステータスを強化する。ただし、強化には限界がある。
《魔爪撃》
魔力を纏った爪で攻撃する。消費する魔力が大きいほど威力が上がる。
《眷属強化》
魂を消費して自分の眷属を強化できる。
《眷属念話》
眷属と念話できる。遠くに離れている眷属でも話すことができる。
《動植物鑑定》
調べた動物や植物が食べられるかが、わかるようになる。
《死霊魔法》
即死系の魔法が使えるようになる。
アンデット作成・召還ができるようになる。ただし、スキルと違い魔力を消費するため乱用は避けるべき。
《魂》
今まで喰らってきた魂の総数。眷属を創るときとかの目安。
《リールの森の支配者候補》
リールの森で進化を果たした者が手に入れる称号。現在の支配者を倒すことで、支配者を受け継ぐことができる。
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ざっとこんなもんだろう。後の耐性系は毒持った魔物を知らずに食べて苦しんだ後手に入ったり、《動植物鑑定》を獲得する前に猛麻痺草を食べて暫く体が動かなくなった後手に入れたものだ。《石化耐性》は鶏みたいな鳥型の魔物が使ってきたときに手に入れた。いやーあれは俺の眷属が助けてくれなかったら石像になってたな。あいつが解除魔法知ってて助かったわ。
「うむ。ステータスを確認したが、俺の種族は魂喰狼になっていたぞ。」
『魂喰狼ですか……。聞いたことがない種族ですね。』
「お前でも知らないか。」
『ですがもしかしたらステータススクロールの種族を触れば何かわかるかもしれません。』
「そうか。てか、この紙ってステータススクロールて名前だったんだな。」
俺はステータススクロールの種族の欄を前足で軽くさわってみた。
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種族:《魂喰狼》 危険度 A
約200年前に一度現れており、発生条件は不明。
あらゆる魂を掌握し心が負けた相手の生死を操る。また大量の眷属を生成し群で襲ってくる。そのため人間は姿を見たら直ぐに逃げることが多く、冒険者でも討伐しようとする者は少ない。
過去に出た個体は1000を超える眷属を引き連れて暴れまわり、2つの街が地図から消えたが、その後勇者によって討伐された。
《冥界種》
召還術で呼び出す魔物が住む世界の一つである冥界に居るとされる最悪の種。
アンデットよりの存在であり物理攻撃が一切効かないが、神聖属性の攻撃に弱いという特長をもつ。また攻撃が通常の回復魔法や薬で直せないタイプが多く、仮にダメージが入るとすぐに耐性を獲得してくる。そのためこの種に属する魔物はSランクに分類されている。
───
oh…これは、人に見られたら敵対まっしぐらだな。まぁ強くなったしいいか。まだ人に会うつもりもないしな。そういえば・・・
「おいお前の名前は何なんだ?眷属を大量に作成できるようになったから、眷属が沢山増えたら紛らわしくなるだろう。」
『おや。知りませんでしたか。眷属に元々名前はありません。眷属は創造主から付ける事ができます。眷属からすればそれは大変名誉なことであり、名を得た眷属は眷属としての格が上がるのです。』
「そうか。ではお前に名をやろう。」
『!。良いのですか!?』
「あぁ。これから沢山の眷属を生成するつもりだ。その時にはお前にまとめ役をしてもらいたいと思っている。・・・引き受けてくれるか?」
俺は骸骨狼に向き直ってそういった。骸骨狼はすぐには答えずにじっとしていたが、やがてこちらに顔を向けて深いお辞儀をした。
『わかりました。その役しかと受けさせていただきます!』
「うむ。お前は今日から〈ガド〉の名を与える。また、お前には眷属の長を任せる。しかとその役をやりとげよ!」
『ははー!このガド。眷属長をやり遂げてみせます。!』
ガドとなを与えた途端に頭に文字が浮かんできた。
【眷属に名を与えると共に《眷属強化》を行えます。どのくらいの魂を与えますか?尚、与えることのできる魂は現在は20までです。】
俺は迷い無く限界まで送るイメージをした。
【了:ガドの強化を開始します。】
そう頭に浮かんだ後ガドの周りに沢山の青白い光の玉が飛んで行き、一つ一つガドの体に入っていった。光る玉が入るごとにガドの体は変化していった。真っ黒な骸骨狼からちゃんと肉体がある体になり、体も俺の一回り小さいというまでに大きくなった。キリッとした顔つきに青色の瞳が現れて、最終的に真っ白な毛並みの狼になった。
「おぉ!中々貫禄がある体になったな。」
「!?主よこれは一体どうゆうことです!」
ガドは新しくなった自分の体を見て、驚いていた。
それも無理ないだろう。普通名付けとは、勲章のようなもので実際体が変わるような事はない。
「あのままお前を隊長にしていたら文句がでるだろうからな。魂を使って強化したのさ。」
「そんな!私めなどに魂を使うとは!もったいないでしょうに!それに─「不満なのか?」・・・えっ?」
「不満なのかと聞いているのだ。ガドよ、お前がやったことに不満があると言うのか?そんなに嫌なら今すぐ全ての魂を抜こう。」
「い、いえそういうわけでは……。」
「なら自分を卑下するな。俺はお前のお蔭でここまで来れたんだ。自分の主を守りきったと、自信をもて。これからもお前には役に立ってもらうからな。」
「・・・・・はいっ!」
ガドはさっぱりした顔で答えた。
うんうん、げんなりするよりそっちのほうがカッコいいよ。
俺達はそれからやることを話し合い、新しい住処を探す事にした。ここらの魔物は今の俺等には弱すぎるからだ。お互いに新しくなった体を慣らしながら、訓練をしてこの拠点での最後の夜を過ごした。
岩の上に寝転びながらガドとこれまでのことを夜が明けるまで話した。。暗曜犬の時のように睡眠が二人とも必要なかったからだ。
そして新天地を目指して更に森の奥深くに入っていった。