3:【急募】友人
いざ教室の扉を開けるとさっきまで騒がしかった室内が一気に静まり返った。
しかも皆すっごいこっち見てない?
え、私何かした??
そんな凝視されるくらい何かあった?いや、確かに中学の時も確かにガン見されてた記憶もあるような...?
あと桃は何でそんな得意気なの。
「みーくん?どうしたの?」
「いや、何でもないんだけど...うーん。私知らない間に何かしちゃってるのかなって。」
「えっと...なんで?」
「周りの反応が...ね。まあいいや。あ、私の席一番後ろだ。桃は...前だね。」
「ううう...名前順で席決められるとみーくんと遠くなっちゃうの、いやだなぁ...。」
「あはは、どんだけ私と一緒に居たいの?桃は可愛いね。」
「ぅえ!?そ、そんな...!」
黒板に張り出された席順を確認すれば顔を紅くして固まった桃を置いて、2列目の一番後ろの席へ鞄を下ろした。
周りからの視線も気になるけど...果たして1年間楽しく過ごせるのかな...。
「あ、あの...。」
「ん...?」
椅子に座って荷物を整理してたら声をかけられた。
...声をかけられた!?
「私?」
「はい!あ、ずっと見ちゃってごめんなさい!すっごい綺麗だなって思って...!」
「あ、ありがとう...?えっと、あなたは...。」
「上野 響です!」
「上野さん。初めまして、澤田 翠です。」
「翠様...!」
「え...?」
「はっ!あの!翠様って呼んでもいいですか!?」
「え、えっと、好きなように呼んでくれればいいけど...様付けでいいの?」
「寧ろそれ以外にどう呼べば...。」
「いや、普通に翠でも。」
「滅相もない!」
「じゃあ、みーくん?」
「それはダメ。」
おっと、急に視界が暗くなった...この手の小ささと声は桃、かな。
「みーくんって呼んでいいのは、私だけだから...。だから、だめだよ。」
「はい!分かりました!!」
みーくん呼びは桃だけなの初めて知ったけど、え、あれ、他にも呼んでる人居たような...。
まあ、呼ばれ方は正直何でもいいし拘りもないしなぁ。
「桃。」
「なあに、みーくん。」
「手、退かして?」
とりあえず目を覆われ続けてるのも嫌だし桃の手を掴み、そっと外す。
上野さんとは友達になれそうだし、一安心かな。
中学の時みたいに避けられるのも嫌だしなぁ...うん、遠巻きに見られ続けるのは中々寂しいもんだしね。
声かけても逃げられちゃってたし...私の何がいけなかったんだろ...。
「上野さん、改めてよろしくね。」
とりあえず印象悪くならないように笑いかけながら手を差し出した。
...あれ?ちょっと待って。私握手のつもりで差し出したんだけど、なんで両手で包まれてるんだろ?
「翠様...!!こちらこそ、よろしくお願いします!もうこの手を洗えません!」
「うん、それは汚いから普通に洗ってね。」
これからの事にちょっと不安を感じるけど、とりあえず穏やかに過ごせるといいなぁ...。
あと桃さん、ちょっと雰囲気怖すぎるから落ち着いてね。