表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪党の美学

作者: イチジク

誉れを欲せず

善を装わず

だがただの獣にも堕ちぬ者あり


手を汚すを厭わず

だが他人に押し付けぬ

命を奪うその指先で

花びらを拾い上げる


笑わぬ

語らぬ

称されず、記されず

ただ、沈黙のうちに

この世の醜を飲み干す


剣を振るうとき

心は冷えず

筆を走らせるとき

涙もまた流れる


力を誇らず

正しさに酔わず

だが誰よりも

正義を疑い

悪を見つめ

人間という獣の矛盾を

その身ひとつに抱く者あり


誰も救わぬ

だが誰よりも

この世界を愛していた


だからこそ

最後の最後で

名を刻まずに死ぬことを選ぶ


それが

我が悪党の――

唯一にして最後の

美学である


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