ブルアカ遺書(ミサキ)
ブルアカ未履修なので解釈違いがあっても悪しからず…
ミサキ「あ、先生、今日は何をするの?」
軽く首を傾げながらそう尋ねたのは、私、戒野ミサキ(いましのみさき)
アリウス分校の生徒で、今は当番で「シャーレ」のオフィスに居る。
先生「ああ、えっとね、書類仕事を手伝ってもらおうかと思ってて」
先生は今にもデスクが壊れてしまいそうなほど高く積み上がった書類を見やった。
ミサキ「書類か…じゃあ私が全部片付けておくから、先生は休んでて」
先生「流石にこの量の書類を全て生徒に押し付けるは大人として許容できないよ」
ミサキ「そう…じゃあ半分づつ」
私はそう言いながら、書類を大雑把に半分にし、慎重に分けて持っていく。
少しでも油断すると今にも崩れてしまいそうだ。
先生「ありがとうねミサキ」
ミサキ「別に…先生が無理してるのが見ていられないだけ」
私は自身の持つ書類を持って席に付き、すぐに書類作業に取り掛かった。
先生も書類を持って席に座る。
それからは無音でただペンが走る音と、「カタカタ」という無機質なキーボードの音だけがオフィスに響いていた。
その時沈黙を破るように、先生の携帯がブルブルと言う音を立てて震えた。
先生「ん?なんだろう」
先生はスマホを覗き込んだ後、少し頭をかかえた様子を見せた。
ミサキ「先生、何か重要な連絡?」
先生「あぁ、少し呼び出されてしまってね悪いけど少し待っててくれる?その間書類でもしておいてほしい」
ミサキ「呼び出し…?分かった。早く戻ってきて、書類は任せておいて」
そんな短く少し楽しい会話を終えた後に、先生は少し手を振ってくれた後、シャーレのオフィスを出ていった。
ミサキ「この量の書類…溜めすぎな気がする」
残されたのは私と、まるで塔のようにそびえ立つ書類。
私はそれ(書類)に改めて圧巻されてしまった。
ミサキ「取り敢えず上から終わらせるべきかな…本当に多い…」
ため息をつきながらも作業を再開しようとしたその時。
その書類の間に謎の"茶色い封筒"が挟まっているのが目に入った。
ミサキ「……ん?この書類だけ封筒みたいな…」
私は書類の間に挟まれていたその茶色い封筒を手に持った。
ただの古びた軽い封筒だが、妙な存在感を放っている。
ミサキ「先生の秘密事とかかな…」
そう呑気なことを思いながら封筒に書かれている黒文字が目を釘付けにしてきて、絶句した。
ミサキ「遺書…?」
背中に青く冷たい、ぐちょぐちょとしたゾッとした何かが走った。
理解なんて1秒でできるはずの、たった一つの言葉が今の私には到底理解しがたかった、いや、理解したくない言葉だった。
揺れるような視界、止め処無く乱れる呼吸、息が喉に引っかかっているみたいに呼吸が出来ない。
ミサキ「……コヒュ…ッ…」
色んな事があってもうこんな感覚にはなりないと思っていたのに、いざ先生を失うかもしれないと考えると「恐怖」の二文字が頭に血のように粘りっこくついて、私似現実を嫌にでも直視させてくる。
ミサキ「いや……遺書……まっ……まさ…うっ……ぅ……コヒュ……コヒュ…」
鉛のような重りがついたようにうまく出ない声、声出してこのどうしようもない状況を少しでも理解しようとするが、それすらできない無力感。
この程度の事でこんな事になっていては仕方ない、そう思いながら私は震える手を必死に抑え、心を決めて遺書を開く。
「これを読んでいる時、私は既にこの世には居ないだろう、取り敢えずこの遺書を見つけてくれた生徒へ、ありがとう、遺書を見つけてもらえなかったら、生徒達へ言葉を残せないから見つけてくれて、本当ありがとう、このアビドスでただの貧弱な肉体しか持っていない私は、たった一つの出来事で死んでしまう事は明らかだ、生徒に何も言わずに去るのは、流石に大人として良くない、だからいつでも死んでいいように遺書を残す事にした、まず……」
淡々と綴られていく生徒への感謝や言の葉、その中には私の名前と、私についての事も書かれていた…けど見れなかった。
これを見てしまったら、恐らく私の精神は死んでしまうと、本能が強く…強く警告を鳴らしていた。
身体も、頭も、心も、全てがこれらの全てを拒絶している、「嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ」、頭の中で、まるでサイレンのように響き続けるうるさい音
苦しい、私は段々と自分の心臓がまるで握りしめれているような痛みを感じていることに気づいた。
ミサキ「いたい……いたいっ……コヒュ……ッ…」
じんわりと鈍くて、鋭くて、胸を焼かれるような、胸を貫かれるような、いつもの銃撃戦で受ける痛みとは、まるでわけが違う。
その時扉が開く音が耳に届いた気がした。
先生「ただい…ミサキ…!?ミサキ!!!!」
歪んだ足が見える、敵…?いや…私の視界が歪んでいるんだ…あっ……泣いてるんだ…私……
先生「ミサキっ……!大丈夫!?ミサキ!」
………………
あれ…私…いつの間にか寝てた?
未だに痛みが走る心臓を抑えながら、ゆっくりと目を開ける。
先生「ミサキ、目、覚めた?」
そこにはいつもと変わらない笑顔の中に心配の表情もはらんだ表情を浮かべた先生の顔があった。
ミサキ「うん…」
先生「大丈夫?もしかしてあの遺書で…?」
ミサキ「そう…」
先生「本当にごめんねミサキ…………」
全力で頭を下げて謝る先生。
ミサキ「私みたいなのに顔を下げないで、頭を上げて」
先生「でも…」
ミサキ「いいから」
先生は少しづつ頭を上げたが、未だバツが悪そうにしている。
ミサキ「…なんであんなの書いたの?」
先生「その……死んだ時に何か残しておきたいと思って…」
ミサキ「もうあんなの書かないで、先生の事は守るから」
先生「それでも…」
ミサキ「いいから」
先生「はい…」
その後も、私はこっぴどく先生のことを叱った、けれど、今回の一件で少しだけ、私自身の気持ちを理解できたような、そんな気がした。




