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前編


 思い付きで書いた作品です(^o^ゞ

何気に完結してます(笑)





 ある日、学校でこんなろくでもない噂が広まった。



 あたし、川崎美咲(かわさき みさき)江口颯斗(えぐち はやと)のキープちゃんである、と。


 そんな呆れた噂を信じた奴等にあたしは一言。




「ハァ?なにそれあたし付き合って3年目の彼氏居るし」


 チュッ、




 その日、教室は女子は可愛い声でキャーッ!、とある1人の男子の野太い声でギャーッ!と発狂した叫び声で埋まった。




 いきなりだが、あたしの幼馴染みは俗にいうイケメンだ。イケてるメンズでイケメン。

 小中とバカばっかやっていた幼馴染みが中学校に上がると同時に何故かモテ始め、学校で美少女ハーレムを形成、周りの子が「格好いいね!!」と言っていたからイケメンなんだろう。


 何より奴は頭は良いわ運動出来るわの、ようはどこぞの少年漫画の主人公というより主人公が憧れを抱くそれなりの立ち位置をしたクラスメートじゃないの?みたいにあたしは思っているが。



 そんな幼馴染みの名前は江口颯斗。つまりあたしと噂にされている奴だ。

 ちゃんちゃらおかしい噂話を流されてはこちらが困る。何故なら奴のハーレム達が黙っちゃいないからである。


 現に今も、



「アンタみたいな子が颯斗と幼馴染みとか、何ふざけてるの?」

「幼馴染み、だから颯斗君が、その貴女に優しくしてるだけで、本当は貴女のことめ、めんどくさいしウザイって…」

「颯斗先輩の気を引きたいがためにあんな噂を流すだなんて、無様ですね先輩」



 奴の可愛い可愛い美少女ハーレムが口汚くあたしを罵っている最中さ。


 1番最初に喋ったポニテの美少女は確か学校の男子の間で秘密に行われた彼女にするなら誰だの1位になった先輩だ。名前は知らん。

 二番煎じのツインテの美少女は覚えてるぞ、えーと……ああ、まあ、うん、この子は同学年で男子の間では空から舞い降りた天使だ!って言われてる通称天使ちゃん。

 3番目の子は今年入学してきた新入生で、学年首席を取ったことで有名な知的美少女。ごめんメガネちゃんって呼んでたから名前覚えてないや。



 奴のハーレムは5人だったはず。あと2人いないということは奴の側にいるのかそれとも休みかのどっちか、と呑気に考えてる最中でも美少女達の言葉は止まらない。

 あ、ハーレムの残り2人は国語と体育の先生だったな。じゃあ今は職員会議とかしてるのか。


 幼馴染みがいつの間にかギャルゲーの主人公ばりのモテ男になったかは知らんが先生だけは止めておけ。先生が捕まるから。



「ちょっと!聞いてるのブス!」

「幼馴染みだからって、良い気にならないでください……あんまり可愛くないくせに」

「これだから頭の悪い奴は嫌いなんです」



 うーん、話を聞いてなかったから先輩のセリフは許しますが、そこの通称天使とメガネ。お前らふざけんなよ!通称天使な癖にお前が1番酷いこと言ってるの理解してる通称天使。そしてメガネ、お前はあたしの後輩だろ?先輩に対して敬意を払え敬意を。


 しかし、高校に入っても奴のハーレムは変わらないんだ、と妙な感心を覚える。奴の第一志望校はここではなかった。なのに受験当日に「あ、オレ受験する学校変えたから」とあたしに着いてきて難なく合格しやがった。

 ギリギリ受かるであろうと先生に言われていたのに急なライバル出現のせいか前期で落ちたあたしはどうしてもこの学校に行きたくて後期で受かった口だ。


 あの日程、奴を殴りたい衝動に駆られた時はない。



 そして奴は高校でも新しい美少女ハーレム(美女2人含む)を瞬く間に形成。

 あたしは我が身可愛さで奴とは幼馴染みだということを誰にも教えていないし、教える気もなかった。唯一、1人には教えてるけど。


 学校内でも外でも一切関わりを持ちたくなかったあたしに何故か毎日ハーレムを引き連れては絡んできた奴。ハーレムを引き連れてはいるがイケメンだから人気のある奴。

 そして降り注いだ今回の火の粉。


 誰が悪い?そりゃ奴が悪いだろ。



 というかお三方、貴女方教室内でそんな汚い言葉を大声で出して良いの?

