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たかしちゃんと  作者: 溝端翔
部活体験編
26/29

たかしちゃんと吉良家(3)

次回の更新は1月6日金曜日22時頃更新です。


毎週金曜日更新です。

Twitterにキャラクターのイメージイラストなどもアップしております。

「あら、みんないっぱい食べてるわね。バゲットならおかわりあるわよ? 食べる?」


「あ、お母さんおかえり……」


「食べます!!」


「ふふ、ここちゃんはいつも元気ねえ」


 ここちゃんよく食べるなあ。私もスポーツできるようになったらここちゃんみたいに食べられるのかな。

 うう、おなかいっぱいになってきちゃった。


「たかしちゃん無理しなくていいのよ? 食べすぎは体に良くないものね」


 結構残しちゃった……。

 初めてのビーフストロガノフ……。あと一口だけ……。


「……あむっ」


 ふう、美味しいのに。もっと沢山食べたいのに……。


「うう、ご、ごめんなさい……。ごちそうさまでした……」


「お粗末様でした。気にしなくていいのよ。みんなお腹いっぱいになる量は違うんだもの」


「それにほら、ここが欲しそうな目で見てるよ」


 あ、ほんとだ。ふふ、なんだかわんちゃんみたい。

 ……お手。ううん。なんでもないです。


「たかしちゃんくれるの? くれるの!?」


 ふふ、待てしてるみたい。


「ダメなの? くれないの?」


「あ。えっと、えっと。食べていいよ?」


 ここちゃんよし!


「え、いいの!? やったー! ありがとむぐむぐ」


「ちょっとここ! 話しながら食べないの!!」


「ふふふ」


 ここちゃんったら。可愛いなあ。ダックスフンドみたい。

 ふう、慣れてきたら帰るのがもったいなくなってきちゃった。

 でももうこんな時間かあ。


「あ、そうだ。たかしちゃんね、お母さんと喋る時すっごくかしこまってるんだよ!」


「そうなの!? ボクはいつも通りかなあ。あ、でもママにボクはやめなさい!って怒られるからたまに私って使う時が……」


「ええ!? ここが私!?」


 ええ!?

 ここちゃんが私って。ちょっと聞いてみたいなあ。


「あ、違った。使おうと思ったんだけど、こそばゆかったから結局使わなかったんだった」


「なによ! 結局使ってないんじゃない、びっくりした」


「だってボクはボクだしさー。それにママいろいろ言って来るんだもん。もっと女の子らしくしなさいとか、おしとやかにしなさいとか。スカート履きなさいとか。それでスカート履いたら今度は足開いちゃダメって言うんだよ。家の中なのにだよ? 男って言ってもお父さんとお兄ちゃんしかいないのにさ」


「それはここのおかあさんの言う通りよ! だってあんた教室でも足開いてるでしょ!」


 うん、ここちゃんいつも……見えちゃってる。


「教室くらいいいじゃんかー」


「結局どこでもじゃないの! 全く」


 ここちゃんは恥ずかしくないのかなあ……。

 私はお母さんに見られるのも恥ずかしいのに。


「きらきらが僕のママみたいなこと言うー! あ、たかしちゃんのママは? どんななの?」


 うにゃ。


「えっと、えっと」


「たかしちゃんのお母さんの声ね! さっき電話からちょっと聞こえてきたんだけど、すっごいそっくりだったよ!」


 うう、聞こえちゃってた。


「ええ!! じゃあ若いんだね!! 見てみたいなあ!!」


「ね!お母さん! そっくりだったでしょ?」


「そうね。羨ましい限りだわ。すっごいお若いんでしょ?」


 わわわ、きらなちゃんのお母さんまで。

 ううう、わ、若くない……と思うんだけど。

 それより声そんなに似てるのかな?

 うう。


「じゃあさ、じゃあさ! 身長ってどれくらいなの??」


「ううん、その前に年齢が知りたいわ!」


「あ、髪型は? やっぱりポニーテールなの?」


「若さの秘訣は? 何かいい化粧品とか使ってるのかしら」


「たかしちゃんと似てるの?」


 うにゃあああ。ど、どうしよううう。

 きらなちゃんが2人になっちゃってるよう。

 うう。待って待って。


「あー! もうこんな時間!」


 わっ、ここちゃん!

