ほんとーに異世界じゃん…
「あぁ…この世界はなんて退屈なのだろうか…。」
教室の隅の席で俺は呟いた。正直、なにか意味深的な感じでかっこいいと思う気がするけどこう思うのは俺だけかな?
完全中二病の世界に入っていた誓也にため息を付きながらこっちに向かってくる奴がいる。こいつの名前は橘 可憐。昔からの幼馴染でこんな俺にも手を差し伸べてくれる優しい女の子だ。俺はこいつのことを……好きだと思ったでしょ?思ったよね?なんかごめんね?全く好きじゃないんだよね。うん。もしかしたらフラグが立ってたのかもしれないけど全然気づかなかったわ。
なんてことを脳内で語っていたら可憐が困り顔で話しかけてきた。
「ねぇ、また脳内で語ってたでしょ?」
こいつなんで俺の考えてることわかるの?なんか怖い。
「そろそろそうゆうの卒業したら?せっかく高校生活が始まったのにもう最初の一歩を踏み外そうとしてるじゃん。」
「うるさいな。別にお前には関係ないだろ?」
「関係あるの!あんたがそんな感じだと幼馴染である私も変に思われちゃうの!」
「変ってお前…」
ちょっと傷つくなーもー。
「それにあんたと帰り道同じだから私たちが付き合ってるっていう噂立ってるのも知ってる?すごぐ恥ずかしいんだから。まぁ私はいいんだけどさ。」
なぜか照れながらそう答えた。
「お前なんで顔赤いの?」
もっと顔が赤くなった。
「うっさい!バカ!変態!中二病!」
「は、俺中二病なんかじゃないし!ちょっと…ちょっと個性的なだけだから!」
認めない。俺は認めないぞ。
こんなやり取りを高校に入ってから何十回もやり取りしてるから周りにも付き合ってるっていう噂が立ってるんじゃないかな。まぁ俺には関係ないんだけどね。
こんな調子で帰りのホームルームも終わって俺は部活の図書部の教室がある部室棟に行った。図書部の部屋は割と広く学校にある図書室よりも本が多く充実していて俺は好き。
「次は何を読もっかなー。」
俺は小学生の頃から読書が好きだった。それもあって今も図書部に入ってここにある本は高校三年間で読破しようと予定立てている。
「奥の方から探してこようかな。」
図書部の部屋には小さい部屋がもう一つあってそこにも本がたくさんある。
「この段ボールの中から選ぼうかな。」
無作為に俺は一冊の本を引き抜いた。
「なんだ、ノートかよ。タイトルがかすんでて読みづらいな。」
「い…かいの行…方。異世界の行き方!?」
こんなものは嘘だとわかっている。けれど興味がないというわけではない。むしろある。すごいある。
おれは恐る恐るノートを開いた。
― 異世界の行き方! 行き方はね、紙に異世界に行きたいでーす!って書いた後それを口にはさんで逆立ちして三回回ってワン!って言ってみて!そしたら部屋のかクローゼットの扉開いてみて!そこはもう異世界に繋がってるよ!あ、でもここ注意ね一度異世界に入ったらもう元の世界には戻れません。なのでよーく考えた上で実行してね!まぁでもするやつ大した野郎じゃないと思うけどね!もし異世界に来たらそこに10分から一時間位待っててね!私がそっちに行くから!じゃ、そういうことで ―
「…短いな、これだけ?ていうかちょっとうざいな。」
誓也はとりあえずそのノートを鞄に入れて教室で待っていた可憐と帰ることにした。
「なにニヤニヤしてるのー?変な妄想でもしてるのー?私でしてもいいけど責任とってね?」
帰っている途中はいつもこうして可憐が一方的に内に着くまで話しかけてくる。
「うるさいなーもう!妄想なんかしてないわ!というか責任ってなんだよ!!」
「じゃあどうしたの?」
言えない、こんなの絶対言えない。異世界に行こうと思うんだ!ってそんなこと言えない
「面白い本を見つけたんだ!」
「へ―どんな本?」
こ、こいつしつこいな。
「まぁ…エロ本かな…」
さっきまで笑顔だった可憐から笑顔が消えた
「いや思春期だしさ?俺もこういうの興味あるし…?うん…」
「話は今夜聞くことにするね?」
その笑顔が逆に怖い
その後会話はなくそのまま俺たちは家についた。
「今夜、22時ね」
「はい」
怖い助けて
お風呂上りにあのノートのことを思い出して広げてみた。
「これほんとなのかな…それに通じたとしてもこの格好じゃ過ごしずらそう。向こうのことはこのノートを書いた奴に聞けるとして、いなくなった後はどうなるんだろう。確かに異世界に行ったらこの世界から消えた後はみんなの記憶とか消えるのかな。でも正直行ってみたい。いつもの生活が退屈だったし…よし。」
俺は決めた。行く。行ってやる。でもその前に準備と親の顔でも見ておくか。
それから30分ほどかけて準備した。
「よし、準備もできたし親父たちの顔もちゃんと見ておいたし…やるか!」
そして「異世界に行きたいです」と書いた紙を口にはさんだ
「逆立ち…からのっ!三回回って!」
すごい勢いで回った後俺は大きな声で言った。
「ワン!!」
「本当に異世界に繋がったのかな?」
おそるおそる部屋の扉を開けるとそこには草原が広がっていた。
「う、うそだろ?」
目をこすって見直したがそこにはどこか違うところに繋がっていた。
「本当に異世界なのか?いやでもこんな草原俺の部屋出た後あるわけないし…行くか。」
覚悟を決めて俺は異世界に入った。
「こら!!誓也!!ってあれ?」
誓也の部屋には誰もいなかった。