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天才ですけど何か?

作者: kan




 「金上様だわ!」

「やっぱあの人は違うな。オーラが凄いよ」

「金上さん、美人だな~」

朝の校内をお供を連れて歩く主人公の金上哀素。

今日も周りからは尊敬の眼差しで見られていた。まさに高嶺の花だ。


金上「ジェニス、今何時?」

ジャニス「は、現在8時5分でございます」

青髪の短髪黄色目で左目を伊達ばりに眼帯を装着しているお供のジェニスはメイドらしくキビキビと返答した。

このメイドも主人の金上を学校内でサポートする為に同じ学年、同じクラスで制服を着て通学している。


天上鳳凰学園。この学園の名称だ。

学力や才能、地位、名誉、スポーツ、金など、何かに秀でている者が集うこの学園は、男女共学のまさにエリート「真学校」なのだ。

そこに通う金上哀素は、この学園のアイドルでもあった。


「あ、あのぉぉぉぉ!!!金上ささささんんんん」

男子生徒らしき男が突然の目の前に現れた。明らかに告白しますという雰囲気だ。


男子生徒「ボクとつきあ───」

金上「却下」


男子「ま、まだ何も言ってないのに・・・」

涙目で死にそうな男を一瞥もせず下駄箱へと向かう金上。それはまさに覇王の如く悠然であった。


だが、彼女は


金上「ジェニス」

ジェニス「は」

校内にはってあるポスターを見る金上。そこには「一緒にネット部でストレス発散しよう!とても捗るぞ!」と書いてった。

金上「とてもあるるくぞ。何て書いてあるけどこんな日本語ないわよね。おかしいわ」

ジェニス「お嬢様」


「それは、はかどる と読むのです」

周りに聞こえないように配慮して小さく呟くジェニス。


一瞬の間が二人を包む。


金上「そんな事分かっていたわ!ジェニスを試したの。ハハハハハ!引っかかった引っかかった」プギャーする金上。

ジェニス「・・・・・・そうでしたか。これは失礼しました」

金上「私は血統の高い天才金上家の者よ。さあ、教室に行きましょう」


とてもおバカだったのです。


















クラスのドアを開ける金上。クラスのプレートには3年1組と書いてある。

金上「おはよう皆さん」


「おはようございます。金上さん」

「金上さん、いつもお綺麗ですね」


金上(今日も庶民の羨望の眼差しが心地いいですわ)


椅子に座る金上。


男子生徒がオズオズと金上に近づく。

金上(また、私にアプローチかしら。めんどくさい)

男子生徒「そこ、玉澤さんの机なんですが・・・」


固まる金上。一瞬思考をめぐらせる。


金上「玉澤さん」

微笑む金上。

玉澤「は、はい!」

緊張気味の玉澤。

金上「いつも真面目なあなたが座っている机から周りがどう見えているか知りたかったのです。邪魔しちゃってごめんなさいね」

ニコッと微笑む金上。それに感激する玉澤。

玉澤「そ、そんな・・・!光栄です!」

自分の机に移動する金上。

「さすが金上さん。素晴らしい向上心だ」

「ぼっちの玉澤さんにも優しく接するあの姿勢は見習わないとな」


金上「ジェニス」

ジェニス「何です?」

金上「あんた何であれがメガネチビの机だって言わないのよ!」

ジェニス「お嬢様がとても他人の席とは思えないほどドヤッってたのでつい言いそびれました」

金上「ぐぬぬ」

プルプルするが気を取り直す金上。

金上「ところで、アノ件はどうなりました?」

ジェニス「指導部主任に申してみましたところ問題ないと」

金上「あら!そうなの!なら早く言いなさいよ。あ~放課後が楽しみだわ~」

はしゃぐ金上。

ジェニス「お嬢様」

金上「何よ、また小言?」

ジェニス「HR中です」

金上「あ・・・」

クラス中の視線を集めた金上。


放課後

「キーンコーンカーンコーン」学園の1日が終わる鐘の音が鳴る。その校舎を帰宅するために歩く金上とジェニス。

金上「う~ん。今日もつまらない学園生活も終わったわ~」

ジェニス「お嬢様、あの件をお忘れではないですよね?」

金上「忘れてないわよ!私を誰だと思ってるの」

ジェニス「安心しました」


金上「・・・・・・」

ジェニス「・・・・・・」

効果音:カポ~ン

二人は、コンビニのレジ前に並んでいる。客ではなく、店員としてだ。

このシックスナインは、金上グループが経営するコンビニの1店舗であり、金上が社会勉強したいとダダをこねて無理やり系列店でバイトをはじめたのだ。もちろん、ジェニスはお目付け役だ。

