8.テスト
今日は7月の20日。だんだん暑くなってきて、私の好きな長袖を着るのが辛くなってくる頃だ。
そして、凍らせたものがとても美味しい季節。
2日に1回位は食べてる気がする……
今日は(というか毎日だけど)図書館迷宮に来ている。でも、いつも通りにただ勉強するわけではない。初めてのテストを受けるのだ。
とりあえず受付のお兄さんに、テストの場所に行けるように手続きをしてもらう。
男の人が受付にいるなんて珍しいかも。
「すいません、テストの手続きお願いします」
「あら、君は聖女の娘さん?
確か3月くらいに入ったはずなのにもう階層試験受けるんだ」
「お母様のお墨付きですから」
「そっか。じゃ、カードちょうだい」
最近は、今までできなかった人を喜ばせる言葉(社交辞令って言うらしい)みたいなのも言えるようになってきた。
前の全く話せなかった状態からだいぶ改善したよ!
「はい、手続き完了。時刻は10時からの1時間半で、いつも通りゲートをくぐれば試験会場に入れるから」
「ありがとうございます」
「頑張ってね」
最近知ったのだが、カードを差して通る扉のことを『ゲート』と呼ぶらしい。別に何でもいいじゃん……
とことこと歩いてゲートに向かう。
最近、機械時計だけでなく日時計の見かたをお父さんに教わった。
壁掛けの機械時計を見ると、今は9時40分。あと20分ほど時間がある。
今日の試験に合格したら日時計を買ってくれるって言ってたから、絶対に合格しなくちゃ。
カードをちゃちゃっと差してからゲートを開ける。この4ヶ月くらいずっと通った図書館とは違って、思ったより狭い個室だった。
机の上には、『私を読んで』と書いた紙があったのでとりあえず読んでみた。
・こんにちは、ビリーヴアーティルです
・試験開始前の注意をします
・持ってきたもの、筆記用具含め開始5分前には全没収します、終了しだい返却です
・1教科30分、計1時間半で行います
・もしも30分もいらない場合は『ネクスト』と言ってください…………
ルールの紙長すぎ。こんなにいるか?
全部読んだほうがいいのは確かだから、とにかく全部読む。
読むだけで5分はかかった。
この紙には、直前の勉強をさせないための悪意しかないかもしれない。
でも、あと10分ほどあるので、文句言わずに勉強する。
『5分前です。所持品を没収します』
何の声だろう。女の人か、男の人かの区別もつかない不思議な声。
考えているうちに、自分の荷物をすべて没収された。すると机の上に、私の使っている鉛筆に似たものが2本と真っ白の紙が一枚、突然現れた。この紙、相当高そうだな……
やることも無くなったので、部屋を見回して待っていよう。
壁は全面クリーム色で、訳がわからないほどになめらかで綺麗。窓もなければ入ってきたはずの扉もない。
……監禁される?そんなわけないか。
『では、開始します』
声と同時にさっきの紙に黒い文字が浮き上がる。ちょっと気持ち悪いかも。
まずは国語の問題。
問題の答えをさらさらと書き進める。
今の私にとってはけっこう簡単かな?
「ネクストっ」
もう終わってしまったので、次へ行く。
算数、自然と次へと進んでいく。
3回目に「ネクスト」と叫ぶと、問題が書いてあった紙には、
『お疲れ様でした。出ていってください』と書いてあった。
さっと立ち上がると、机の上には私の荷物があった。すごいシステムだな……
入ってきた扉も復活していた。
とりあえず早く出る。もう怖い。
受付に向かって、カードを提示する。
「はい、合格ですね。次からは2層の勉強をどうぞ」
「ありがとうございます」
「やっぱり聖女の娘さんはすごいな……」
会う人みんな、私じゃなくてお母さんを褒める。私のことも褒めてほしいな……
「カード返して」
「あ、はい」
今日はまだ11時だけど家に帰ろう。
とりあえず時計買ってもらおう。
遅くなってすいません。
あけましておめでとうございます。