 びっくりした。


「あら、本当ね。あんまり遅くなりすぎたらお家の人心配しちゃうだろうから、今日はここまでにしておきましょうか」


「はーい」

「はーい」


 ふう。またここちゃんに助けられちゃった。


「ねえお母さん! 私たかしちゃん送っていこうと思うんだけどいい?」


「わー! いいなあ! ボクも行きたい!んだけど、そろそろ帰らないと怒られちゃうしなあ。いいなあ」


「家の中には入んないし、送っていくだけだし、抜け駆けしないから大丈夫よ!」


「そっか、じゃあ今度でいいや! ぜったい送っていくだけだからね!」


 えええっと、話が勝手に……。


「きらなちゃん……?」


「待っててね、ちょっと準備してくるから」


「あうう」


 きらなちゃん来ちゃうのか……。こ、心の準備が。


「2人とも」


「わ、はい」


「綺羅名と仲良くしてやってね。あの子、誰に似たのか昔から突っ走っちゃうとこがあるから……」


 ふふ。


「はい! もちろんです!」


「ボクも!!」


「おまたせおまたせ! あれ? たかしちゃんまだ準備できてないの?」


「えっと、あれ? カバン……」


「あ!やっぱりさっきのカバンたかしちゃんのか! ちょっと待ってて、取ってくるね!」


 わあ、そんなに走ったら転んじゃ……わないの。


「全くあの子は……」


「僕のカバンはここー」


 よいしょっと。


「ご飯ごちそうさまでした。美味しかったです」


「ありがとう。2人とも、またいつでもいらっしゃいね」


「はい!」

「はい!」


 えへへ。優しいお母さんでよかった。


「たかしちゃんカバン持ってきたよ! あ……!」


『すぽーん』


 わっ!


「あ、わっ」


『べちん!』


 ふにゃっ!


「わー!たかしちゃんの顔にー! ごめん! たかしちゃん大丈夫? すっぽぬけちゃった……」


「ううう、大丈夫……」


「もう綺羅名! 危ないでしょ!」


「ごめんなさい……。たかしちゃんごめんね?」


 うにゃううう。ううう。


「痛かった? なでなで」


 うう、ううう。


「うええええん」


「ああん! たかしちゃん泣いちゃった!!」


「あなたが投げるからでしょ!」


「投げたんじゃなくって手が滑ったんだよ!」


 うええん。ううう。


「あああ、たかしちゃんごめんねええ。顔大丈夫? 痛い? 傷とかできてない??」


 ううううう。


「たかしちゃんが顔見せてくれないー! どうしよう……たーかーしーちゃーん」


 うにゃうにゃ。いててて。うう。びっくりしたあ。


「大丈夫? 大丈夫?」


 う、うん。


「うわーよかったー! ぎゅううー! ごめんね?」


「うう。う……うん」


「顔見せて? 傷になってるかもしれないから」


 うううう。ずびずび。


「たかしちゃんが顔見せてくれないー!!」


 だってだって。お鼻が。うう。


「ほらほら、綺羅名ちょっと離れなさい。はい、たかしちゃん。お顔拭きなさい? よしよし」


「ううう。ありがとう……ございます……」


 うう、こっそりこっそり。

 ちいいん。ちいいいん。


 いてて、うう。


「たかしちゃーん! ごめんねー!! ぎゅー」


 ふにゃっ!


「顔は!? 顔は大丈夫!? 怪我してない!?」


 あうう。あんまり見ちゃだめえ。


「あー!! よかった! 怪我して……あ!目が赤い!!」


 ううん、大丈夫。目が赤いのは泣いてたから。


「よしよし、ごめんね?」


「うん、大丈夫そうね。もう! 綺羅名はもっと気をつけなさい!」


「う……。ごめんなさい……」


「たかしちゃんごめんね? 痛かったでしょう?」


「うう、大丈夫です……」


「こら! 痛かったでしょ! 強がっちゃダメ!」


 うにゃ。


「はい」


「痛かった?」


「い、痛かったです」


「よしよし。でも大丈夫そうでよかったわ」


 ふにゃあ。


「たかしちゃん避ける練習しないと! ボクなら避けれたよ! こう、シュッって!」


 えええ、だって急に……。


「それかこうだよ! こうキャッチ!」


「たかしちゃんにできるわけないでしょ!!」


「えええ! できるって! ねえたかしちゃん!?」


「で、できないよう」


「ええええ!! じゃあ練習しないと!!」


 練習って……。お顔にカバン投げるのかな……。

 練習、できるのかな。こわいなあ。


「ああ! ボクそろそろ帰らないと!! きらきらママおじゃましました!」


「あ、本当ね。また来なさいね」


 本当だ、私も帰らないと。


「はい!」


「たかしちゃん! 私たちも行こっか!!」


「うん」


「綺羅名、振り回しちゃダメよ?」


「はーい」


「本当に分かってるのかしら。全くこの子は」


「たかしちゃん。はい、カバン」


「ありがと」


「いえいえ」


「きらなちゃんのおかあさん。ありがとうございました」


「いえいえ。また来なさいね」


「はい!」


 えへへ、よかった。


「さ、行こっか! たかしちゃんち!!」


「きらきら抜けがけはだめだからね!」


 あうう、そうだった……。

 きらなちゃん送ってくれるんだった……。

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