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たかしちゃんと  作者: 溝端翔
部活体験編
21/29

たかしちゃんと天文部(3)

次回の更新は12月2日金曜日更新です。


毎週金曜日更新です。

Twitterにキャラクターのイメージイラストなどもアップしております。

「お、自己紹介終わったか? みんな仲良くな。まだ部長と副部長は来てないけど部活始めるぞ」


 輝先輩と干柿さんはまだなのかー。

 わ、先生すごい汗だくになっちゃってる、ずっと鮭を持ち上げたり降ろしたりしてたのかな?

 ここのお部屋ひんやりするから風邪とか引かないかな。あれ、でもマスクしてるしもう引いちゃってるのかな?大丈夫なのかな。それにしてもあの鮭なんなんだろ。


「じゃあとりあえず新入部員恒例イベントだ。高橋にこの部室のとっておきをみせてやろう。びっくりして腰抜かすなよ!?」


 とっておきかあ、なんだろ。この間の星空よりも凄いんだろうなあ。天井が開いてお空が見えるのかな……。わくわくするなあ。


「じゃあ行くぞ。1、2、3!」


 わっ!

 びっくりした、急に電気が……。あ、やっぱり綺麗だなあ、本物のお星さまみたい。

 あれ、でもとっておきってなんだろ。うーん、見当たらないなあ。

 わ、電気ついた、お目目がきゅーってなるー。


「どうだ高橋! この部室のとっておきは! 凄いだろ!」


「えっと、先生。よ、よくわかんなかったです……」


「なに!? 天井見たか!? 天井にとっておきが隠されているんだぞ!!」


 あ、鮭。指し棒にも使うんだ。万能だなあ。

 天井かあ、わかんなかった。うーなんだろ、せっかく先生がとっておき見せてくれたのに。


「もう一回……」


「よし、しっかり見とけよ!」


 きらなちゃんどうしたんだろ、なんか笑ってるけど……わあ、やっぱり綺麗だなあ、あれはオリオン座かなあ。

 あれ?とっておきどこだろ。先生は鮭でこの辺指してたけど、何にもないなあ。


「どうだ高橋、見えるか!? すごいだろ!!」


「えっと……」


 うう、絶対先生ショック受けちゃうよう。

 ないよう。とっておき……。

 あ、きゅーう。


「なぜだ……。なぜ高橋はこの星空を前にして全く驚きを見せないんだ……。この星空を見た新入部員は必ず驚き綺麗な瞳で星空を見つめ、その瞳がまた星空の一部となり輝きを放つというのに!!! ……まさか、私の筋肉が足りないというのか」


「あっははは、先生もう筋トレはいいって、とりあえずその鮭置いて! たかしちゃんはね、昨日天井の星見たんだよ。輝先輩から聞いてないの?」


 あ、もしかしてとっておきってこの星空だったのかな……。


「そういえば、昨日来たと言っていたような…」


「ほーら、先生筋トレのしすぎで頭まで硬くなってるんじゃないの。でも、だからたかしちゃんは知ってたからもういいんだって、部活始めようよ!」


「そ、それもそうだな」


「うう、先生、ごめんなさい」


「いやなに、気にするな。私が筋トレを怠ったせいだ。高橋が謝ることではない。それに高橋は星空を気に入っているのだろう!? ようこそ、天文部へ。この星空と部員、そして私が歓迎しよう!!」


 先生また鮭を持って、なんのポーズだろう。先生の決めポーズなのかな。


「はーい、みんな座って座って」


「たかしちゃん先輩かがやいてたね」

「星空似合ってたな」


「はーいそここそこそ喋らない」


「たかしちゃん先輩!改めてよろしくお願いします!」


「えっと、光ちゃん。よろしくね」


 みんなテーブルに座ったけど、どんなことするんだろ。星のお勉強かなあ。ビデオ見たり写真みたりするのかな。


「たかしちゃん先輩たかしちゃん先輩! たかしちゃん先輩はなんで天文部に入ったんですか?」


 わ、部活のおしゃべりだ。緊張するけど光ちゃんと仲良くなりたい……!


