それ私も魁人くんに言ったやつだ!
本日の更新はこれで終わりです。
すいません、ちょっと加筆部分でミスしました。
修正のために18時更新はなし、24日の夜に次話更新いたします。
「えっ、なんで?今日来るって聞いてないけど」
そんなことを呟きながらも急いで玄関へと向かう魁人とそれを見送る芽衣。
バタバタとした音が家に響いた。
「やっほ。ごめんね、いきなり来ちゃって」
「いや、まぁそれはいいんだけどさ。なんでまたこんな時間に?」
「ちょっと相談したいことがあってね。それでおばさんに聞いたら魁人は家にいるって聞いたから」
「そういうことかぁ」
そんなやり取りを交わした後、藍那は玄関に家族以外の靴があることに気付く。
少し申し訳なさそうに藍那はこう言った。
「あ、もしかして誰か来てた?」
「ああ、ちょっと同級生が来てるけど大丈夫。部屋に行ってて」
「うん、わかった」
そういって藍那が靴を脱ぎ、廊下を通ろうとしたその時。
ガチャリとリビングの扉が開き、芽衣と藍那が鉢合わせになる。
「魁人くん、ごめんね。お母さんが帰って来いって言ってるから私そろそろ家帰る…って…えっ?!」
「えっ?!」
お互いに驚く芽衣と藍那。
魁人に挨拶をしようと声をかけたら目の前に女の子がいた芽衣。
同級生が家に来てると聞いて、どうせ男子だろうと思ってたら実際は可愛い女の子だったと知った藍那。
なんて説明したもんか、あと家に女の子連れ込んでるのが推しにバレたってかなりやべぇじゃん。どうしよう、どうしよう。と慌てふためく魁人。
3人が3人とも戸惑っている中、口を開いたのは芽衣だった。
「……デイジー? ロスヴァイセのデイジーちゃんだよね?! なんで魁人くんの家知ってるの? この時間に普通に来れるの? え? もしかして付き合ってるの? ええ~!うわ~、びっくりしたぁ! これは全部聞くまで帰れないね! ちょっと魁人くん、詳しく説明ぷりーず!!」
「ちょっと魁人、何この可愛い女の子! あんた何かやったの? 今ならまだ間に合うから警察いこ?! ついてってあげるから!!」
芽衣の言葉にはっ、と我に返ると魁人にそう言う藍那。
魁人はため息を1つつくと、2人を自室に入れることにした。
「ふ~ん」
「そういうことだったんだね」
自室に2人を案内し、慌てて飲み物を用意するとすぐに戻った魁人。
そこで親戚の再婚で増えた身内が推してるアイドルだったこと、いわゆる付き合ってるとか、繋がり、ではないことを芽衣に。
藍那には芽衣が同級生で、地下アイドルになりたいっていう夢を聞かされ、叶えるために少し協力することにしただけで、付き合ってるわけではない、ということを説明した。
その時の魁人の表情は必死そのものだった。
「自分で言うのもなんだけど、地下アイドルってかなり闇の深い世界よ? 大丈夫そ?」
藍那が芽衣にそう話しかけると、芽衣は笑ってこう返す。
「それ、友達にも言われました。でも、やれるだけやってみたいなって」
「そ。決めるのは自分自身だから私はやめろとは言わない。でも、デビューして舞台に立って、できたファンを裏切らない。ついてきてくれるオタクを裏切らない。それは最低条件だから。覚えとくといいわ」
「……はい!」
「本気でやる気あるなら、今度私達と一緒に練習しましょ。場所はここ。魁人の家にあるスタジオ」
「えっ、いいんですか!? ありがとうございます! 魁人くん、家にスタジオあるんだね。すごいね! よろしくお願いします!」
姿勢を正して2人に頭を下げる芽衣。
そこまでの様子を見て、なんとか丸く収まった……。
そう思った魁人だったが、場所が家のスタジオと指定されたことに少し疑問に思った。
「まぁ、ダンスとか歌は俺じゃわかんないからロスヴァイセが見てくれるのは嬉しいけどさ。他のスタジオ使えないの? 普段だったらうち使わないよね?」
「そう、普段だったら路上で集まったり、スタジオ借りて踊ったりするんだけどねぇ。相談っていうのはそれなのよ」
「それ?」
