たかしちゃんと吉良家
次回の更新は12月23日金曜日22時頃更新です。
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「たっだいまー! こっちこっち」
「おじゃましまーす!」
「お、おじゃまします」
うう、入っちゃった、緊張するよう……。玄関も綺麗だなあ、汚さないようにしないと。お靴、ちゃんと揃えないと。あれ、お靴ってどっちに向けて置くんだっけ。ううう、どうしよう……。
「たーかーしちゃん! なにしてるの! こっちだよ!」
「ううう、お靴……」
「なに言ってるの、靴はそこで脱ぐんだよ。ほらほら行くよ」
あう、お靴結局揃えらんなかった、いきなり失礼なことしちゃった。
「おかーさんただいまー」
わ、きらなちゃんのお母さんだ。髪はきらなちゃんと同じで金髪なんだ。ベリーショートすっごく似合ってるなあ。細くって綺麗。きらなちゃんがおっきくなったらこんな風になるのかな。
「おかえり、あら、ここちゃん来たの? いらっしゃい」
「こんにちは! おじゃまします!」
「あら? きらなの後ろの子は初めてね」
あう。
「え、えっと……」
「たかしちゃんだよ!! かわいいでしょ!」
「あなたがたかしちゃん。いらっしゃい。いつもきらなの事ありがとうね。振り回されて大変でしょう?」
「い、いえ! 全然そんな事ないです! いつも良くしてもらってます!」
振り回され……てるけど。でも、いっつも助けてくれるし、仲良くしてくれるし、楽しいもん。
「ふふふ、そう? これからもきらなの事よろしくね。ここちゃんも。あ、そうだ、嫌な事はちゃんと嫌って言っていいのよ? この子返事聞く前に行動しちゃうところがあるから」
「はい!」
「はい!」
えへへ、優しいお母さんでよかった。……あ、お靴はどうだろ、怒られちゃうかな。
「そうだ、せっかく来たんだからご飯食べて行きなさい」
うう。
「あの、えっと、いきなりお邪魔したのに、いいんですか?」
「いいのいいの、子供が遠慮しないの!」
あうう、なんだかきらなちゃんっぽい。
「それで、ビーフストロガノフは作ってあるんだけど、それだけじゃ足りないだろうからビーフストロガノフとバゲットとコーンスープでいい?」
え?え?ビーフ、えっと、スト?あ、コーンスープは知ってる!コーンスープは美味しい。バゲット……ビーフス……なんだろ。
「いいよー」
いい、のかな?なんだろ、きらなちゃんなに食べるんだろ……。私もなに食べるんだろ。ビーフス……。
「じゃあ作るわね。出来たら呼んであげるからお部屋で遊んでなさい」
「はーい!」
きらなちゃんのお部屋。どきどき。うう、緊張するう。
「あ、ボクきらきらママの料理見てていいですか?」
「ははは、ここは本当に好きだねえ」
「だってだって、作ってる時から美味しいんだもん!」
そんなに美味しいんだ。バゲッタ……。
「じゃあ、ここちゃんのお話でも聞かせてもらいながら作ろうかしら。たまには若い子とお話ししないとどんどんおばさんになっちゃうものね」
ええ、おばさんって。きらなちゃんのお母さんこんなに若いのに。
「きらきらママはまだまだ若いですよ! うちのママとは比べ物にならないです!」
うんうん。私のお母さんとも。
「ふふ、ありがとう、嬉しいわ」
「じゃあたかしちゃん、上いこー。私の部屋上だから」
「うん」
ふうう、どきどき。
「じゃあ出来たら呼んでねー」
「はいはい」
「たかしちゃんおいでー」
わ、待って。置いてかないでー。
「あ、足もと気をつけてね」
「だ、大丈夫だよう」
「たかしちゃんドジだからなー、ふふ」
むう、階段なんかで転ばないもん。
「きらなちゃんひどいー」
「あはは、ごめんごめん。ほら、ここが私の部屋だよ」
本当だ、ドアに星型の看板がかかってる。ひらがなで『きらな』って。可愛いなあ。
「はいはい入るよー」
にゃ。
「ちょっと散らかってるけど気にしないでねー。いつもの事だから」
「わ、きらなちゃんの匂いがする」
「え、私そんなに臭い?」
「臭くないよう! そうじゃなくって。お部屋の中がきらなちゃんのいい匂いがするの」
「あー、多分これだよ、香水。付ける? 私の香り。ふふふ。まあ適当にその辺座っといて。私ちょっと着替えるね」
すごい、綺麗なお部屋。きらなちゃんっぽいなあ。きらなちゃんはベットで寝てるんだ。このお化粧台でいつもお化粧してるのかな。お化粧道具いっぱいあるなあ。勉強机、いっぱいシールが貼ってあるなあ。ふふふ、いつ貼ったものだろ。はがした後もある。えへへ、きらなちゃんのお部屋。嬉しいなあ。
「たかしちゃん、シュートのちっちゃい時の写真見る?」
「阿瀬く……ふにゃあ!」
き、き、きらなちゃん!
