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たかしちゃんと  作者: 溝端翔
部活体験編
17/29

たかしちゃんとサッカー部(2)

次回の更新は11月4日金曜日22時頃です。

よろしくお願いします。

「やるじゃねえかたかし! 綺麗に上がるようになったじゃんか」


「うん! まだちょっとまっすぐってわけじゃないけど……」


「何言ってんだよ。プロだって失敗するときは失敗するんだよ。だからこういう時は出来た事を素直に喜べばいいんだよ」


 できた事を素直に……か。ちょっとできるようになった。えへへ。

 ずっと阿瀬くんに見てもらってました。多分、三十分ぐらいです。阿瀬くんの教え方は本当に上手で、だからスポーツができるんだって思いました。

 これで私もスポーツできる人の仲間入りになれたかな?


「ほれ、たかし」


 なんだろ、阿瀬くん手挙げてるけど何にも持ってない。


「どうしたの?」


「どうしたのじゃねえよ、ハイタッチだよハイタッチ。一つ出来たらその度にハイタッチするんだよ。一緒に喜ばせろよ」


 ……ハイタッチ!!

 すごい!なんだかとってもスポーツできるみたいです!

 よーし。


「えいっ」


「っぷは」


 あ、あれれ、タッチは?確かに阿瀬くんにハイタッチしたつもりなのに。


「たかしハイタッチ出来ないのかよ! っははは、ちょっと待って。ふふ、ははははは」


「むう、阿瀬くん笑いすぎだよ」


 でもハイタッチができなかったら、サッカーでゴールできたときに……うう、せっかくスポーツできる人になってきたのに。


「たかしちょっと手挙げて」


「こう?」


「ほれっ」


「いたいっ!」


 ううう。は、ハイタッチってこんなに痛いものだとは知らなかった。いてて、手がジンジンなってるよう。


「そんな落ち込むなって。ハイタッチなんて高くでタッチすればいいだけなんだし。気にしなくても出来るようになるって」


「そうかなあ……」


「なんなら今度教えてやるよ……ハイタッチを教えるってなんだ。っははははは」


「阿瀬くん」


「あー、腹いて。なんだ?」


「私、サッカー。みんなとサッカー出来るようになるかな?」


「んー、どうだろな。まあハイタッチ出来ないからな、ふふ」


 やっぱり、私にスポーツなんて出来るわけなかったのかな。サッカーだって、まだほんの少しも出来ないし……。


「でも、サッカー好きなら大丈夫なんじゃね。俺も綺羅名もいるしここだって教えてくれるだろうし。毎日は無理でも、ちょっとずつ練習すれば出来るようになると思うぞ」


「そっか、私みんなとサッカーしたい」


「じゃあ出来るようになるまで練習だな」


「うん! 頑張る!」


「さってと。じゃあ、そろそろ俺は戻ろうかな。ちょうど休憩入ったっぽいし」


 ほんとだ、みんないつの間にか一箇所に集まってお水を飲んでます。


「あ、私先生にお礼言いたい」


「先生も多分あの中にいると思うぞ」


 無茶なお願い聞いてもらったからちゃんとお礼言わないと。あ……。


「阿瀬くん、今日はありがとう」


「ん? ああ、気にすんな。俺も勉強になったしな」


「えへへへ」


「な、なんだよ」


 阿瀬くんはやっぱり凄い!


「先生、終わりましたー」


「お、高橋、もういいのか?」


「はい。わがまま聞いてもらってありがとうございました」


「ああ、お礼なら阿瀬に言ってやってくれ。自分の練習の時間削って教えてくれたんだ。ちゃんと感謝しろよ?」


「はい! 阿瀬くんありがとう!」


「え、あ、ああ」


「あっれー? 先輩彼女っすか?? 彼女連れてきていいんすか?」


 わわっ、だ、誰だろ、えっと、だ、誰だろ。なんだかすごく見られてます。なんだかすごく勘違いされてます。


「げ、来やがったな真矢(しんや)


「先輩ひどくないですか、可愛い後輩に『げ』って。どう思います?森先輩」


「阿瀬の彼女可愛いな。羨ましい」


 うわう、今度はおっきい人が。可愛くないです。彼女じゃないです。


「森先輩何言ってるんですか彼女じゃないですよ。あと真矢、ちょっと黙ってろ」


「ひどい、こんなに茶化してるのに!」


「だから黙ってろって言ってるんだよ! 高橋帰っていいぞ、こいつ絡んでくるから」


「う、うん。ありがと阿瀬くん」


「ひゅーひゅー、先輩相変わらずかっこいいっす!」


「真矢後で覚えてろよ、ったく」


「あ、阿瀬次からミニゲームするからゼッケンチームに入ってくれ」


「いや先生このタイミングで言うことじゃないっすそれ」


「いやいや、今から始めるぞ。ほら中塔(なかとう)、お前もいつまで先輩いじってんだ。お前もゼッケンチームだろ」


「あーい」


「ふう、ったく真矢の奴……。あ、えと、ほら、気にすんなって。男女でいたら言われるもんだろ、ほら、か、彼女とか」


 あう。彼女って思われたのかな、どうしよう。私なんかが阿瀬くんの彼女だって思われたら……きらなちゃんの方がお似合いなのに……。


「きらなちゃん……」


「え? 綺羅名? どこいるのかわかんねーのか? ハンドボールなら確か第二体育館の……」


「ううん。きらなちゃんの方がお似合いだから……」


「はああ!? な、何言ってんだよ、あいつは幼馴染だろ!? そういえば真矢は綺羅名にも彼女彼女言ってたな。そういう奴だから気にしなくて良いからな!?」


 そ、そうかな。


「うん……」


「えーと、じゃ、じゃあ俺行くわ。また今度ボールやるからな。そん時はまた教えてやるよ」


「うんありがとう。私もきらなちゃんとこ行ってくる」


「おう、じゃあまた明日な!」


「うん、ばいばい」


 ふう、先生にお礼を言うだけのつもりがとっても大変な事になってしまいました。

 あ、そういえば男の人に囲まれてたんだった。ふううう。思い出したら急に怖くなってきちゃった。

 でも、楽しかったなあ。……サッカーがです!サッカーがです!

 阿瀬くんボールまでくれるって。えへへ。練習がんばろ。


 さてとっ。きらなちゃんハンドボール部に居るかなあ。

 あ、そうだ。


「ありがとうございました」


 ふふ、グランドにお礼。なんだかスポーツできる人みたい。


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