「えええっと、お星さまが見たかったから……かな? ひ、光ちゃんはどうして天文部に入ったの?」


「私ですか!? 私は天文部だと星が見れるからです!」


 同じ理由だ。やっぱりみんなお星様が見たくてここにいるのかな。


「ここの部室じゃなくて天体室ってところがあるんです! 天井はガラス張りでおっきい望遠鏡でちーっちゃい星をおーっきく見ることができるんです! 私、珍しいものが好きなんです」


 天体室かー。早く行きたいなあ。珍しいものってなんだろ、期間限定の味とかかな。


「でも天体室は完全下校の後の夜にある部活か休みの日の夜の部活の時しか開かないんです、入れるのも天文部の部員と先生だけなんですよ! それでですね、珍しいものと言ったら何がありますか!?」


 えええ、珍しいもの……。


「やっぱり、期間限定の味とか……」


「おお! 好きです! 特にこの間コンビニで買ったコーラの明太子味、あれすっごく不味かったんですよ」


 ふふふ、光ちゃんあれ飲んだんだ、チャレンジャーだなあ。


「でも、もっと珍しいものがあるんです! 日本で言ったら、ツチノコですね!後は河童とか。海外でいうとイエティとかマス湖のマッシー。知ってます!? マッシーが現れる日の湖はいつもより水が増えてるらしいですよ!」


 わわわ、すごい、光ちゃん楽しそう。マス湖って聞いたことあるなあ。河童は前住んでたところの近所にいるって言われてた。今度教えてあげよっかな。


「他にも、幽霊とか妖怪とかそういうのも大好きです! でも私が一番好きなのは宇宙人なんです!!」


 わー、光ちゃんのおめめすごくキラキラしてる。


「まだ宇宙人は見たことがないんですよ! 天文部に入ったらおっきい望遠鏡があるし、いつかはUFOとか宇宙人とかが見れると思って。それでそれで特に私は火星人が好きです!ほら、可愛くないですか!これキーホルダーですけど、タコみたいな足にタコみたいな口が付いてて色は緑だったりオレンジだったり、それで私たちと同じくらいの身長らしいんです。あー、早く見てみたいです」


 そっかあ、光ちゃんは火星人さんが好きなのか。見れるかなあ。私が見つけた時は真っ先に教えてあげよ。

 光ちゃん面白いなあ、えへへ、仲良しになれたかな。


「たかしちゃん先輩は宇宙人じゃないですか!?」


「わう、えええっと、違う、違うよ!」


 びっくりした、まだ宇宙人だと思われてたのかな。


「残念です、友達になった人には全員に聞いてるんですけど、だれも宇宙人じゃないんです」


 そりゃそうだよ!もし友達が宇宙人だったらこわいよう。うう、きらなちゃんは宇宙人じゃないもん。ううう。


「あっははは、たかしちゃんもしかして私が宇宙人かもとか思ってるでしょ! そんなわけないでしょ! 確かに腕は4本あるし、生まれたのは地球じゃないけど宇宙人じゃないよ」


 えええええええええ!!!


「えええ!?本当ですかきらな先輩!?」


 あううう、きらなちゃんが、きらなちゃんが。うううう。

 もしかして私を食べるために一緒にいてくれたのかな……。今だっていつの間にかおかし食べてるし……。あ、高橋屋のポテトチップス……。


「うわああん。ううう、ううううきらなちゃん」


「あああ、泣いちゃった。ごめんごめん冗談だよーよしよし。私は正真正銘の地球人だから心配しなくていいよー」


「うううう、ほんとう?」


「本当! だって腕4本もないでしょ!! それにもし私が宇宙人だったらわざわざ学校になんか来ないで地球征服するよ! 全くたかしちゃんは! ちょっとひどいよ!」


「あうう、ごめんなさい」


「いいこいいこ、ぎゅー」


 よかった、いつものきらなちゃんの匂いです。腕も2本しかない。ふうう。くすん。


「ちょっと光、あんたも冗談だからね!! そんな珍しいものを見る目で私を見ないの!!」


「残念です、やっと会えたと思ったんですけど。でもまだまだ可能性はあるのであきらめませんよ!」


「いや、だから私が宇宙人の可能性はゼロだって」


 ふふふ、きらなちゃんが変な冗談言うからですよー。

 怖かったー、食べられちゃうかと思っちゃった。ふう、よかったー。


「今たかしちゃん先輩泣いてたよ」

「みろ、なんだかすごく可愛いぞ」


「そこ! こそこそしない!!」


「あ、えっと、八木くんと早乙女くんはどうして天文部に入ったの?」


「うわ、話しかけられちゃった」

「どうする、なんか緊張するな」


 ん?なに話してるんだろ?


