赤いハートの琥珀糖
それは夏の…とても暑い日だった…
「愛奈〜帰るよ〜」「香恋ちゃん待ってー!」
高校3年の最後の夏休みが近づいていた
「香恋ちゃんは高校卒業後どうするの?」「実家の飴屋と和菓子屋を継ぐ為に専門学校に通いながら修行だよ…愛奈は?」「…私は…まだ決めて無いかな」「そっか〜」
私と愛奈は母親が親友同士で何時もお互いの家に遊びに行く程仲が良くて幼い頃は何時も2人で色んな遊びをしていた仲の良い幼馴染の関係だ。
「そうだ香恋ちゃん、私新しい噂聞いたの!」「またぁ?愛奈ってば小さい頃から本当に噂話が好きだねぇ〜んでなんの噂聞いたの」「ふふん!今回聞いたのは恋のおまじないだよ!!」「やっだぁ〜恋愛関係のおまじないまた出回ってるの?」
ここは田舎寄りの都会だからすぐこうゆう噂話が流れる…
「んで、今回の噂話は誰から聞いた?新島?それとも三組の田中?」「隣町の和菓子屋のおばあちゃん」「げっ!愛奈の親父さん側の親戚じゃんそれもおばさんがめっちゃ嫌ってた方の!良くそっちに行かせてくれたね」「だってパパとの条件が伯母様の様子を見に行く約束何だもん」「そっか…今親父さんと2人だもんな」
中学2の時…おばさん…愛奈のお袋さんと親父さんが離婚した直後お袋さんが突然死し愛奈の親権を親父さんがってなったけど愛奈は親父さんを嫌っていて施設へずっと行きたがってた…
「あんな人父親じゃない…それよりも!おまじないの方聞いて!!」「はいはい、んでどんな奴?」「おまじないの名前がハートの琥珀糖って名前でね?誰にも見られないように砂糖液をものすごい弱火でじっくりとある一定の期間煮詰めて終わったら好きな人を思い浮かべながらゼラチン又は寒天と好みの味付けをして本来なら冷えて固まった後に型抜きするんだけどこのおまじないは直接ハートの型に入れて結晶化するまで寝ずに見守るんだって」「いや寝ずに見守るって…あれ下手したら1週間ちょいかかるんだよ!」「もうちゃんと聞いて!それでね結晶化したらその人にプレゼントする前に満月と新月の光を浴びせた後好きな人の名前とその人の事を思いながら琥珀糖を割らないようにラッピングしてプレゼントすると恋が叶うんだって」「なんっじゃそりゃ」
変な噂だなぁ〜と私は思った
「後ねこのおまじないには注意しなくちゃいけないことがね~」「愛奈、車来たよ」「何で…パパがここに」
確かにあの黒いワゴン車は愛奈の親父さんがいつも乗ってる奴だ
「愛奈、帰るぞ」「……香恋ちゃんごめんね今日お泊まり出来ないみたい…」「良いよ、それよりも親父さん呼んでるから早く行きな?」「……ん、またね」
愛奈…凄い顔で親父さん睨んでたな…やっぱり折り合いが悪いのか…
「明日は夏休み前日だし…早めに迎えに行ってやるか」
これが愛奈との最後の会話だとこの時の私は全く思ってもなかった…次の日、何時もの待ち合わせの場所に彼女は現れず時間も迫っていたので急いで学校へ向かいました。もしかしたら更に早く向かったのかなと思いながら行くとどこにも彼女姿は見えず学校が終わり家に帰ると勉強机に2つの小瓶が置いてありひとつは透明なハート型の小瓶で中にはカラフルで沢山の丸い球体の琥珀糖と一つだけ小さなハート型の琥珀糖が入ってる物と瓶も琥珀糖も赤いハート型の物が置かれててその横に愛奈からの手紙が置いてあった。
「何だ、愛奈家に来たんだ」
その夜…勉強しながら愛奈が置いてった琥珀糖を食べようと透明なガラスの瓶の蓋を開け1粒手のひらに載せると小さなハートの琥珀糖がころんと手のひらに転がって来たので「綺麗な色味だなぁ…まるでルビー…いや柘榴石だ」と目で楽しんだあとそれを食べるとザクロの味が口に広がり「まんまザクロ味か〜ちょっと癖あるけど美味しかった」と感想をボソリと言うとふと赤い瓶のは?と思い手に取ると先程のより色味が強く近くで見れば見るほど赤黒い様に見え一口食べるとザクロの味と生臭い鉄の様な風味と味がして吐き出しそうになったが飲み込むと母親から突如「愛奈ちゃん亡くなったって」その言葉を聞いた後、私は理解出来ませんでした。
その後は何も考えられず気付いたら愛奈の葬式は全て終わっており8月の中頃まで私は心ここに在らずのまま過ごしてました。
「恋香?」「明仁にぃちゃん?」
明仁にぃちゃんは母方の親戚でどうしても急用で出かけなくてはいけない時は両親の代わりに面倒を見てくれた年の離れた兄の様な存在でもあり私の初恋相手でもある。
「伯母様から聞いたぞ…辛かったな」「ううん…私が割り切れないだけだよ…本当はこんなに引きずっていたら行けないのにさ…明仁にぃちゃん、大学の卒業試験あるのにどうして私の所に?」「伯母様から電話があってね?恋香がずっと閉じこもってるって聞いたからさ」「私の事心配で来てくれたの?」「あたりまえだ…でも良かった思ってた以上に元気そうで」「明仁にぃちゃん…」
幼い頃から明仁にぃちゃんの優しさに触れて憧れてそしていつの間にか明仁にぃちゃん…明仁さんに惹かれてった…「私…明仁にぃちゃんが」
ナンデ
「え…?」「どうしたんだ?」
ドウシテ
「声が…」「声?」
アナタハワタシノモノナノニ!!!
