Scene1-10
*11/17 誤字修正対応しました。
テントは不恰好だけど設営できたので、今は晩御飯の調理中。ここに来るまでに出てきた熊の肉を使い切っちゃおうかな。流石にそのままじゃあ匂いがキツイので<薬草知識>でこの辺に生えていた香草を使う。ブロックの熊肉を手ごろな大きさまで切って柔らかくする為にしばらく叩く、その後はハーブと塩コショウをすり込んで味付け。本当は味噌ぐらい味と匂いの強いのがあれば良いんだけど、この世界に味噌と似たようなのってあるんだろうか?後は鉄板で焼けば良し。
インベントリからカブとニンジン、ジャガイモを取り出して一口大に切って鍋へ投入。5分くらいそのまま炒めたらトマトを小口に切り、水とさっきの残りの熊肉を鍋へ入れたら蓋をして肉に火が通るのを待つ。熊の肉は火を通すと硬くなるから、トマトを一緒に使って柔らかさを保つ個人的ポイント。
スープ系はわりと簡単に作れて、残り物の野菜でも作れるのが僕としてはポイントの高い理由かな。それにほら、温かいスープって安心できるし。最後に塩コショウで味を調えて、他の調味料も欲しいなあ。あ、豆腐なんかもさっぱりしていて良いよね?
「2人とも、お皿用意してください。スープとソテー、それから町で買っておいたパンです!」
「待ってました!さっきから良い匂いが漂っていたからな、空腹に匂いだけでおあずけはかなりきつかったぜ。」
「スープおかわりしても良いよね?ね?」
普通に考えて森の開けた場所で料理とか、匂いで獣が寄ってきそうだけどここはセーフエリアなので問題なし。クローズドでその辺の知識が無い時は、mobが大量に押し寄せてきて大変だったなあ。死に戻りしたし。セーフエリアなら大丈夫って言うのは判ったけど、セーフエリアの範囲が目に見えて判らない場所だったしね。ジョーの検証に付き合わされて何回死んだことやら。
・・・悲しい事を思い出すのは止めよう。今は美味しい食事の時間だ。
「味付けが簡素なのが不満ですが、どうぞ召し上がれ。」
【熊肉の香草ソテー】
満腹度+30%
レア度:5 製作者:カナタ
説明:灰色熊の肉に香草をすり込み、臭みを抑えたソテー。焼く前の処置で火を通しても柔らかさをある程度保ったままとなっている。
【熊肉のトマトスープ】
満腹度+20%
レア度:4 製作者:カナタ
説明:トマトを一緒に煮込むことで、熊肉を柔らかいまま食べれるようにした野菜たっぷりのスープ。
料理アイテムにとってはレア度=おいしさとなっている。総合的な面で決定されるけど、スープの説明のように現実での知識もある程度反映されるのが嬉しいところ。
ジョーは4杯、リィーナも3杯スープをおかわりして、晩御飯をお開きになった。やっぱり誰かが食べてくれるのは嬉しいし、一番のモチベーションだと思う。食器は水桶にしばらく入れておいて、あとで汚れを落とさないとね。
食後の話題はさっきのアイテムとこれからの事について。
「当面の目標はこいつ等の修理だな。さっきの日記を読む限り、今の外装は鉄製のはず。2人の刀身も問題ないみたいだし、まずは装甲の張替えからやってみないか?」
先ほどの手記の情報が正しいのなら、ジョーの言うとおりこの武器の装甲は鉄で出来ている筈。錆びているのを見る限りは考えはあっていると思う。問題は、この装甲を作るのにどのくらいのインゴットが必要になるのか?そして、その部品を作れるのか?
「そっか、装甲の入れ替えでも多少は数値が変わるかも知れないもんね。それに、この武器が使えないなら代わりの武器は必要だしね。」
リィーナがため息をついて装備している長剣を僕の方へ投げ渡す。リィーナは武器の扱いが雑だから、鞘に入れたら固定用のベルトを使うようにと、いつも注意している。今も剣と鞘が固定されてなかったら、中身をぶちまけてるような軌道だった、怖すぎる。
渡された長剣をタッチして、情報ウィンドウを表示。耐久度が16/50と今日一日だけで3分の2も削れている。森の中での戦闘が多かったのも一つだけど、一気に削れたのは間違いなくあのゴーレム戦が原因と見て間違いない。僕の短剣も8/40とかなり危険だし。
「と言うかさ、修理できても大っぴらには使いたくないよね?まだユニークウェポンを持ってるって情報は広まってない筈でしょ?必要以上に注目されたくないし。」
「それはあるな。俺たちの知名度なんて一般mob程度で十分だ。が、それはそれとして、こいつの完全な姿は気になる。なにより代わりの武器が必要なら、尚の事鉱石は大量に必要だろ?」
今回は簡単な長剣だったからインゴット1個でどうにかごまかせたけど、本格的に威力と耐久性を求めるのなら3個は欲しい。そして、これ以上に強い――近場だと鋼鉄製にするのなら成功率は下がるし、インゴットも必要になる。どちらにせよ、今の手持ちでは全然足りないと言う現実が突きつけられただけ。
「なら決まりだな。俺たちの次の目的地は南の【囁きの洞窟】。あそこは入り口に近い場所に採掘ポイントがあるし、掲示板で宝石が取れたって話もちらほら書かれてる。」
「ボスは攻略されてるの?データは出てない?」
「いや、まだボスは見つかっていないようだな。攻略スレには情報は出ていない、大体まだ2日目だっての。」
「いやー、廃な人達ならクリアしてるかもって期待してたんだけどねー。」
そう、まだ2日目なんだ。2日目で物凄い貴重なアイテムを手に入れてしまったけど、使いどころに困るなあ・・・。
でも材料集めに異論は無い、あるわけが無い。鉱石なんて沢山有っても困ることは無いし、もしかしたらリィーナの軽鎧に使われている青い鉱石が見つかるかもしれない。想像通りそれが属性を持つ鉱石なら、それで武器が作れれば・・・やってみたいことは沢山ある。
「それも良いですけど、明日はもう一度書物を調べてからですよ?今のままじゃヒントが少なすぎて、修理に必要な部品も作れないでしょうし。」
「だな、明日ガサ入れしなおして、一旦町に戻るか。」
「今日はみんなで雑魚寝だねー、ジョーは変なことしないでよ?」
「ふっ、カナタの前で他の女に手を出すなんて事をするものか。大体だな、そんな大平原では手を出そうとは思えな゛あ゛!?」
ジョーの鳩尾にひねりの効いた重い一撃が入るのを見ていた。両膝から崩れて地面にうつぶせになるジョー。なんでわざわざリィーナの地雷を爆発させるのさ。時々、こいつはドMなんじゃないかと思う時がある。わざと攻撃を喰らいに来るところとか、特に。
セーフエリア内でPKは出来ないがスリ行為は可能と言う検証結果が出ている。その為、睡眠時は見張りをを何人か立てて置くのがFLOにおいて暗黙のルールと化している。そもそもセーフエリア内でのスリ行為は犯罪とされ、発見された時にペナルティが付くようになっている。
(ちょっと可哀相だけど、見張りはジョーに任せれば良いや。)
そう軽く結論付け、未だ外で悶えている親友に見張りを頼み眠りに付いた。
コメントありがとうございます。
誤字修正しました。




