たかしちゃんとお昼ごはん
次回の更新は11月18日金曜日更新です。
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『キンコンカンコン』
「疲れたーやっと四時間目終わったねー。あ、そうだたかしちゃん! 今日たかしちゃんの家行っていい?」
「うん……。にゃ? えっと、わ、私のお家?」
「うん! そういえばたかしちゃんのお家行ったことないなあと思って! 今日部活終わったら行っていい?」
えええっと、いきなり、えっと、うう。……うう。
「だめ? たかしちゃんが朝先生に入部届だしてた時に思いついたんだけど」
なんでそんな時に思いついたんだろ……。じゃなくて、お家、ダメじゃないけどなんだか恥ずかしいなあ。お片づけもしたいし。
「えっと、お片づけ……」
「なになに!? 楽しそうな話してるね!!」
わっ、ここちゃん。
「そうなの! たかしちゃんの家に行っていいって話、ここも来る?」
「行きたい行きたい! でもボク今日も部活あるからなー」
「それなら大丈夫。今日私たちも部活だから一緒に行けるわよ」
わわわ、二人で盛り上がっちゃってる。
「えっと、二人とも、あの、お片づけしたいの。だから、その、また今度じゃだめ……?」
「えー!ダメなのー? 今度かー。うーん」
「あ、じゃあさじゃあさ、きらきらの家行こうよ! 久しぶりにきらきらのお母さんのご飯食べたい!」
きらなちゃんのお家!
わあ、行ってみたい…。
「わ、私もきらなちゃんのお家行ってみたいな」
「私の家!? 別にいいけど何にもないよ?」
「そんな事ないよ、きらきらのママのご飯美味しいでしょ。たかしちゃんも食べたほうがいいよ、ほんっとうに美味しいから」
「うーん、でも初めて行くのにご飯なんて…。そこまでおじゃましちゃ悪いんじゃ」
きらなちゃんのお家に行けるだけで満足だし、いきなりご飯なんて悪いもん。そりゃあ気になるけど……。
「あー、そんなことは気にしなくて良いの。友達でしょ。でもじゃあ今度たかしちゃんとここの家行かせてよね!ダメとは言わせないからね!」
「う、うん」
「いいよ!」
お部屋片付けなておかなくっちゃ。お母さんにもちゃんと言っておかないと。
えへへ、きらなちゃんのお家。きっとすーごい豪邸でお母さんもお父さんもきらなちゃんみたいに可愛くてきらきらしてるんだろうな。楽しみ。
「じゃあ部活終わったらハンドボール部の所行くからここは待ってて、多分天文部のほうが早く終わると思うし」
「うん、分かった。片付けとかもあるしそのほうが良いかな」
そっか、部活もあるんだった。初めましてだから緊張するなあ。あ、そうだ、きらなちゃんのお家も初めましてだから緊張する。ううう、すごい緊張してきちゃった。
「さ、お弁当食べよっか。ここも一緒に食べる? 良いでしょたかしちゃん」
「う、うん……」
「じゃあせっかくだから食べよっかな!」
「私も」
えいえい、今緊張しても仕方ないぞ。どうせ考えたって緊張するんだもん。
それよりも、今日はここちゃんも一緒にお弁当だし、いっぱい楽しむぞ。みんな今日はどんなお弁当だろ。
「よし、じゃあどこで食べる? 屋上とか行く?」
「ここで食べれば良いじゃん」
「そ? じゃあここで食べよっか。いい?たかしちゃん」
「うん、いいよ」
「えー、こっちで食べましょ」
ん?こっちって、あ、あれ?
わ、白百合さんいつの間に。
「ちょっと愛! なに自然と会話に紛れ込んできてるのよ! 大体こっちってどっちよ」
きらなちゃん、突っ込むところはそこじゃない気がするよ。
「私の席よ。みんなで一緒に食べましょ」
「んー…。別に私は良いけど……こことたかしちゃんは?」
「え、ボクは別に良いよ」
「えっと、私も、いいよ?」
でも、いいけど……。うう、白百合さんお話ししたことないから緊張するよう。
「ふふふ、やっと一緒にご飯を食べることが出来るわ」
「や、やっと?」
「あ、初めまして。って言っても同じクラスだけれど。初めまして、名前は白百合愛って言うの。よろしくね」
「はい、えっと、私は……」
「知ってるわ。だってずっとねら…おっと、ずっとお友達になりたかったんですもの」
え、えへへ。なんだかそう言ってもらえると嬉しいな。
「それならもっと早く来ればよかったのに。たかしちゃん来てからもう一ヶ月位たってるのに」
「それは、しなさだ…じゃなくて、高橋さん可愛くって。なんだか恥ずかしくってね、なかなか話しかけられなかったの」
「か、可愛くないです。白百合さんのほうが、髪だって綺麗でふわふわで長くって。お目目もぱっちりのまん丸で。背も高くて細くって、それに、えっと」
お、お胸もおっきい。いいなあ。
「ふわあああ! そんなに見てくれて! 高橋さん、ううん、たかしちゃんて呼んで良い? 私とけっこ…」
「ストーップ!!」
わあっ!!