「嫌!!」「恋香!しっかりしろ声なんてしないぞ!」
オマジナイシタノニ!
「何で…愛奈の声がするの…?」「愛奈って亡くなった友達?」
ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ!?
「やめて!!愛奈!どうしてこんなことを!」「恋香しっかりしろ!僕が傍に居る!」「明仁にぃちゃん…」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛オマエノセイオマエガ!!!!
ガタガタ!!「きゃあああ!!」「逃げるぞ恋香!」
明仁にぃちゃんに連れられて部屋から物置小屋のある裏庭へ逃げる途中
「恋香危ない!クソ!!」「明仁にぃちゃん!!」
明仁にぃちゃんは私を庇って小屋の扉に足を挟まれてしまった。すると赤黒い手が小屋の中から明仁にぃちゃんの足を掴むとそのまま引きずり込んでしまった。
「明仁にぃちゃ…いゃあぁ!!」
ジャモノコレデナクナッタ…
「やめっうわぁあああああああ!!!!!!!!!!」ボキベキバキバキ…イマムカエニイクヨ?…レンカチャン…
骨が折れる音と小屋の入口から赤黒い液体が流れた後目の前に四肢を拗られ苦しみと恐怖で塗り潰された顔の明仁にぃちゃんが目の前に投げ捨てられると同時に身体中が赤黒く変色しウェディングドレスの様なワンピースを着た愛奈がニチャアと笑を浮かべながら私を見ると「レンカチャン…ムカエニキタヨ」と両手を伸ばした瞬間声にならない悲鳴を上げながら母の居る学校まで全速力で逃げました。
「どうして何で何で!開かないの!お母さん!先生!!」
マァアッテェ…ドウシテニゲルノォ?
「やだっ!誰か!開けてよ!」ガチャガチャ!!!!
近くに愛奈の声が聞こえ激しくドアを叩いてると後ろで気配を感じ、息を荒くして震える私…そして
ガシッ「いやあああ!!」「うるさっ!!なにしてんの!」
私の肩を掴んだのは友達の桜吹でした。
「何でっ桜吹っ…旅行に行ったはず」「旅行?だぁれだよそれ言ったん、先生に親子共々呼び出されてんだよ…ったく!俺は体育委員でも雑用でもねぇ唯の図書委員だっうの!…んで何でお前はそんなに息荒くしてんの学校誰もいねえぞ?」「えっ…でも桜吹いるし」
レンカチャアァアアアン……ドォコオ…!!
「やら!くる」「げっめんどっ!中入るよ!!」
桜吹に腕を掴まれるとそのまま校内へ私が入るのを確認した後桜吹は鍵をかけ持ってたハンカチを私の目を隠す様に押さえつけながら図書室へ逃げ込んだ。
「何あれキモッ!!赤黒いし血なまぐさい?いや鉄臭いんだわ!」
桜吹はそう叫びながら携帯をポチポチしていた。
「何してるの?」「うちのおかんに連絡してる…あれ何やったらあんな事なるんだよ!!呪詛じゃん!本で読んだ呪詛やんけ!…」「おまじない…」「ん?おまじない?」
ふと口から生前の愛奈が話してくれたおまじないの噂を桜吹にすると桜吹は顔を顰めながら頭を抱えるとか細い声で「呪いやん…やめぇや…取り憑かれやすい自分が居ちゃいけんやんけ!!」とうずくまりながら言う。
「呪い?呪詛?それってどういう事?」と私が聞くと「まずこれ恋は恋だけど狂った方…つまりはヤンデレのおまじないで実際の効果はあの世へ道連れって事…簡単に手順を言うとまずこの呪いは自分と相手をあの世へ誘う物で本来は嫌いな相手や復讐したい程憎んでる相手に使う物でやり方は呪う相手に渡すプレゼントに自分の血と髪の毛を忍ばせ3日3晩相手に対しての恨み辛み憎しみ等の負の感情を篭めそれを相手に送ると呪いがかかるって訳…んでこれ肌が触れれば触れるほど呪いの効果が倍増する、例えるなら指輪や口紅などの物が当時最も倍増する具合が良いとされたけどある日突然それを食べ物で試した奴がいて相手に饅頭や飲み物に混ぜ込んだ後これまでの呪いより恐ろしい呪いになり名前を変えた結果…赤いハートの琥珀糖と言うおまじない基呪いとなった訳さ」
そう淡々と声色を変えずに桜吹は喋りながら鞄をゴソゴソと漁っていた。
「愛奈は恨んでたか私を」とその場に崩れた私を見た桜吹は「んや?お前じゃなくてお前に寄る奴らな?んで愛奈だっけ…あいつの親父さんは再婚相手らしいぞ?」としれっと言う。
「再婚相手?」「そ、再婚相手…どうやら愛奈がチビの頃に最初にいた親父さん死んじまってな?お袋さんが悲しみにくれてた時に再婚相手に励まされてそんまんまゴールインだとよ…んでここからが胸糞な話な?その再婚相手はこの呪いをやってホントの親父さん殺してお袋さんを手に入れたんだと…まぁそもそも再婚相手のそいつ悪質で凶悪なストーカーだったんだけどな?」
桜吹の話を聞いてふとふに落ちた…だから愛奈は親父さんの事を嫌っていたのかと思っていたら「あっそうそう最初の親父さんと愛奈は血繋がってないぞ、愛奈は再婚相手との子だぞ…」「はっ?でも愛奈は再婚相手の親父さんの事を…「悪質なストーカーだった再婚相手はお袋さんを待ち伏せしそしてその体と尊厳を汚したで分かるか?」…?…?!」「そゆこと、んで愛奈はお袋さんが亡くなった後真実を知り狂った…自分の出生とお前への恋心でな」
愛奈が私を好き?
