2:冤罪です!
張り出されてる組分けを確認すれば、どうやら桃と同じ2組らしい。
良かった...さっきの悲鳴もそうだけど、桃と離れたらやってける自信が本当になかったわ。
「みーくん。」
「桃!見て、同じクラスだよ。」
「わ、本当だ!やったぁ!5組まであるのに一緒なんて...嬉しい!」
「ほんとにね。まるで運命みたいじゃない?」
「み、みーくん...。」
少しからかってそう言えば顔を真っ赤にして可愛い反応を見せてくれる。
これだから止められないんだよなぁ...もっとその表情を見たくなっちゃう。
なんなら、もっと別の顔も...なんて思うのは私が年頃だからかな。
「そこのあなた。」
「...。」
「あなたよ、あなた。」
「ん...?」
誰かに腕を掴まれた感覚に振り返ると、私よりも少しだけ背が低く綺麗なストレートヘアーを靡かせたクール系美女が立っていた。
あれ、私呼ばれてた?いや、でも知らない人だし...。
「聞いているの?」
「あ、すみません。何でしょうか?」
「はぁ...、この騒ぎの原因はあなた?」
「いえ、知りません。何もしてませんしね。」
「...本当に?」
「本当に。」
すごい疑り深い目でこっちを見てくるけど、本当に何も知らないしなぁ...。
寧ろ私が教えて欲しいくらい。どうなってるの、この状況。
暫く見つめ合うと漸く信じてくれたのか掴んでいた腕を離してもらえた。
「疑って悪かったわ、ごめんなさい。でも気を付けて。あなた、目立つ容姿をしているみたいだから。」
「いえ...ありがとうございます。でも目立つ容姿はあなたもでは?」
「...。」
「あ、そういえば何で私は注意されたんですっけ?あなたの名前も知らないですし...。」
「...。2年の花咲よ。生徒会のメンバー。入学生が迷わないように来てみたらあなたを中心に騒がしかったから...。」
「なるほど...。」
「何もないならいいの。忘れて。クラスの確認を終えたなら早く教室へ。もうそろそろ点呼が始まるはずよ。」
「あれ、もうそんな時間!?ありがとうございます、花咲先輩!」
「...みーくん、行こう?」
先輩にお礼を言うと同時くらいに桃に腕を掴まれた。
今日はやけに腕を掴まれるなぁ...私を引っ張って行く桃について行きながら、花咲先輩に軽く会釈をしておく。
本当に綺麗な人だったなー...名前、なんて言うんだろう?
下心がなくても綺麗な人とはお近づきになりたいよね。え、なりたくない?私はなりたい。
「...みーくん、さっきの先輩が気になるの?」
いつもより低い桃の声。
あれ機嫌悪い...?珍しい。
「どうしたの、桃。何かあった?」
「...ううん、なんでもない。」
いつの間にか腕ではなくぎゅっと握られた手、いつもの桃とは違う行動を不思議に思いながら教室へ向かった。