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とぼとぼと駅へ向かう道、太一は雨に打たれる音をただ聞いていた。

傘を持つ手は冷たく、胸の内には言いようのない空虚が広がっている。

ホームに立ち、電車を待つ間も、どこか現実感が薄れていた。


その時、視界の片隅に、白髪の 女性の姿が映り込んだ。

彼女はベンチに腰掛け、雨に濡れる線路をじっと見つめている。

青い瞳が、どこか遠い場所を見ているようだった。


太一は立ち止まり、わずかに息を吸い込んだ。

言葉が浮かんでは消え、それでも傘を差し出しながらぽつりと言った。

「雨、冷たいですね。」


老女はゆっくり顔を上げた。

その微笑みは、どこか懐かしさを帯びている。

「ありがとう。でも、あなたにこうされるのは、きっと二度目ね。」


じゅんは言葉を失った。

雨音が鼓動に混じり合う中、彼の記憶の奥で、何かが小さく揺れ動いていた。

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