「今まで使ってたスタジオが工事でしばらく使えなくなっちゃってね。路上で集まって踊ろうとしたら鏡代わりの大きいガラス窓のあるビルの前は他のチームとかが使っちゃってるし。練習場所がないの。そこで時光のおじさんに相談したら、魁人のお父さんに話してくれてね? 仕事で何かあった時にすぐ対応できないから、魁人にこの件は任せるって。条件とかも色々魁人と話して決めて、魁人がいいって言うなら貸すって」
その言葉を聞いた魁人の率直な感想は「俺、そっちのけで何話を決めてんだあの親父」だ。
この件はあとで問い詰める必要がある。それはそれとして、オタクとしてはおいしい。
「だからね、魁人。私達と契約してスタジオを専用で使わせて!」
デイジー、お前もか。そう思って目を閉じ、顔を天井に向ける魁人。
それに気付いた芽衣が藍那に指をさしてこう言った。
「あっ、それ私も魁人くんに言ったやつだ! 私と契約してプロデューサーになってよ! って!!」
「いや、専用は無理だからね? たまに親父と母さんが使ってるし」
「うぐぅ!」
「ていうか俺のスケジュールも調整しないとダメなやつじゃん、これ。週何回使いたいのよ? 言っとくけど、母さんに連絡したらいつでも使えるってのはナシだかんね?」
「ぐぬぅ……」
その言葉にこいつそのつもりだったな、となんとなく察する魁人。
しかしあえて口には出さない。代わりに口に出すのは疑問。
「そもそも、これって他のメンバーは知ってんの? だいたいこういう話ってみんなで来るか、アイリスさんと一緒の時にしか今までしてこなかったじゃん」
芽衣のいる手前、あやめのことをあえてアイリスと呼んでおく魁人。
ちらりと横目で見ると当の本人は、うわー難しい話してる!と目をキラキラさせながら様子を見ていた。
「……しらない」
「じゃあ、今はダメ。最低でもアイリスさん連れてきて、こっちのスケジュールとのすり合わせができる状態になってからこの話をしよう」
「……わかった。私達明日ミーティングするんだけど、その時来てもいい?」
「明日何時?」
「19時から」
「わかった。明日は暇だし、開けて待っとく」
「ついでによかったら練習させてもらっていい? あの子も一緒でいいから」
そう言って、芽衣を指さす藍那。
それを聞いて魁人は芽衣に話しかける。
「…ということだけど、ささめさん。明日19時に家来れる?ロスヴァイセが練習一緒にどう?って誘ってくれてるけど」
「絶対行く!」
「じゃあ、明日は…何がいる?」
芽衣の返答を聞いて、魁人は藍那に尋ねる。
するとメンバーへと連絡していたのか、スマホを操作していた藍那はこちらへと顔を向け、こう答えた。
「とりあえず、飲み物とタオルでしょ? あと私服で来て、ここで練習着に着替えるっていうならそれ持ってくればいいんじゃない?」
「……だ、そうです」
「うん、わかった! あ、そろそろホントに帰らないと不味いかも。じゃあ、明日よろしくね!」
「駅まで送ってこうか?」
「うん、大丈夫! お兄ちゃんがそろそろバイト終わって駅着くし、一緒に帰るから」
「そっか、じゃあまた明日」
「またね! ……デイジーちゃんも、また明日!」
「うん、じゃあね」
軽く手を振って芽衣に答える藍那。
このまま見送りもないのはなんかダメな気がした魁人はこう申し出る。
「あ、玄関までは見送るよ。じゃあ、すぐ戻るからちょっと待ってて」
「ん。マンガ読んで待ってる」
そう言って立ち上がる魁人と、それを見送る藍那。
部屋の本棚に移動し、いつか読みかけたマンガの続きを取り出すと床に座り直して読み始めた。
そして2人は玄関へと向かう。
「今日はありがとね。楽しかった」
「こちらこそ。わざわざ来てもらって」
「……デイジーちゃんとのことは秘密にしとくから安心してね?」
「それはホントにお願いします」
「りょーかい。あ、明日もまた一緒にお昼食べようよ」
「うん、いいよ」
そこまで言ったところで芽衣が靴を履き、玄関の扉を開けて会釈する。
「それじゃお邪魔しました~」
そう言って、駅へと向かっていく芽衣を見送ると、魁人は玄関のドアを閉めて、藍那のいる自室へと戻るのであった。
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