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たかしちゃんと  作者: 溝端翔
部活体験編
22/29

たかしちゃんと未確認生物

次回の更新は12月9日金曜日22時頃更新です。


毎週金曜日更新です。

Twitterにキャラクターのイメージイラストなどもアップしております。

「いえいえ、いくらきらな先輩でもここは曲げられません! 火星人はこうです!」


「えーだからなんでタコなのさ! 誰も見たことないんだからタコじゃないって! だって地球にも陸にはタコいないんだよ!? 私はこんな感じだと思うなー……おっきい目で二足歩行でー、犬みたいな耳が生えてて体は毛むくじゃらで、葉っぱで作った服着てて、それからこんな口から火を吹くんだよ!」


 ふふふ、変な絵だなあ。


「あー! きらな先輩この火星人口がタコですよ! タコじゃないって言ったのに! それに火星に植物なんてないですから葉っぱの服は着てないと思います!!」


 あ、ホントだ、確かにタコっぽい。きらなちゃんたら。


「こういう筒状の口なの! 足だって普通だしちゃんと骨だってあるからタコじゃないよ! それに植物がないのにどうやって火星人は生活してるのさ! 火星には植物もあるし火星人はタコじゃないの!」


「う……確かに、植物についてはそうかもしれないですけど……。でも……」


「ねえ早乙女、きらな先輩確かに説得力あるけどこの絵……」

「火吹いてるな、火星人。絶対火星の火に引っ張られてるな……」

「やっぱそうだよね」

「多分そうだと思う」


「あー! でもやっぱり私はタコ型じゃないと嫌だー! こんなの全然可愛くないもん! 口はこれでいいですけど、もっとこうニョロっとした足がいっぱいあってつぶらな瞳なんです! 色もオレンジとかピンクとか緑とかでツルっとしてるんです!!」


 私もこっちの火星人さんの方が可愛いなー。きらなちゃんのはちょっと怖い気がするし。


「ううん、絶対こんなだよ! けむくじゃらなの!」


「違います! ツルっとしてるんです!」


「けむくじゃら!」


「ツルっと!」


「けむ!」


「ツル!」


 あわわわ、どうしよう。きらなちゃんと光ちゃんが喧嘩し始めちゃったよう。火星人さんが来てくれたら喧嘩しなくて済むのに……。望遠鏡でも見えないって光ちゃん言ってたしどうしたらいいんだろう……ううう。


「たかしちゃんどう思う!?」

「たかしちゃん先輩どうお思います!?」


「ふにゃあ! えええっと……」


 ううう、見てるよう。怖い顔で二人ともこっち見てるよう。どうって、どうしよう。火星人さんは誰も見たことがなくって、光ちゃんはタコさんみたいだと思ってて、きらなちゃんは何だかよく分かんなくてちょっと怖くて、えっと、えっと、えっと……。

 そうだ!


「わ、私はこんな感じだと思う……。かなあ……」


 まあるくて、おめめが2つあって。おてては無くて……足は2本短いのがあって。おててがないから生えてるはっぱとかをたったまま食べるの。ふふふ。かわいい。


「たかしちゃん!」

「たかしちゃん先輩!」


 ふにゃあっ。


「な、なあに?」


「絶対違う!!」

「絶対違います!!」


 ううう、うわあん。うう。


『キーンコーンカーンコーン』


「あ、部活終わっちゃった! あれ、たかしちゃん泣いちゃってる。よしよし。どうしたの? まだ部活したかった?」


「たかしちゃん先輩大丈夫ですよ、また来週もその次の週もありますから」


 うう、くすん。ちょっと怖かったよう……。うう。


「女の子って怖いね……」

「俺、当分流れ星には彼女が欲しいって願い事しないでおこうかな……」


「あ! ここの所行かないと! もう待ってるかもしれない! 先生、もう帰っていい??」


「ふっ。ん? ああ、いいぞ。片付けが終わったら解散だ。次は来週の火曜日だからな。忘れずに来いよ」


「はーい」


 くすん。もう終わっちゃったのかあ。でもまた来週もその次もあるんだ。

 光ちゃんも八木くんも早乙女くんも、先生も。輝先輩と干柿さんには会えなかったけど、みんな優しくて楽しくてよかった。


「たかしちゃんまたぼーっとしてるよ! 早く早く! 急がないとここ待ってるかもよ!」


「わ、うん。待って待って」


「じゃあ僕達はお先に失礼します」

「お疲れ様でーす」


「おう、気をつけて帰れよ」


 あ、八木くんと早乙女くん帰っちゃう。


「ばいばい」


 ふう……。

 挨拶するだけなのに何だか緊張したあ。


「あー、たかしちゃんばいばいじゃないよ! 先越されちゃったじゃんかー、早く早く!」


「あうう、お、お待たせ…」


「もう! たかしちゃんいつもカバン持つだけなのに遅いよ!」


 うう、だって、いろいろ考え事しちゃって……。


「まあいいや、先生私たちも帰りまーす。 ほら、たかしちゃん行くよ!」


「う、うん」


「あ、きらな先輩わたしも途中まで一緒に行っていいですか?」


 光ちゃんも一緒!えへへ、何だか部活動っぽい。


「いいよ! って言っても私たちハンドボール部の所行くから正門から反対方向に進むことになるよ?」


「そうなんですか、残念です。じゃあ、また今度一緒に帰りたいです」


 うー、そっかあ。私も光ちゃんと一緒に帰りたかったなあ。残念……。


「もちろんよ! ごめんね光……。あ、それかたかしちゃんと一緒に正門で待っててくれてもいい? 私たーっと走ってここ迎えに行ってくるから。たかしちゃんはどう?」


「う、うん。えっと、光ちゃんがいいなら……私はいいよ?」


「はい! じゃあたかしちゃん先輩と2人で待ってます!」


 光ちゃんの笑顔はまぶしいなあ。


「じゃあ、私ここ迎えに行ってくるね! 正門で待ってて!!」


 わあっ、きらなちゃんそんなに走ったら危ないよう……って言いたいのにもう見えなくなっちゃった。

 よーし、じゃあ正門で待ってよっかな。光ちゃんと2人で……。あうう。2人っきりになっちゃった。あ、今はまだ部室だから先生も居るけど、お外でたら2人っきりになっちゃうよう。どうしよう。ううう緊張してきちゃった。


「あの、たかしちゃん先輩、私たちも行きましょう」


 ふにゃ!