 見なさいな。貴女方を見る周りの冷たい視線。学校でも顔良し中身良しって思われていたんだから仕方ないか。

 まあ、男子の間だけで、だけど。



「おい、なにしてんだこんなとこで」


 おや、まさかまさかの奴の登場かよ。うーわー、顔みたくなかったし。



「…なあ、ソイツ、オレの幼馴染みつったよな?」

「…は、はやとっ!これは颯斗のためにしてることなの!」

「そ、そうなんです…!この方が自分で颯斗君とのおかしな噂を、たてて」

「大丈夫ですよ颯斗先輩。あんなふざけた噂はすぐに消しますから」



 メガネを除いて2人が慌て始めた。ああ、そっか奴からあたしのことを幼馴染みって聞いてたから知ってたのか。しかし、まあ、毎度毎度思うけどよくこんな金髪ピアスのテンプレな不良に惚れたよなぁ。



「はぁ?テメェら勝手になにしてんだって話だよ」

「颯斗先輩聞いてください。あの女が無様にも颯斗先輩のキープだと自ら噂を流したんです。颯斗先輩の迷惑になることも考えずにですよ?」

「だから私たちで颯斗のためを思ってやったことなの。颯斗…分かってくれる?」

「わた、わたし、颯斗君に嫌な思いをして、ほしくなくて……ぅえ、ひっく、」



 アウトォォオ!コイツらもうアウト!恋は盲目とか言うけどもこれはないわー。ムリだわー。てか通称天使、お前どこに泣く要素があった?


 あれ、修羅場(笑)?今気付いたけどこれが修羅場(笑)ってやつ?



「美咲」



 その修羅場(笑)の状況で呼ばれたあたしの名前。

 呼ぶなよ、お前が呼ぶとそこのハーレム共が睨んでくんだよ分かれよ。

 ああああ、にらんでる睨んでるよぉぉっ、……って、おいそこ通称天使普通に睨んでくるとか、テメェさっきの嘘泣きかよゴラァ!


「美咲」

「……なに」

「……お前、オレのこと好きなのか?」



 ワッツ?ナンダと?あたしの耳はつまってんのか?

 どうやってそんな結論に至ったし。

 あたしは呆れたと周知の事実を口にする。



「ハァ?なにそれあたし付き合って3年目の彼氏居るし」


「…………………は?」




 そんな修羅場った教室に空気を読まずに入ってきたのは愛しのマイダーリン。

 ああ今日もマイダーリンは格好いい。今日はお互いに部活と委員会もないから久々に2人でゆっくり出来るんだよね!



「美咲、帰ろう」

「オーケー匠悟(しょうご)、今行く。じゃ、そーいうことで」


「……っぁ!ま…待てよ美咲!」




 そう言ってマイダーリン匠悟の元に去ろうとしたあたしを引き留める奴。ウザッ、ちょ今日のコイツらなんかウザッ!


「……誰だ、その男は」

「だからさっき言った付き合って3年目のマイダーリン」

「オレはそんなこと聞いて」

「アンタ関係ないから当たり前じゃん。なんでいちいち、たかが、幼馴染みというカテゴリーに収まってるだけの、アンタに、あたしの彼氏とか恋愛事情とか話さなきゃならんのさ」



 そう区切りながら言ってやると奴は顔を赤くしたり青くしたりと大変なことになってるが放置だ放置。

 パシリと、何気に掴まれていた腕から奴の手を払いのけあたしはマイダーリンの腕に普段しないがちょっと大胆に絡みつく。



「江口颯斗君よ、そこまで聞きたいのならば紹介しよう。この人があたしの彼氏でマイスイートダーリンの橋本匠悟(はしもと しょうご)だよ」


「えぐちはやと…ああ、美咲がよく話す幼馴染みでウザイ奴等の核だね?初めまして俺は橋本匠悟、弓道部の副主将で美咲の彼氏だよ」


 笑顔で毒づいちゃう当たりにヤダもう痺れる!

 さりげなくもう片方の腕があたしの腰に回してあるとことか腹黒い匠悟らしい。



「と、言うわけであたしはアンタのキープちゃんでもないしアンタのことが好きでもない。あの噂はデタラメ、むしろアンタ眼中にないし。正真正銘の匠悟の彼女」

「…へぇ、そんな噂が流れてたんだ。俺と美咲が中学3年の頃から付き合ってるって知ってると思ってたんだけど」

「生徒会長のあたしと匠悟がラブラブだっていうことも一緒に公表してるしね」



 あたしの言葉を聞いて、今さら思い出したのか段々顔を青白くするハーレム共。

 ふふん、まあっ無理もないか。あたしは重要な学校行事以外は出ない生徒会長だし。


 はは、でも、アレだよね。これでも生徒から信用されてる生徒会長のあたしの言葉と、そのふざけた噂話のどちらを信じるんだろうね。



 ねぇ、颯斗?

 アンタがハーレム作って、その度にあたしに見せ付けに来て、その度に嫌がらせとかされたし、何をしたかったのは知らないし知りたくもないけど、アンタが節操無しな毎日を送ってた中、あたしはあたしでちゃーんと青春してましたよ。




「――…美咲、」

「なに匠悟」



 チュッ、



「キャーーッッ!!」

「…ハァッ!?」


 唇に当たる暖かいもの。それが匠悟の唇だということにすぐ気付いた。

 クラスの皆の前で恥ずかしいけど、これであの噂が消えてくれたら別にいいか、と思い至りあたしは匠悟に答える。



「じゃ、帰ろうか美咲」

「うん、帰ろうか匠悟」






 教室で茫然とする江口颯斗とハーレム共を放置して、あたしは匠悟と恋人繋ぎで帰るのだった。


 ハッ、ざまぁっ!

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