ジェニス「お嬢様。お客様です」

金上「分かってるわよ。まかせない!私を誰だと思ってるの」

フフンと意気揚々の金上。

だったが・・・


接客

金上「いらっしゃい、いらっしゃい~お客さん何にします?」

客「??」慌てる客。

ジェニス「それでは八百屋のおっさんです」


レジ

客「おいおい!釣り銭が足りないぞ!」

金上「何ですって!?誰に物言ってんのよアンタ!私の名前はきん───ムゴッ」

ジェニス「はい、そこまで。

」金上の口をふさぐジェニス

ジェニス「こちらの間違いです。申し訳ありません。これはサービスです」

商品割引券を渡すジェニス。

客「ああ・・・分かればいいよ」


掃除

金上「めんどくさ。ジェニス、あんたがやっといて」

ジャニス「・・・・・・」

掃除機で店内を掃除するジェニス。


品出し

ジェニス「・・・・・・」

金上「うひゃひゃひゃひゃ」

 品出しする傍らでマンガ本を読んで笑い転げる金上。

ジェニス「」プッチ~ン(ジェニスが切れる音)

ジェニス「お嬢様」

金上「ん?何?」

ジェニス「すぅ~」息を吸い込むジェニス。

ジェニス「お嬢様が意識高いワ・タ・シ。というナルシストをきどって内申点と世間的評価とお父上からほめられたいという透けた欲望から2重3重の手続きをす・べ・て私が1人で行い、果ては系列店の幹部、スタッフ、ボディーガードへの根回し、防犯当の配備、す・べ・て私が一睡もせずに夜なべしてせっせせっせとこしらえた今回のプロジェクトにも関わらず、お嬢様は己の振る舞いを正す所か、暴虐武人、なりふり構わず、裸の王様よろしく、店内で食っちゃね食っちゃね、いい加減にしてもらえますかーーーーー!!!!」←全て早口で別に読者に読ませなくても良い。ギャグ的ツッコミなので。

一瞬の間。オロオロする店長。

金上「な、何よ!そんな怒鳴って私がビビビびびると思ってるの!?」

平手てジェニスのモち持ち肌のほっぺを往復ビンタする金上だが、力が弱いのでマッサージみたいにプニプニやわらかい音がなる。

ジェニス「と、言うことで私は失礼させて頂きます」

金上「ちょ・・・!」

さっていくジェニスの背を眺めるだけの金上。相変わらず店長はオロオロしている。


早歩きでスタスタ街を歩くジェニス。

見るからにガラが悪そうな2人組と肩がぶつかるジェニス。

ヤンキーA「てめぇー!誰にぶつかって・・・」

ジェニス「ああ!?」

強烈な顔で睨み付けるジェニス。

ヤンキーB「すすす、すいましぇ~ん・・・」しょんべん漏らすヤンキーB

ジェニス(そろそろ、お嬢様の様子を見に行くべきか)


「ガァー(コンビニの自動ドアが開く音)」

ジャニス「!!」

金上「いらっしゃいませー!」

金上「はい、セブンスターですね。こちらになります。」

金上「トイレはこちらになります」


ジャニスは、テキパキ働く金上の姿に驚く。

ジェニス(やはり、お嬢様はやればできる子)ブワッ←ジェニスが泣く効果音

金上「お釣りの、999円になります。」

 客「お釣りが666円も多いんだけど。。。」

金上「私が愛想笑いして接客してやってんだ。感謝してそのまま立ち去れ」

ボソッと客に耳打ちする金上。

客「は、はぃーーーーーーーー」

スタコラ逃げる客。その姿を泣いていてその場面だけ見逃すジェニス。

ジェニス「お嬢様、さっきは申し訳ありませんでした。」

金上「なぁ~にジェニス今更来て。手が空いてるならさっさと私の為に手伝いなさい」

ジェニス「は、はい!」


金上とジェニスが働いている描写(数コマで表現)。


夜の繁華街を歩く、金上とジェニス。

ジェニス「私は誤解しておりました。」

金上「なによ急に」

ジェニス「お嬢様は、外面だけよく、だらしなくてズボラの性格の悪いできない女だと思ってましたが・・・」

金上「う・・・結構辛らつねあんた」

ジェニス「やはり、私が御仕えするに相応しいお方だと狂再確認できました」

金上「・・・・・・ジェニス。給料は上げないからね」

ジェニス「ばれたか」

一呼吸置いて

ジェニス「ですが、これなら明日からまたアルバイトも問題ありませんね」

金上「はぁ~、何いってんの~?」

ジェニス「え・・・?」

金上「コンビニなんて最低賃金で働かされる最底辺の仕事なんて私がやるわけないでしょ!」

ジェニス「じゃ、じゃあ今日の働きぶりはなんだったんですか!?」

金上「お父様と内申点そ・し・て私自身をもっと輝かせる為当たり前じゃない。清廉で地位も高く美貌を兼ね備えた私がコンビニの様なくっさい場所で働くなんてさいっこうに萌えるシュチュエーション! アカデミー賞最優秀映画監督も間違いなく放っておけない場面だわ」

ジェニス「・・・・・・」放心するジェニス。

金上「なによ、固まっちゃって」

ジェニス「休暇をいただきます」

金上「へ?」

ジェニス「呆れてものも言えませんので、実家に帰らせて頂きます」

金上「ちょ、ちょっと待ちなさいよジェニス! なに怒ってるのよ~」


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