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神様の慈悲  作者: 河藤
第一章 旅立ち
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第8話 カトルVS邪龍

「GYAAAAAAAAAAAAA!」


カトルを前にしたドラゴンが大きく鳴く。

その声と同時にドラゴンの周りを瘴気が取り囲み、稲妻が走る。

30mはありそうなぐらいで、眼は怪しく赤く光っている。

が、カトルは一切関係ないとでも言うように大太刀を構えてドラゴンへ向かって行く。

ドラゴンの放つ稲妻をスイスイ避けてカトルの大太刀が一太刀浴びせる。

包丁で豆腐を切っているかのようにドラゴンの皮膚があっさり斬れ、鮮血が飛び散る。

モ○ハンみたいだ。


「あ、シドさん、帰って来たんですか!」


カトルがこっちに気づいて呼びかける。

おい、ドラゴン相手に余裕そうだな。


「何でこんな事になったのかは後で聞くから、早くそいつ片付けてくれー。」


「わかりました。それでは私のとっておきの魔法でとどめを刺しましょう!」


そういうとカトルは持っていた大太刀を地面に突き刺し、右手を空に掲げた。

するとその上空に魔法陣が現れる。


「我、邪を祓う者也。今ここにて行われる蛮行を黙視されよ。与えられるは光の罰。」


カトルの詠唱に合わせて上空の魔法陣はどんどんと巨大化していく。

カトルは上げていた右手をドラゴンに向け、魔法を放った。


「【聖者の星の導きセインターズインパクト】!」


そう言い切ると、魔法陣からドラゴンに向かって、光り輝く巨大な矢が放たれ、ドラゴンの胸を貫いた。


「GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOO………。」


ドラゴンは胸に空いた穴から血を吹き出しながら俺の目の前に横たわった。

倒れた風圧で吹き飛ばされそうになるのを必死で堪えた。

テレポートし直して平原に来てから3分足らずでドラゴンの見せ場は終わり。

ドラゴンよ、君のことは忘れない。

前世で暇つぶしに読んでいたこういう小説だと、確かドラゴンの素材は高く売れていた筈だ。

亜空間収納インベントリ】にひとまず閉まっておこう。

大魔法をぶっ放したカトルがスキップしながらこちらに向かってくる。


「見ました?見ました?私ってすごいでしょう‼︎」


興奮した面持ちでカトルが話しかけてくる。


「うん、本当に凄かった。今の光の矢は上級魔法?」


「いいえ、幻級魔法です。それよりももっと褒めてくれてもいいんですよ?」


「うん、スゴイスゴイ…。」


今サラッと幻級魔法って言ったよな。

幻級魔法を使えれば大魔導士と呼ばれるらしいが、今この娘(カトル)はその幻とも言われる魔法を使ったんだよな。

一発でやられたドラゴンがかわいそうだ。


「そういえば、何でドラゴンと戦っていたんだ?」


「うっ、え、えーとですね…なんか急にドラゴンが飛んできて雷を飛ばして来たので、それで仕方なく…。」


「ふーん、そうか………。」


カトルを正面から見つめる。

おいこら、目が泳いでるぞ。


「………。」(プイッ)


無言で明後日の方向を向くな。


「本当はどうなんだ?」


「な、なんのことですか…?」


話す気は無いようだ。


「そうか…言ってくれないなら食事抜きかな。」


「私は悪く無いです!悪いのはあの邪龍です!」


このメイド飯につられてアッサリと自白したぞ。

というより待て、邪龍?


「邪龍ってのは何?」


「あれ?知りません?邪龍ってのは普通のドラゴンと姿は同じですけどドラゴンとは長い間対立しているんです。基本的にドラゴンは自分のテリトリーに人が入って来た時にしか攻撃はしませんが、邪龍は自ら赴いて街や国を滅ぼします。」


「ってことは邪龍は敵か?」


「そうですね。話し合いは無理です。瘴気を出していたり眼が赤く光っていたら邪龍ですね。」


「なるほど。で、正直なところなんでああなった?」


「はい…実は…」


カトルの話を聞くと、俺がテレポートした直後、大きな魔力の波動を感じた、とか言ってこの平原にやってきたという。

邪龍はそこに1人でいたカトルを危険と判断したのか、滅しようとしてきたので反撃した、というのが一連の動き。

邪龍の言った魔力の波動はおそらく、いやほぼ間違いなく昨日の俺。

初級魔法で災害を起こした俺が事件の原因。

確かにカトルは悪くない。

正当防衛なら仕方ないだろう。

しかしあの魔法はやり過ぎだ。

昨日俺が開けた穴より更に大きな穴を地面に開けた。

直径約15mほどのクレーター。

まぁ、カトルも反省しているようだし、これからはもう少し被害を抑えるように言えばいいだろう。


「さて、それでは問題も消えましたし、また次の邪龍が魔力を感知して来る前に魔力のコントロールを出来るようになりましょうか!」


次の邪龍とか縁起悪いことを言うな…。


「最終的にはシドさんには絶対魔法までは覚えてもらいますからね!」


カトルは俺を絶対魔法(人外)にまで導くつもりのようだ。

こうして俺の魔法授業は始まった。

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