バンパイアてつまりは
私は頭がおかしい。
どうおかしいかと言うと、
私は血のことが好きなのだ。
血のあの危ない感じが好き。光を跳ね返しているあの朱色を見てるとすごく興奮する。
時々我慢出来なくて、ちょっとだけ手首を切って血を眺めたりする位。
傷の付いた辺りの血が引いていくような怖さがあるが、しかし血のもつ紅い魅力には勝てない。
それを除けば平凡だから、私は普通の友達が居る。
みんな性格が良くて、私がドジをやらかしても笑ってくれる。私もそんな関係に満足していて、みんなに混じって笑っている。
不満なんてない。私はとても幸せだ。
私には彼氏がいる。きっかけは私からの告白。私が赤くなって「付き合ってください」と言うとお、彼は微笑んで「いいよ」と答えてくれた。それ以来帰りは毎日一緒で、とりとめのない会話をした。
ある6月の帰り道。日もすっかり暮れて、真っ暗な住宅街。大雨だった。
私達は相合傘で帰ってる途中だった。なんとなく気恥ずかしくて、でも幸せで、やっぱり何かが足りなかった。
クルマが後ろから迫ってきたのを音で感じた。幸せだったから特に気にしなかった。幸せだったから、音の割に光が少ない事に気付かなかった。
音が近づいて、近づいて、
そして彼が車に跳ね飛ばされた。
車はそのまま逃げていった。恐ろしい気持ちで彼に
駆け寄った。
幸い、彼は生きていたけど、痛くて動けないって言った。
そんな彼の全身を眺めて、
そして、彼の肘から、膝から、顔から、流れる血に目を取られた。
今まで見てきたどんな血よりも、美しく、危なっかしく、艶かしく、魅力的だった。
この時から、彼の血が欲しくてたまらなくなっていった