第1話
「あーつかれたー。」
そう言って鞄に教科書を投げ込みながらぼやいていたのはクラスメイトの古城隆也だ。彼はこの伽藍高校の二年生で、頭も良く性格も悪くないのだが、いかんせん頼まれたら断れない人なのでよくパシリにされている残念なやつだ。
「おーう、おつかれ。それよりこれから部活だろ、はよ行くぞ!」
といってきたのは石橋大樹だ。彼は成績はよいのだが、廚二病が抜けてないのでバカに見えるのが玉に傷なやつだ。
「まぁまぁそう目鯨を立てずに。」
と俺池田凌馬はいった。俺はいつもこの二人を抑えたり悩みを聞いてアドバイスをおくるといったまとめ役をしている。まぁそんな事言いながら毎日三人でバカ騒ぎしているだけだがな!
「お!池田!もうホームルーム終わったのか? 」
「あぁやっとだ。うちの担任は長話好きだからな。」
「あーあいつだもんなー。しっかしそれにしても…おい古城!いつまで数学やってんだ!」
「いやー、中々これが難しくてね先いっといてくれよ。」
「へいへい。」
「全く数学とか何が面白いんだ?全く理解できねーよ。」
「俺は生物学は好きだから古城の気持ちもわかるけどね。お前の好きなドラゴン◯ールを何時間もやってしまうようなものだよ。」
「あれは勉強じゃねーよ。あれは至高のゲームだからやっているんだ。ところで池田この間ガチャでな…」
「あーそれは…」
と言いながら石橋と教室を出ようとした時、事は起こった。
~ピンポンパンポーン~
「今学校に残っている生徒は至急近くの教室に入って放送を聞いてくださーい。」
と気の抜けたような声でアナウンスが流れた。まだホームルームが終わってすぐなので、たくさんの生徒が残っている。当然みんな困惑した表情で、行動に移れている人はすくなかった。すると
「あの~早くしてくれないかなー僕も忙しいんだからさー。」
と少しイラついた声でアナウンスしてきた。皆はさらに困惑してしまい、半ばパニックになりかけていた。
無理もない、こんな放送されたら誰でもハイそうですかと、行動するよりもイタズラだろうと考える。俺もそう思っていたのだか、
「早しろッつってんだろうがあああ!!」
といきなり大声で叫ばれた。どうやら此方の行動が見えているように思える。これは従っていた方が良いと、本能が告げている感じだった。
「俺は自分の教室に帰っておくわ。」と二人に言ってから教室を出て、自分の教室へ行きドアを開けようとした時、
「はーい今出てる人は僕の言葉に逆らったとして殺すから、見せしめにも良いしね。」
と言ってきた。
「まじで!?ふざけんなよ!」
と叫びながらドアを開けようとしたが、ドアは全く動かなかった。
「クソぉぉぉぉぉ開けぇぇ!」
怒鳴りながらバンバン叩いていたが段々意識が遠くなっていった。
気が付くと真っ暗な空間にいた。辺り一目完全な闇の世界で、ずっといたら気が狂うほど静かだった。
「なんだここ?まぁいい取り敢えず状況を整理しよう。」
そう言って俺達何故こうなったかを考えだした。まずあのアナウンスの主はおそらく神又は世界の管理者で俺達に何か伝えようとしていた。しかし余りに急すぎたので、俺達が対応できずモタモタしていたのにキレて教室に入ってないで廊下にいたやつらを殺したってところかね。
・・・いやおかしくね?
確かに俺は出てたよ、だがそれは部屋移動するためであって決して反抗したわけではない。しかしいくら言ってもあとの祭りだな。
仕方ない来世に期待しよう。あばよ俺、できればもう少し生きたかったな。
そう思ってい自分の過去を振り返って一喜一憂していたら、突然暗闇が晴れた。そうして俺は自分の体が青白い火の玉のようにフワフワ浮いているのに気づいた。
「わー!?なんだよ急に! しかも体がなくなってる?!!」
「やぁ! なんか君、自分の体が失くなってビックリて感じだね。あははははは。」
いきなり声がしたと思うと、光る玉がフヨフヨ浮いてやってきた。
「誰だお前は、後笑うの止めてくれ。腹が立つ。」
「ひどいなー折角やってきたのにー。僕はこれでも君たちの世界を管理してきた管理人のようなものだよ。」
「そうかーふーん。ってなるかァ!テメーのせいでこっちは死に…「君チャンスが欲しくないかい?」チャンス?」
「そう君のお友達が行った世界に転生させてあげるよ。それを受けるチャンスだ。選ぶのは君だよ。」
「ちょっと待て、俺の友達たちはあれか?バカどもが夢見てる異世界召喚されていったのか?」
「そうだよー最近向こうの世界の管理者がね、このままだと人類が絶滅してしまって始末書書くの面倒だしそっちから何人か連れてっていーかい?て言われたから、OK出したらあいつ一つの学校の生徒かっさらっていったんだ。ひどいと思わないかい、てっきり犯罪者の魂だけをデータ初期化した状態で持って行くとおもっていたからね。だから僕は君の魂を使ってあいつの目的を探ろうと思って、君をよんだんだ。」
「そんなん他の奴らは、どうしたんです?俺の他にも殺されたやつはいるでしょうに。」
「いや。それが君だけだったんだよねあの時廊下にいたの。」
「えぇ…分かったよ、そういう訳なら手伝ってやってもいいけど…」
「そうかい!いやー助かるよ。ちなみにお友達が行った世界は魔法が存在し、魔物が蔓延る世界だ。また向こうにはこちらで言うステータスがあったりスキルがあるんだ。だから楽めると思うよ。」
「楽しんでいいのかそれ?危険だらけですぐ死にそうだな。」
「全然構わないよ。そんなに期待もしてないからね。無理にしようとしなくていいよ。」
「わかりました。」
(新たな世界に転生か。まぁ、あいつらに再会できるのを目指してがんばりますかね。)
「それじゃ、そろそろ送るよ。第2の生に祝福があらんことを。」
そういって管理者の玉の光りが強くなったかと思うと、また意識が深い底に沈んでいった。