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2025年8月8日。
「太一〜〜、ご飯だよ〜〜!」
サキの呼ぶ声で、太一は目を覚ました。
どうやら、元の世界に戻ってこられたようだ。
彼は静かに寝室のベッドから起き上がると、2階から1階へと降りていった。
リビングにはサキと、3歳になる娘・樹里亜の姿があった。
「お……おはよう。」
「おはよ〜、パパ!」
樹里亜は今日も元気いっぱいだ。明るく無邪気な笑顔がまぶしい。
金髪に青い瞳は、母親のサキ譲りだった。
太一は、久しぶりに家族と朝食を囲む気がしていた。
この上ない幸せに、胸がいっぱいになる。
――こんな幸せがあっていいのだろうか。
今、確かに自分は生きている。そう、実感していた。
だが、この穏やかな時間が、いずれ奪われる日が来ることもまた、知っていた。
あの時、炎に包まれていた家――
それは、間違いなくこの家だった。
いったい自分は、あの出来事からどれほど遡ってこの時に戻ってきたのだろうか。
もしかすると、あの“悪魔”が現れるのは今日かもしれない――。
不安に駆られた太一は、壁に掛けられたカレンダーに目をやった。
2025年8月8日。