「ん? どうしたの?」
「お、お服! お服!」
「服は今着替えてるところだよ?」
「なんで下着だけになってるのー!」
「だってこっちの方が涼しいし動きやすいし。女の子同士なんだし気にする事ないでしょ」
はうう、びっくりしたあ。きらなちゃんのお胸が……ドキドキ。
でもきらなちゃんスタイルいいなあ。ウエスト細くって羨ましい。
「あ、それでね、机の上に写真飾ってあるでしょ? そこにちっちゃい時の私とかシュートとか写ってるよ」
えっと、あ、これかな……。可愛い写真立て。お星さまがいっぱいキラキラしてる。
「そうそう、それそれ。どこに写ってるかわかる?」
えっと、どこだろ。あれ?うーん……。
やっぱり。
きらなちゃんがいない……。
あれれれれ?写ってるって言ったのに、多分、この子が阿瀬くんだと思う。ふふふ、ちっちゃくて可愛いなあ。にゃ。ふんふん、可愛いって、その、ちっちゃくてって事で、あうう。そうじゃなくってきらなちゃんどこだろ……。えっとえっと。
「見つけた?」
「ううん、阿瀬くんは見つけたんだけど……きらなちゃんが見つからないの」
「あ、シュート見つけたんだ、可愛いでしょ。このころは可愛かったのにねえ、今となっちゃあんなだから……全く。っと、そうだそうだ私はねー……えーっと。あーここここ。ほら、ここにいるでしょ」
え。
「えええええええ!!!」
「わあっ! もうどうしたのさ、びっくりするでしょ」
だってだって……。
だって!!
「きらなちゃんの髪が黒いんだもん!!」
真っ黒だもん!
髪型はツインテールだけど、でも止めてるのは赤くて細いリボンだし。
でも確かに可愛いなあ、笑ってる顔はきらなちゃんっぽい。
「だってその写真小学校の2年生の時の写真だもん! そりゃあ黒いよ、髪型はたまたまツインテールだけど6年の時はポニーテールにしてたよ」
きらなちゃんの黒髪ポニーテール!見たかったなあ。
「ふうう、びっくりしたあ。きらなちゃんの髪黒いんだもん」
「私が染めたの中学からだよ? お母さんがねー、白髪が増えてきたからーって染めようとしてたからついでに私も染めたの」
ついでって……先生に怒られちゃうのに。
「先生に怒られるのは適当にしてればいいでしょー全くう」
それにしてもきらなちゃん可愛いなあ……。
「あ、そうだそうだ、可愛いシュートに見とれてないでさ、小学校の卒業アルバム見る?」
にゃ。
「阿瀬くんじゃなくてきらなちゃんに……にゃああ!!」
「ん?どうしたの?」
「お着替え終わってたの?」
「そだよ、いつもの部屋着ー。どう?似合う?ふふ」
ううう、きらなちゃんの部屋着姿可愛いよう。いいなあいいなあ。明るいエメラルドグリーンのパーカー似合うなあ。
「うん、似合ってるよう」
「えへへ、ありがとう。このパーカーお気に入りなの。あ、下はいてないと思ってるでしょ。ほら、ちゃんと短パンはいてるからね!」
「見えてた。ちょっと見えてたよきらなちゃんわざわざめくらなくてもいいよう」
「なーんだ、せっかくチャック閉めといたのになー。ふふ」
きらなちゃん可愛いなあ。
「そうだったそうだった、確かこの辺にしまってあるはずなんだけど……。あれ? たかしちゃーん」
「なあに?」
「私卒業アルバムどこにやったか知ってる?」
「知らないよう」
「知らないかー、どこやったんだろ」
ふふふ。初めて来たのに知ってるわけないよ。きらなちゃんったら。
「あーだめだ、みつかんない。探しとくね。また今度来た時にゆっくりみよっか」
「うん」
また来れるのかあ。えへへ。
「ご飯まだっぽいねえ。何する?」
「え、ええっと」
「あ、私の服着る? 2人でファッションショーでもする?」
わ、きらなちゃんの目がキラキラしてる。わわわ、待って待って。
ガチャッ!
「2人ともー!!ご飯出来たよーー!!」
「わあっ!」
ぼふっ。
いてて、ベットがあってよかった。こけちゃった。
「ご飯出来たんだけど……お邪魔しちゃったかな?」
「何言ってんの」
あううう、なんか恥ずかしいよう。
「あ、ここも一緒にファッションショーする?」
「なんだファッションショーしてたのか」
うんうん。ファッションショー!
「今からしようとしてたところよ」
「ボクは似合わないからいいや。そんな事よりご飯だよご飯! 早く食べよ! ビーフストルノガフ!」
「ビーフストロガノフでしょ。ちぇ、ファッションショーもまた今度かー」
あ、いい匂いがする……これが、えっと、ビーフトスルガノフ?の匂いなのかな。美味しそう。