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廊下と猫

廊下を2人で歩く…。なんだか、気まずい雰囲気が流れていた。

それもそう、朝にあんな場面に遭遇して、しかも先輩なのにタメ口を聞いたりして…。

しかし、僕は浅見先生の話的に生徒会に入るのは確定事項…。ここで話さなければ一生気まずいままだ。勇気を出して話しかける。

「あの、」

「ねえ、」

たまたま先輩と声が重なる。僕はあたふたしていると、

「ふふ、いいよ先に。」

と気を遣ってもらう。なんとも情けない。

「あ、えっと、先輩、なんですね。生徒会長なんて知らなくて…。」

「弓月、でいいよ。そうね…。いつも気持ちよさそうに寝てたから知ってたんだ。君と後ろの子くらいなんだよ。私の話をずっと寝てるの。」

そんなところを見られていたのか…。僕に恥ずかしさと申し訳なさが襲ってくる。

「あ、それは本当にすみません。えっと…弓月先輩。」

いきなり名前呼びを勧めてくるとは…。なんとも距離感が近い人だ。

「じゃあ私も名前で呼ぶね。えっと、『せいな』くんだっけ?漢字、どう書くの?」

「あー、『星』に正月に上げる『凧』って書いて『せいな』って呼びます。」

「ふーん、珍しいね。あんまり『凧』で『な』って読まないから。」

「母の好きなキャラクターで『成凧』って書いて『せいな』って呼ぶキャラクターがいるんです。僕が生まれた日の星空が綺麗だったから『星凧』で『せいな』にしたらしいです。」

「そうなんだ。でも、ちゃんと考えられてるんだね。」

今まで自分の名前の由来を聞いてくれる人なんてほとんどいなかった。珍しい名前、漢字という話はよくするがそこまで踏み込んでくる人はいなかった。僕の胸はなぜかむずむずする。

「じゃあ、確認なんだけど、

まず生徒会の担当の先生は数学科の星野先生、わかるよね?」

「はい。去年、授業の担当をしてもらいました。」

星野百合香ほしのゆりか先生は数学科の先生で去年の数学を担当してもらった。

浅見先生と歳が近く、馬が合うようで浅見先生がよく飲みに連れているらしい。

「百合香ちゃんは私を裏切らないもんね!うちの旦那はもうヘタレでさー。」

「ふふ、でもそこが好きなんじゃないんですか?私の彼もいくじなしですけど、そこがいいですよ。」

とよく話してるところにも会う。

この前なんて店に行かないで駅前で話していた。

浅見、星野

この2人は学校の女性教師ツートップとして学校中の男子の憧れらしい…。どちらもフリーではないのに。

進平なんて、

「麻美ちゃんと百合香ちゃん、どっち派や?ワイはどちらかも言えば…。」

とかぼやいてて浅見先生によくどつかれてる。

「で、生徒会の仕事なんだけど…。」

「あ、はい。」

僕は話に集中する。

「やってもらう仕事は基本的に力仕事系。高くて届かないところとか、脚立でやってもらったり、買い出しに行ってもらったり、あと用務員さんの手伝いに、Wordを使って書類の作成…。」

「…多くないですか?あとパシリじゃ…。」

「細かいことはいいから!浅見先生の推薦だから、期待してるよ。」

とニコッとする。その仕草に俺は不覚にもドキッとする。ずるい…。その時、前から髪高い位置で結ってスカートを履いた女性が歩いてくる。

「あ、弓月ちゃん、この子が新しい?」

「星野先生、そうです。鳴海星凧くんです。」

「鳴海星凧です。」

「ごめんね。急に。麻美さんのクラスならどうにかなるかなって。麻美さんが選んでるなら信用できるね。できる限り私も顔出すからよろしくね。」

「はい。」

「で、星凧くん、早速なんだけど…。」

…生徒会の女性は距離感がおかしいのか?

「はい、なんでしょうか。」

「そんな硬くなくていいよ。うちは弓月ちゃん以外は私にタメ口だしー。」

「だって、先生ですもん。そこは線引きしますよ。」

「話戻すけど、次の体育祭の装飾のペンキが足りないの。これに必要なものは書いたから、早速今日行ってもらえる?早めがいいって用務員さんが。」

「えっ、」

「ありがとね!大変だけどよろしく!

…(そういえば…)

最初だし、弓月ちゃんもついていったら?」

「「え?」」

僕と先輩の声が重なる。

「せっかくだし、上司と部下だし、お互い知った方がいいでしょ?」

「まぁ、そうですけど。」

僕は言葉を濁す。

「じゃあ、そういうことで。」

そのまま星野先生は去ってしまった。

沈黙が流れる中、弓月先輩が口を開く。

「じゃあ、HR終わったら行こっか。LINE交換しとこ?」

「あぁ、はい。」

お互いQRコードを読み取る。

飼っている猫だろうか?可愛らしいアイコンが表示される。

「これかな?『せいな』スタンプ送るね。」

ピコンっと通知オンがなり、先輩とのトーク画面が表示される。

可愛らしい猫のスタンプで「よろしくお願いします」と礼をしている。僕もニュースでお馴染みのキャラクターのスタンプを送る。

「じゃあ、また後で。」

と言葉を残して先輩は去る。

僕の心臓は静まらなかったこは秘密だ。


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