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どたばた☆もーにんぐ

誤字報告ありがとうございます!

Wordの置換機能も万能じゃないと知っていたのに……。

チェックを怠りました。

すいません。

「いや~、おじさんもよくそんな恋愛する時間あったな。あのスケジュールなら休みの日は1日寝て終わりだろ」


 いつかちらっと覗いたおじさんのスケジュールのヤバさを思い出しつつ、ぶつぶつ呟いているとあっという間に会社から自転車で20分の道程が終わり、家の前に着く。


「ただいま~」


 玄関の扉を開けてリビングに向かって声を掛ける。するとパタパタと音を立てて母さんがやってきた。


「おかえり~。あんた聞いた? 時光さんのこと」


「ああ、昨日親父から」


「さっき義兄さんに電話して詳しい話聞いたのよ。そしたら瑛二郎さん、会社に近いこっちに引っ越してくるんだって」


「へぇ~、そうなんだ。おじさんには世話になったし、連れ子の子がちっさい子だったらできる限り相手してやろっかな」


 俺がいつかしてもらったように、今度はおじさんの子供に俺が色々やってやるのもいいかもな。

 現場連れてって、一緒にヲタクやるのも面白いかも。なんて思ってたら母さんがすかさずツッコミを入れる。


「あんた、本人が行きたいって言ってもないのにアイドルのとこ連れてくんじゃないわよ」


「なんでわかったし」


「あんたを産んでずっと母親やってんのよ。わかんないわけないじゃない」


 さすが母親。息子に対する洞察力は半端ないわ。

 そんなやり取りを交わしていると俺の後ろから扉の開く音がする。


「ただ~いまっと。お、どうした魁人。そんなところで突っ立って」


「あ、親父。いや、昨日のことで母さんと話してたんだ」


 いつものスーツ姿で靴を脱ぐ親父を見ながらそう言って階段を上がる。

 部屋にカバン置きたいし、制服も着替えたいもんな。





「そういえば、明後日なんだが」


 一家そろっての夕食中。唐揚げを頬張っていた親父が思い出したかのように口を開く。


「念のため礼服で行くんでしょ? そんで魁人は制服。礼服はちゃんとクリーニングに出してあるわよ?」


 礼服の心配をしていると思ったのか母さんが親父に答える。


「いや、違うんだ。ほら、11時から始まるから何時に家を出るか今日昼に調べたんだ」


 朝早いって聞いたけど、これが8時とかならまだ頑張れる。学校に行くのと変わらない。

 起床時間が決まる大事な瞬間。無関心を装って5個目の唐揚げを口に入れながらも集中する俺。

 そんな俺に親父の無慈悲な言葉が突き刺さる。


「8時に家を出るとすぐに高速の渋滞に捕まるみたいだから1時間早めようと思うんだ。だから朝7時に出発する。母さん、悪いけど5時半に起こしてくれ。魁人、ちゃんと起きるんだぞ」


 マジかよ……。え、マジか……。

 明日夜23時からデイジーちゃんの動画配信あるんだけど……。

 だいたい2時間くらいやるんだけど……。


「魁人、聞いてるのか? 魁人!」


 呆然とした俺に親父が声を掛けるが、推しを取るか睡眠時間を取るかの選択を迫られた俺は……


「お、おう……」


 そう返すので精いっぱいだった。





「起きれた。なんとか起きれた……」


 時刻は日曜朝6時半。今から用意をすれば7時の出発には間に合う時間。

 危なかった…。睡眠時間と推しの声を聞く時間、天秤にかけて重かったのはやはり推しだった。


「でも昨日はなんだったんだろうな」


 普段なら2時間くらいはゆるっと配信するデイジーちゃんだが今回に限ってはそうじゃなかった。


『ごめんね~! 明日遠征の人にちゃんと寝てほしいってのもあるけど大事な用事で朝早いから!』


 と言って普段の半分、日付が変わるころに配信を終了したのだ。

 大事なライブの前日でもきっちり2時間やっていたあの子だ。その用事って言うのはよっぽど大事なんだろうな~。


「……そろそろ歯でも磨くかな」


 せっかく起きれたのに遅れてしまっては意味がない。溜息をひとつ。そして思いっきり伸びをして、ベッドから降りた俺は準備のために洗面所へと向かうのであった。





「お、魁人。どうやらちゃんと起きれたみたいだな」


 洗面所に向かう途中、トイレから出てきた親父と目が合うと開口一番そう言われた。


「なんとかね」


「サービスエリアで1回休憩するから、あれだったらそこで朝ご飯買うぞ」


 そう言うと親父はリビングの方へ歩き出す。俺も早く磨いちまうか。


「あら、魁人。ちゃんと起きれたみたいね」


 トイレの横の洗面所に入ると浴室から母さんの声が聞こえる。

 つーか夫婦揃って朝の挨拶じゃなくて起きれたことについて話すんじゃあないよっ!

 俺だって起きる時はちゃんと起きるわい!

 主にイベントの時とか!


「母さんもかよ……。ああ、なんとか起きれたよ。母さんは風呂場で何してんの?」


 浴室の扉越しに黒い影があるってことは間違いなく礼服姿の母さんだ。

 なのになんで風呂場にいるんだろう? 先に風呂掃除でもしてんのかな?


「洗濯物干してんのよ。今日曇ってるから外に干すと雨が心配でね」


 そういうことか。

 デイジーちゃんのSNSが更新されてもいいように持ってきていたスマホの天気表示を見ると、今日は曇り時々雨。

 確かに外に干すには心配な天気かな?


「それよりも早く歯を磨いて着替えちゃいなさいよ? ここでだらだらして遅れたら大変よ?」


「わかってるって」


 歯ブラシに歯磨き粉を付け、少し水で湿らせて口の中に入れて磨き始めるといつものミント味が口に広がる。

 そうすると不思議なもので段々と目が冴えてくる。よーし、さっさと準備すませますか!!


 制服に着替える時にベルトが千切れるハプニングがあるも、どうにか準備を終えて玄関に向かえたよ!!

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