たかしちゃんとツッコミ
2〜4日に一度の更新予定です。
散歩ヶ寺のルビちょっとおかしいです。
『ヶ』にルビ振れないんですね。
こんにちは!たかしです!
今はもうお昼休みに入っています!
今日はとっても驚くことがありました!
クラスのみんなは「いつものことだ」って言うのですが、本当はみんなちょっと驚いていたと思います。
そして私は散歩ヶ寺君にとっても驚きました!
散歩ヶ寺君は同じA組で、いつも菅笠というものを頭に深くかぶっていて、黒い髪もなっがあくて……そういえばお顔をちゃんと見たことはなかったです!びっくり!
あ、それでですね、その散歩ヶ寺君が三時間目の野外学習の時に…。
あっ。
「たーかっしちゃんっ!」
「ふにゃっ!」
「あはは、たかしちゃんは猫かね」
「きらなちゃんがいきなり飛びついてくるからです!」
「んー? でも前から見たらそのリボンは猫耳に見えるよー。このリボン可愛いねえ。私の髪型と取り替えっこしない? こないだ約束したでしょ?」
どこからともなくきらなちゃんです。
現れて早速いつも通りのきらなちゃんです。
それにしても、約束って、んーと…。
「ええ、ええっとー……。て、てん」
「ほら!たかしちゃんが転校してきた時に約束したでしょー!まったくー」
やっぱりでした。
「これどうやってついてるのー?」
「わ、わあ!」
きらなちゃんがリボンを持ち上げて私の髪と繋がっている部分をまじまじと見つめています。
「へえー、凄いねえ! 大っきいのに軽いし、リボン部分はバレッタで留めてポニーテールを通すヘアゴムもついてる! ちゃんとリボンの下から髪が出るようになってるんだねえ! 首も痛くならないし!」
ぱっちん挟む所の名前初めて知りました。
「じゃなくって、きらなちゃんボサボサになっちゃうよう」
「ああ、ごめんごめん、ちょちょいっと」
にゃ〜、きらなちゃんに直してもらっちゃった。
「可愛いリボンだねえ…たかしちゃん!早く!」
「あ、あの、ちょっと恥ずかしいので今度…。だめ?」
男の子に髪下ろしたところ見られちゃうのはちょっと恥ずかしいです。
うう、考えただけでほっぺがあつい……。
「よし! 可愛いから許す!」
「きらなちゃんごめんね」
「てい!」
「いたい!!」
な、なんかチョップされちゃいました。
「あのねえ! 私がたかしちゃんに頼んだの、私がワガママ言ってるの!」
きらなちゃん…わがままって…ふふ。
「だからね、断っても謝る必要なんてないんだよ! だってそれはたかしちゃんが嫌だからでしょ? それの何がいけないのさ! それに私たちは友達なんだから気にしなくていいの!」
なんか、なんかほっこりしま…。
わー、きらなちゃんがむちゅーってしてきた!
う、て、てい!
「あた! はっ! たかしちゃんが私を、私を…!」
「わ、き、きらなちゃん、い、痛かった?」
「たかしちゃんがー!!」
うう、私がチョップなんてしたばっかりにきらなちゃんが涙目になっちゃいました。どうしよう。
「うう、きらなちゃん、ちょっぷ、ご、ごめ…」
「ていー!!」
「あたっ!」
えー!?チョップされてしまいました…。
まさかこれはケンカになったってことでしょうか。
ど…どうしよう……。
「えっへへ、やっとたかしちゃんがチョップしてくれたー!」
あ、あれれ?きらなちゃんがチョップされて喜んでます。け、ケンカじゃなかったです。
うーん…と。もっといっぱいチョップした方がいいのかな?
「て、てい?」
痛いといけないのでさっきよりもゆるーくチョップ。
「あはは、ちょっとたかしちゃん? もしかして私がチョップされて嬉しがってると思ってない? 確かにたかしちゃんにチョップされて嬉しがってるけど、チョップされて嬉しいわけじゃないからね! チョップされて嬉しがるような変態じゃないから! まったく」
きらなちゃん、えっと、ど、どういうことでしょう?
色々ありすぎて頭に入ってきません…。
えっと…誰みたいに変態じゃなくって……えっと。
「だからB組の……じゃなくって! たかしちゃんにツッコミをしてもらったから嬉しいの! 初めてだよ!? もう一ヶ月以上経つのに私のボケを華麗にスルーするんだからほんと辛いよ、カレーだけに」
……。
えっと、たぶん、きらなちゃんのむちゅーが、えっと、ボケ?で、私が止めようと思ってチョップしてみたら、それがツッコミ?で。
テレビとかでやってる漫才とかコントみたいなことなのかな?