「女の子同士の恋愛はまだ世間では厳しく見られるし何しろ犯罪者の娘と言う変えられぬ真実の板挟みに耐えれず狂い続けた中ちらりと見つけ聞いたおまじないをした現状がこれって事何だよね〜めんど…!」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンアケテアケテアケテアケテアケテアケテエェア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!
「ひっ!」「バンバン叩くんじゃないよ!!怒られんのこっちだっつうの!!!」
レンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカレンカスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテル
「やだ…助けて明仁にぃちゃん!!!」
ソノナマエヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナヨブナ!!!!!!!!!ワタシノレンカ!!!ワタシダケ!!!アノオトコハシンダ!!!メノマエデシンダ!!!!!!
「わぁおコロコロしちゃったか~お前地獄逝きやんけ」バキッ!!!「ァア!!!オマエハダレダァ!」「あっ壊しやがったなこの悪霊が!!!」「オマエモレンカをネラウヤツカァァア!!!」「おー怖っヤンデレは本当にろくでもねぇな」
私を庇って桜吹が攻撃されそうになった……その時
「( ゜∀゜)o彡°★悪霊退散★悪霊退散★」「あっおかんやんおかえり〜」「おけぇり〜じゃねぇよめんどくさいことすんなつってんだろうが!!!」
桜吹のお母さんがそう言いながら塩を投げ込んだ後愛奈は耳障りな音を響かせながらその場でのたうち回ると桜吹のお母さんはゴミを見る目で愛奈を見た後どこかへ連絡しお坊さんや神主さんの等の人が来るのを確認したあと私の意識は途切れた。
その後、諸々の話を聞くと変死体となって自宅で亡くなった再婚相手の親父さんと部屋からは愛奈のお母さんをストーカーしてた事やあのまじないや愛奈を性的な目で見ていた等の事実が日記に記されておりこの事件は解決した。
桜吹視点
「さぁてあのまじない広めたのあんたでしょ」「さぁなんの事かね?隣町までやって来て突然」「まぁ噂として流すのは勝手さね?それを信じるか信じないかは自分自身だけど…あんたはやりすぎた」「何を…」「『人の噂も七十五日』・・・人が口伝えにする噂話…その時はすごく盛り上がっても、ま た日にちがたてば別の人の噂話に・・・そして以前噂していた事はだんだんと忘れ去られそして繰り返される」「あの日あんたが流した噂によって罪の無い子達の命を脅かしそして奪った…」「やめろ来るな!!!」「そんな奴神が許すと思う?…」「やめろぉぉ!!!」びちゃびちゃ「帰るよデブ〜」「ん?あいよぉ〜…」
僕は誰もいない和菓子屋の店内をじっと見つめた後「口は災いの元であり人を呪わば穴二つ…覚悟が無い癖にやるからそうなるんだよ」と言った後そのまま母親の元に戻った。
ねぇ!あの噂のさ注意事項何?
1つ目、好きな人にバレない様に
(呪いの対象又はその周辺の者に悟られるな)
2つ目、必ずハート型で作る
(必ず心の臓を象ったものを使用するべし)
3つ目、一定期間煮詰め寝ずに見守る
(恨みや辛み等の念をゆっくり篭める)
4つ目、必ずザクロを使用する
(己の血液を染まるまで入れる)
5つ目、誰にも見られないように琥珀糖を置く
(姿を見られずに傍に置く)
こんなもんかな?
なんでザクロ?
わかんないけど綺麗だからじゃね?
ふーん?
後これ1度でも見られたらおまじない失敗だって!
やだぁもし見られたらどうすんの?
恋愛運が無くなるとか?
まぁじで最悪なんですけど!!!
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姿を見られたら?そんなの消すしかないしザクロなのは…味が血の味に似てるからだよ。