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神様の慈悲  作者: 河藤
第一章 旅立ち
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第5話 検証と異常な力

鳥の鳴き声に目を覚ます。

軽く伸びをしてベッドから出て窓を開けて深呼吸をする。

こんなに優雅な1日の始まりは初めてだ…。

とでも言うと思ったか。

早朝からピーチクパーチクうるさいったらありゃしない。

何が嬉しくてこんなに早く起きなくちゃならないんだ。

仕方なく階段を降りていくと、既に小屋(ほぼ家)の中にはいい匂いでいっぱいだった。

朝食を作っていたコーラスが俺に気づいた。


「おはようございます。」


「おはよう。起きるの早いね。」


「この身体はあまり睡眠の必要が無いようなので。」


そんな会話をしながら朝食の席に着く。

前世じゃ考えられ無いような朝食を楽しみながら今日の予定を考える。

昨日はこちらに転移したてであまり考えられなかった。

それでもこの世界で生きていくのに必要な知識は手に入れた。

となったら次はファンタジー要素であるアレを読まなくては。

そう、魔導書だ。

俺の予想では、【完全記憶】と【再現リプロデュース】を使えばすぐに魔法は使えるようになるだろう。

いくらかの魔導書を【亜空間収納インベントリ】に放り込んで家を出る。家の中で試して暴発、家全壊にもなりかねない。


「お出かけですか?」


「あぁ、外で魔法の練習を。」


「それでしたらこれをどうぞ。」


そう言ってコーラスが差し出したのは弁当と先端に赤い宝石のついた長めの杖だった。

既に弁当用意してあるとか手際良すぎるだろ。

未来予知のスキルでも持ってんの?


「この杖は?」


「そちらはヘスティア様がマスターへと送られた杖であります。通常の杖よりも丈夫で使いやすく、初心者でも扱いやすい物です。」


もうなんでもあるな。

こんなに貰ってあとで請求書とか渡されないよね?


「ありがとう。」


「その言葉は私ではなく、ヘスティア様へどうぞ。それでは行ってらっしゃいませ。」


「行ってきます。」


そう言って家を出る。


「【マップ】」


魔法の練習にちょうどいい場所を見つけるためそう唱えると、目の前に地図が浮かび上がってきた。

幸いなことにすぐ近くに誰もいない平原がある。

余談だが、このマップには、一般人は青い丸で、敵対する人、もしくは魔物は赤い丸で表される。

今俺の家には青丸が1つある。

コーラスだ。

今、その平原には誰もいない。魔物もいなさそうだ。

早速歩いて向かう。

しばらく森の中を歩いていると急に視界が開けた。

到着。ここまでくるのには数十分ほどかかったけど、帰りは【瞬間移動テレポート】を使えば一瞬で家に帰れる。

念のために近くに【創造クリエイト】で仮の拠点を作り、中に先ほど創造したテーブルや椅子、ベッドを置く。

魔力を消費して創造するとあったが特に何も感じない。

これくらいなら許容範囲なのだろうか。

とりあえず【亜空間収納インベントリ】から魔導書を取り出し読み進める。

本当に読むだけで俺でも分かりやすい原理が頭の中に入ってくる。


この魔導書曰く、魔法とは魔力を使い、杖、もしくは自身の身体を触媒として使用するものらしい。

人間が使える魔法には火、水、風、土、雷、氷、闇、光の8つの属性があり、それぞれ低級魔法、中級魔法、上級魔法、超上級魔法、幻級魔法、絶対魔法があるそうだ。

上級魔法までは使える人はいるが、超上級魔法を使える人は本当に稀で、幻級魔法ともなれば使えれば大魔導士と呼ばれ、絶対魔法が使えれば人外になるらしい。


なんでも、級が上がれば上がるほど必要な魔力が増え、詠唱も長くなるとか。

だが、俺に詠唱がなんとかは必要無い。

【完全記憶】で入ってきた情報を合わせれば、全ての魔法は詠唱なんてなくても使える、ということになった。


読み終わったので、外に出て実践してみる。

最初だし詠唱もした方がいいだろう。

火の初級魔法から始めよう。

まずは、魔力が体内を巡っている感覚を感じ取る。

うん、なんとなくわかる。

血と一緒に血管を流れているような感じだ。

次に杖を構え、詠唱をする。


「我が体内に宿る魔力よ、火を灯し、目の前を焼け、【火球ファイアボール】!」

みるみる杖の先端の火の玉が大きくなっていき、そして放たれた。


地面に当たった瞬間火の玉が爆発。

ドーーーーーーーーーン!

初級魔法なのにすごい風だ。

目も開けられない。

しばらくして、出た煙と風が収まってから近づいてみる。

そこには直径6mほどのクレーターができていた。

ナニコレ?

初級魔法ってこんなにえげつないの?

魔導書にはせいぜい直径50cmないほどの穴が開くぐらいしか書いてなかったんだけど?

すると脳内に某チャットアプリの着信音のような音が響いた。


『火魔法Lv.1を取得しました。」


電子音声っぽいのがそう言う。

おそらく新しくスキルを覚えると、このようにして通知が来るんだろう。


昼になったのでとりあえずコーラスの作ってくれた弁当を食べる。

サンドイッチだった。

うちのメイド超優秀。

その後はとりあえず残りの7属性の魔法を使ってみる。


水魔法ではできたクレーターの中に軽く池ができた。


風魔法では竜巻が起こり、クレーターの中の水が全て巻き上がり、巻き上がった水が雨のようにして降ってきた。


土魔法では直径5mはあろうかという巨岩が現れ、着地地点にこれまたクレーターを作った。


雷魔法では空から何本もかみなりが落ちてきて火災を起こした。しかも青色の雷。慌てて水魔法で鎮火したが、あたりは水浸しになった。


氷魔法では辺り一面が凍てつく大地になった。


闇魔法では辺り一面に瘴気のようなものが漂った。


光魔法では杖の先端に大きな光球が現れ、闇魔法の瘴気を消し去った。

ちなみに全て初級魔法だ。

全く魔力が減ったという感じもしない。

もうわからなくなってきた。

この魔導書がおかしいのか、この杖がおかしいのか、それとも俺がおかしいのか。

あれこれしてると脳内にまた通知が入った。


『水魔法Lv.1、風魔法Lv.1、土魔法Lv.1、雷魔法Lv.1、氷魔法Lv.1、闇魔法Lv.1、光魔法Lv.1を取得しました。これにより、全ての属性魔法は統合され、全属性魔法Lv.1となりました。』


どうやらアレで全てLv.1みたいだ。

流石に異常だ。

青い雷とか初めて見たぞ。

日も暮れてきたし、今日は家に帰ってコーラスに今日のことを話して色々教えてもらおう。

そう思って俺は【瞬間移動テレポート】で家に帰った。


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