それでボケにはツッコミをしないといけなくて、スルーしちゃったら辛いんだ。
じゃあ私はツッコミを頑張らないと!
あれ?カレーだけって何のお話かな。……あ!ということはきらなちゃんはボケができちゃうんだ!
「すごいですきらなちゃん!! ボケができちゃうなんて! 私には絶対できないです!」
「えと、その、たかしちゃん?」
あれれ?きらなちゃんがお顔を真っ赤にしています。こんなきらなちゃん初めて見ました。
「大丈夫?きらなちゃん?」
「大丈夫、ちょっと待ってね」
なんかいつもと違って可愛いなあ、ほっぺもいつもよりあかあくて、ちょっと涙目になってて、ちょっぴり汗もかいててせくしー…あ、もしかして!
「てい?」
「ちがーう!って言うかおっそーい!てい!」
「わあっ!びっくりした!」
違いました、ていされちゃいました。
なんでだろう、うーん、あ、やっぱり可愛いなあ。
「よしよし?」
「うう」
ふにゃー、なんか初めてきらなちゃんよりお姉さんになれた気がします。
そういえば遅いって…あ!
「華麗だからカレーだけにってことだ! あとつらいとからいだね!」
「うわあああ!!こんにゃろー!!」
「あたたあたたた」
『キンコンカンコン』
あ、お昼休みが終わっちゃいました。
「もう!たかしちゃん!こんど笑いの特訓するからね!約束だからね!!」
少し涙目になりながら私を指さすきらなちゃん。
かわいいなぁ。なでなで。
「くぉぉおらぁあ!」
「あたっ!」
「何してるー、早く席つけよー」
「はいはーい」
先生が来ちゃいました。残念です。
楽しかったのになあ。
あ!散歩ヶ寺君のお話ができませんでした。
んんー、このお話はまた今度です。
「おい高橋、吉良から聞いたと思うが、部活決まってるのか?」
「え、えと」
うう、急に話しかけられてしまいました。
「せんせー、言い忘れましたー」
「まっ、おま、ったく」
ふふ、きらなちゃんまったく。
「で、高橋」
にゃあっ。
「もう転校してきて一ヶ月になるだろ? 先生も忘れてたんだが、一応みんな部活には入ってもらってるんだ、まあ体育会系の部活に入らなくてもいいんだよ、文化系の高橋に合いそうな部活に入ればいいし、合わなかったら別のにしてもいいし、辞めて帰宅部になってもいい。やってみないとわかんないだろうから体験してみてもいいぞ、吉良には頼んであるから一緒に回ってくれる、まあ、そこまで焦らなくてもいいけど一応来週末あたりには入部届け頼むわ」
うう、体験はちょっと……。
それにもう、決まっています。きらなちゃんと一緒にお星様を見たいのです……。
「は、はい…。あ、あの、先生、私、天文学部」
「ううん! とりあえず色んな部活体験してみよ! 私はたかしちゃんと同じ部活に入るからさ!」
うう、そうは言っても体験ってちょっと、うう。
「いいのか? 吉良はそう言ってるけど、先生はどっちでもいいと思うぞ? 天文学部に決めるか?」
「たかしちゃんー!体験ー!いこー!」
「吉良うるさいぞ、お前が楽しんでどうするんだ」
「だってー、たかしちゃんと色んなことしたいし」
うう、きらなちゃんがせっかく誘ってくれてるのに。体験、ちょっぴり怖いなあ。きらなちゃんすごいなあ。ちょっぴり怖い。でも……。
「や、やっぱりもうちょっと考えます」
ふうっ。言えた。
「やったー!!」
「そうか、別に無理しなくていいからな、決まったら入部届け先生のところに出してくれ」
「わかりました」
きらなちゃんが飛び跳ねてよろこんでくれました。
あ、先生に頭をつかまれてUFOキャッチャーみたいに席に戻っていきます。
『キンコンカンコン』
それどころじゃなかった授業が終わりました。
「たかしちゃん!ありがとう!」
ちょっぴり怖いけど、ちょっぴりです。
「ううん、きらなちゃん、よろしくね」
「まっかせなさい!しっかりと引っ張って差し上げよう!」
ちょっぴり怖いこと、いっぱいいっぱい頑張って、いつかはおっきい怖いことができるようになって、それで、きらなちゃんみたいになりたいです。
と思った矢先、体験の嵐が私に襲いかかりました。
「ひ、引っ張るって?」