「き、きらなちゃんチョップしたら痛いよ」
「違う違う! たかしちゃん気をつけなさい? こいつはね、女の子が好きなのよ」
お、女の子?
ど、どういうことだろ。
「もーきらきらは、これは嫉妬ね、そうなのね。安心して良いのよ、きらきらも、ここたんもみんな私の…いたいっ!」
「言っとくけど私もここもあんたのじゃないからね。もちろんたかしちゃんも!」
ふにゃあっ!!
「そんなことないわ。ほら、たかしちゃん嫌がってないでしょ。こんなに抱きしめがいのある女の子なのよ。あー可愛い、私のことは愛って呼んでね」
「こーるぁ! 勝手に私のたかしちゃんに抱きついてスリスリするな!!」
ふにぁあ。きらなちゃん引っ張らないでー。ううー、あ、愛ちゃんも。ふにぁ。いてててて。
「ちょっとちょっと二人とも。たかしちゃん取り合ってないでご飯食べようよ」
「そうね、よしよし、ここたんもぎゅーしてあげましょうね。寂しかったねーぎゅー」
「いやそうじゃなくてお腹すいたし、食べて遊びに行きたいんだって」
ふう、愛ちゃん良い匂いがしました。じゃなくて急にぎゅうってされてびっくりしたあ。ふうー。
「じゃあボクこっち座るね」
「ああ、じゃあたかしちゃんこっちおいで、私もたかしちゃんの隣に座るから。愛の隣に座らせたらなにされるかわかんないし」
「ふふふ、たかしちゃんの正面もらったわ。」
うう、そんなに見られるとご飯食べられないよ…。
「ちょっとあんた見すぎ! はあ…。しまったわ。今まで静かだったからここまでおおっぴらにたかしちゃんを狙いに来るとは思わなかった」
「だってずっと待ってたんだもの。いきなり話しかけて嫌われちゃったら嫌だから、話しかけても断れないタイミングを伺ってたの」
「だからっていきなり抱きつくな!! それに何そのストーカーみたいな理由。まったく……」
「あの、きらなちゃん、さっきの女の子が好きって?」
「愛はね、女の子が好きなのよ。男の子じゃなくてね」
ええええ!?
好きって、その、えっと、えええ!?
「違うわきらきら、私は“可愛い”女の子が好きなの。いや、愛しているのよ!」
「たかしちゃんの卵焼きとボクの卵焼き交換しよ」
「う、うん」
「なにいってるの、最早これは話しかけるタイミングとかそういう問題じゃないわ。今まで貯めた一ヶ月分が爆発して暴走してるわ」
「いいの、もういいの。たかしちゃんはこんなことで誰かを嫌いになったりするような女の子じゃないもの。ね?」
「えっと、その、嫌いにはならないけど、でも、でも」
でも。
「ほら、たかしちゃんが困ってるでしょ!」
「困ってるっていうのか、えっと。私は、その」
「なあに? 言ってごらん?」
「あ、愛ちゃんを…じゃなくって、愛ちゃんは可愛いから、もっと良い人が見つかると思うので……えっと、その、ごめんなさい」
ううう。
「ああ! 可愛いい!! いいのよ、いいのよ、私が一方的に愛しているんだもの。だからたかしちゃんはお友達でいいのよ」
「そ、そうなのかな……」
「もちろん! 毎日抱きしめさせてくれたらね!!」
な、なんだかよくわかんなくなってきちゃった。女の子が、女の子を好きで、私は女の子で、愛ちゃんは女の子で、きらなちゃんもここちゃんも女の子で。うう。
「さ、食べましょ」
「なにが、さ、食べましょ。よ! たかしちゃんが混乱してるでしょ!」
「ふふふ、だって今日はたかしちゃんとお友達になることが目的だったんだもの。抱きしめることもできたし、可愛い姿も近くで見れたし。後は一緒にご飯を食べればもう今夜のおかずも決まり!」
「おかず? あんた自分でご飯作ってるの? あ、たかしちゃん私も卵焼き交換しよ」
「う、うん」
ふうう。すごく顔が熱いです。でもなんだかお友達が増えたみたいでとっても嬉しいです。
愛ちゃんは自分で夕ごはん作ってるんだ。すごいなぁ。
「いいえ? あ、私もみんなと卵焼き交換したいな」
「いいよー」
「うん」
「きらきらは?」
「いいけど…」
「あ、卵焼きよりお箸の方がよかった?」
「せい!!」
「いたい!!」
ふふ、今日は愛ちゃんのおかげでいつもより賑やかなお昼ご飯になりました。
新しいお友達、もっと仲良くなりたいなぁ。




