序章 気高き母の独白
わたしの、かわいい愛娘。
他の誰よりも、色濃く一族の血を受け継いでしまったあなた。
あなたと別れてからもう十年も経つけれど、一日だってあなたを思い出さない日はなかったわ。今だって、変わらずにあなたを愛している。いくら世界があなたを化物とさげすんだって関係ない。
だって、あなたはわたしの娘だもの。
それから、ごめんなさい。
わたしは、今でもあの時のことを後悔しているの。
たとえ世界に歯向かってでも、あなたを手放さなければ良かった。泣き叫びながら政府の人間に連れて行かれるあなたを、わたしはただ、呆然と見ていることしかできなかった。
こんなわたしは、母親失格かしら。
だから、あの時あなたを引き止められなかったわたしには、あなたにこんなことを言う資格なんて、ないのかもしれない。
今更、何を言っているの? と思うかもしれない。
それでも、言うわ。
あなたに、頼みがあるの。
ああ、ごめんなさい。そろそろ、この時間の終焉が迫ってきているわ。
手短に言うわね。
今、わたしたちの一族は崩壊の危機にあるの。
ううん、もしかすると世界にまでその危機は及んでいくかもしれない。
そして、その元凶は――あなたもよく知っている、あの娘よ。
お願い、あの娘を止めてあげて。もう、あの娘を止められるのはあなただけなの。
ねえ、****。
もう一度だけ、こんなわたしに母親面をさせて……?
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