「えっと、僕は……」


「だめだよ、やっぱり流れ星に願い事するためにとか軽蔑されちゃうよ」

「そんなことよりも一番楽そうだったからって理由の方が軽蔑されるだろ」

「どうしよう早乙女、なんて説明したらいいんだろ」

「そんなこと俺に聞かれても不純な理由以外にないぞ」


 うう、なんだろ。聞いちゃダメだったかな。

 何話してるんだろ。うう、嫌われてるのかな。


「どうせ一番楽そうだからーとかついでに流れ星に願いをーとかそんな感じでしょ」


 そう、なのかな……。


「どうする、きらな先輩こわい」

「どうするって……どうしよ」


 でも。


「私はそんな理由でもいいと思うなあ。私だって、お星さまが見たいだけだもん」


「実はそのと」


「でも、八木くんと早乙女くんはもっとお星さまが好きだからって感じがする。先生も……鮭持ってるけどお星さま好きだと思うもん」


 あれ、いま二人がなにか言おうとした気がしたけど。なんだったんだろ。


「いや、なんでもないです!星好きです!」

「俺も!星好きです!流れ星とか大好きです!」


「ほら!」


「そうかなあ、怪しい……」


 あ、あう。なんかすごくでしゃばっちゃった気がするよう。でもみんなお星さま好きなんだなあ。いい人たちばっかりだし。


「どうする、嘘ついちゃった」

「う、嘘じゃないぞ、流れ星は好きだろ」

「これこそ軽蔑されないかな」

「だ、大丈夫だ、たぶん」


 また二人でお話ししてる。仲良しだなあ。

 あ、そういえば輝先輩と干柿さん遅いなあ。来ないのかなあ。


「先生、えっと、輝先輩と干柿さんは……」


「ああ、あいつらなら多分来ないぞ。これから梅雨が始まるし、そうなったら星も見れないだろ。だから連絡事項も特にない。あいつら星が見れなかったら来ないんだよ。部活のない日はここにさっきの星空ができるから来るんだけどな」


 そっかあ、こないのかあ。干柿さんともお友達になりたかったなあ。

 それにしても先生ずっと鮭持ってるなあ。あの鮭何なんだろ。


「あの、先生。その……」


「なんだ? 聞きたいことがあったら気軽に聞いてくれたまえ」


 うう、なんか緊張する。


「えっと、その……うう」


「その鮭だよ先生。たかしちゃん怖がるから置いといて、本当に」


「なに、この鮭の事か!? いいダンベルだろ。以前の天文部員たちが卒業するときにくれたんだよ。先生鮭好きでしたよねってな。そんなことは一言も言ったことないし、ダンベルとしてはずいぶん持ちにくいと思ってたんだけどな、いざ使い始めるとだんだん手に馴染んできてな、もうこれ無しじゃ生きていけない体になってしまったよ。高橋も持ってみるか? 重いからここに置いてやろう」


 ダンベルだったんだ。ダンベルって、あの、トレーニングするやつだよね……。なんで鮭なんだろ。先生鮭別に好きじゃないみたいだし。


「あっははは、初めて知った、先生それダンベルじゃなくてただの置物だよぜったい。だいたい鮭好きでしたよねって馬鹿にされてるからね!!クマみたいだからってことでしょそれ。あははははは」


「なに!? この鮭はダンベルじゃなかったのか!! 確かによくクマさん先生と呼ばれていたがそういう事だったのか」


 そうだった、先生クマさんみたいだなあって思ってた。

 そっかあ、だから鮭なんだ。お星さま全然関係ないもん。へんだなあと思った。でも似合ってるなあ。ふふふ。


「でも! 置物でも何でももらったものは大切に使わせてもらうぞ。今ではいいダンベルだ」


『ドガン』


 うわあっ、テーブル壊れないかな、凄い音。先生ずっとそんなに重い鮭持ってたんだ。怪我しちゃうから私は触らないようにしないと。


「あーそれから、梅雨が明けるまでは特に活動という活動はないぞ。強いて言うなら今みたいに部員同士で親交を深めるのが部活動だ。部室で楽しくしゃべったり、みんなでどこかに出かけるというなら好きにしていいからな。次に天体室に行けるのは7月7日の七夕だ。その日は夜に集まってみんなで天の川を見るぞ。先生からは以上だな」


 そっかあ、梅雨になったらお星さま隠れちゃうもんね。七夕までまだ1ヶ月くらいあるなあ。早く七夕こないかなあ。

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