手紙
2025年8月8日 午前11時33分
太一は、この日と時間を深く心に刻んでいた。
朝食を終えると、裏庭に出た。
広がる青い海、澄みきった空。
どこまでも静かで、変わらぬ日常の風景がそこにあった。
――こんな平和な時間が終わるなんて、とても信じられない。
太一の脳裏に、あの“火の海”の映像がよみがえる。
未来で見た光景。世界が燃え、すべてが終わる瞬間。
なにか手がかりがあるはずだ――そう思ったそのとき。
空から一羽のかもめが、太一の目の前をかすめて飛び去った。
驚いて身構える太一の足元に、一通の手紙が落ちていた。
太一はそれを拾い、ゆっくりと封を切った。
手紙には、こう書かれていた。
太一へ。
君は今、丘の上で朝ご飯を食べたあとだね。
知っているよ。驚かないで、話を聞いてほしい。
これから3日後、悪魔が何らかの理由で海底から復活する。
そしてその日のうちに、世界は火の海に包まれる。
それを止められるのは君だけだ。
だが――戦いの中で、君の家族は命を落とす。
もしそうなれば、もう後戻りはできない。
だからこそ、今日がすべての分岐点になる。
まずは、この場所を訪れてほしい。
そう記された文の下には、一枚の地図が描かれていた。
地図の片隅には、赤い印と共に、こう記されていた。
「始まりの場所」