「う、うん。い、行こっか」


「先生私たちも帰ります。さようなら」


「おーう。ふっ。ふっ」


「さ、さようなら」


 あ、まだ鮭持ってる。先生結局部活中ずっと鮭持ってたんだ。


「たかしちゃん先輩!」


「しゃけ!」


「しゃけ? ふふふ。たかしちゃん先輩緊張してるんですか? 大丈夫ですよ! これだとなんだか私の方が先輩っぽいですね」


 光ちゃんがお話までしてくれてる。私の方が先輩なのにこれなら本当に光ちゃんが先輩みたい……。


「あ、こんなこと失礼ですよね。先輩より先輩だなんて。ごめんなさい」


 謝らせちゃった。しっかりしないと……。ふう……。


「そ、そんなことないよ。わ、私人見知りで……。今だって光ちゃんが話しかけてくれて、私のせいで謝らせちゃって。光ちゃんの方が先輩っぽいなあって思うもん」


「ふふ、じゃあこれからは私が先輩になっちゃおっかなー。なんて、そんなことなくはないですけど、でもたかしちゃん先輩はたかしちゃん先輩ですよ! たまにはそういう先輩がいてもいいと思います」


 頼りない先輩って、先輩なのかなあ。


「一緒にいて話を聞いてくれる先輩もいいじゃないですか! じゃあじゃあ私しゃべって良いですか?」


「うん」


「じゃあ、たかしちゃん先輩はいつも誰と帰ってるんですか?」


「えっと、1人……かな。きらなちゃんいつも放課後忙しそうだし学校でばいばいしちゃうから。そういえば、きらなちゃんと一緒に帰るの初めてだ」


「そうなんですか!? 意外ですね!!」


 自分でもびっくりだなあ。そういえば初めてだったんだ。初めて学校案内してもらった時もきらなちゃん先帰っちゃったし。いつも授業終わってからも教室で喋ってて、きらなちゃんが誰かに呼ばれたら帰ってたから一緒に帰る機会もなかったんだ。だからきらなちゃんのお家も知らないんだ。


「私はですね、隣に住んでる幼なじみとよく一緒に帰ります。金曜日だけはその子の部活が無くって。だから金曜日はいつも1人で未確認生物とか探しながら帰ってるんです」


 ふふふ。


「見つけたことあるの?」


「それが残念ながらまだ一度もないんです。ツチノコくらいならいるかと思って探してみるんですけど全然見当たらなくって。この間は気がつけば9時になってて両親にすっごく怒られちゃいました」


「えええ、9時って、危ないよう」


「本当に危なかったです。もう少しで警察に電話するところだったってお母さんが」


 それもそれで危ない所だったなあ。ふふふ。

 でも、それだけ夢中になるくらい好きなんだ。


「ねえ、光ちゃんはどうして火星人とか、ツチノコとか、珍しいものが好きなの?」


「うーん、とにかく可愛いんです! 姿を見せない所とか、それなのに話題になる所とか。見たって場所に行っても、出たって場所に行っても見つけることはできなくて、だけどそこにいるんです。可愛いと思いませんか!?」


 えええっと、どうだろ、可愛いかは……わかんないなあ。

 でも。


「私も見てみたいなあ」


「たかしちゃん先輩! 今度一緒に探しましょう! そういえばこんな噂知ってます!? この学校ってずーっと昔からあるらしく、新しい校舎とか古い校舎とか色々混じってて。古い校舎は何度も何度も補修工事を繰り返して使ってるらしいんです。それで、どれかはわかんないんですけど、昔からあるその校舎の二階の女子トイレに出るらしいです。幽霊が。」


 幽霊……。おばけ。


「みんなは花子さんって呼んでるみたいで。そのありきたりな名前はその幽霊の本名らしいですよ。それで、トイレの前で花子さんの名前を呼んだら、花子さんの怒りを買って存在を消されるとか」


 存在を……。はうう。どうしよう。ツチノコさんとかが良かったよう。消えたくないよう。でも光ちゃんとっても楽しそうだし……。


「ふふ、たかしちゃん先輩はかわいいです。心配しなくてもそんな噂が流れるってことは消されないって事ですよ。見た人が噂の発信源ですからね」


「そっか、そう、だよね。」


「あ、話してるうちに着きましたね正門。ちなみに花子さんは夜に出るらしいので天文部で集まった時がチャンスです!」


 ふふ、楽しそうだなあ。でも本当にいたら怖いなあ……。でも、いたら良いなあ……。


「ひかりちゃん」


「はい」


「幽霊、可愛いと良いね」


「はい!」


 えへへ、とっても楽しい後輩さんです。


「あ、幽霊の呪い?とかには何が良いんだろ。お札とか作って持っておいたほうがいいのかな」


「どうでしょう、花子さんに効くのかわかんないですけど、塩とかは持っておいたほうが良いかもですね」


 塩って、何のお塩でも良いのかな。お家のお塩で良いのかな。

 うう、やっぱりちょっと不安だなあ。

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