1:はじめまして。
桜舞い散る新しい季節。
新しい学校に新しい制服、ローファーを鳴らして歩くだけで正直気分はかなり上がる。
「あ...みーくん。ネクタイ、ちょっと緩んでるよ。」
聞こえた声に振り返ると小さな手が伸びてきた。
「あー...ありがと、桃。どうもまだ慣れなくてさ。」
私のネクタイを手にして結び直してくれる彼女、桝井 桃。
幼稚園からの幼馴染で小さく小柄な小動物を彷彿させる彼女、普段は抜けていてほんわかしているけどこうやって頼もしい時もある。
感謝の想いも込めて小さな彼女の頭に手を乗せるとぽんぽん、と軽く撫でた。
うん、今日もさらさらで触り心地がとてもいい。
「も、もう!みーくん!私子供じゃないよ?」
「あはは、ごめんごめん。桃は小さくて可愛いし、すぐ撫でたくなっちゃうんだ。」
「!!すぐそういう事言うんだから...!」
「桃が可愛いから仕方ないよね。ほら、早く行こ?さすがに初日から遅刻はちょっと。」
「わ、まって、みーくん!」
桃の手を取りゆるく握ると新しい学校を目指した。
私、澤田 翠は今日からこの私立光星女子高等学園の1年生。
どんな高校生生活が待っているのか、とても楽しみだ。
「そういえば、桃はリボンにしたんだね。」
「うん、こっちの方が可愛いし...みーくんはネクタイにするかなって思って。」
「よくお分かりで。でもリボンもかわいい。桃によく似合ってる。」
「あ、ありがと...。」
恥ずかしかったのか少し顔を俯かせてるけど、赤くなった耳が見えてる。
こういう所が可愛いんだよなぁ...緩む頬を自覚しながら校門が見えれば気を引き締めた。
こういうのは初回の印象が大事、そこからの生活に大きく影響するからね。
大丈夫、普通にしてれば何も変な事はないはず。
...ない、よね?
何だかすごく見られてる様な...気のせい?
不思議に思ってちらりと横目で声のする方を見れば途端に悲鳴へ変わった。
「...ねえ、桃。私何か変?」
「うーん、変な所なんてないよ。ただみーくんに見惚れてるだけだと思うなぁ。」
「ん...?ごめん、桃。なんて言った?」
「っ...!!」
周りが煩いしよく聞こえなくて少し屈んで桃の口元に耳を寄せた。
けど、桃。なんで何も言わないの?え、本当はどっか変だった?
「桃...?」
「な、なんでもないよ!大丈夫!みーくんに変所なんてないから!そ、それより、みーくん、ちょっと近いかな...!」
...?変な桃。
変な所がないなら、いいのかな...私の気にしすぎか...。
「......、みーくんって本当に鈍感だよね。」
桃がまた何か言ったみたいだけど、周りの声でそれどころじゃない。
私、この学校でやっていけるかな...早速自信がないんだけど。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
女子高生ハーレムもので基本的に甘々を目指してます。
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