2.知識を求めて
日が空の天井にある頃。
「おかーさ、おかーさ、いこーっ!」
すごい勢いではしゃいでいた。
今日はユリーヴィア歴56の3の17。
ユズの6歳の誕生日になる。
「はいはい、わかりましたよ。ちょっと待ってね」
お母さんはそうやってユズをなだめると纏めてあった荷物を持つ。いつもの仕事場へ行くだけだ。
「じゃあ、行きましょうか」
「いぇーい!」
ユズは家を飛び出し、この中通りのコーナーををくるりと曲がる。そして、ギルドや役所が立ち並んでいて、整っている大通りを一直線に駆ける。ドーム状の知識の迷宮に向かい、一心不乱に。
開放された扉を恐る恐るくぐる。そこには、綺麗なステンドグラスの天井から降り注ぐ鮮やかな光が舞い、白い石材の床を鮮やかに飾り付けている。
前を見ると、大きな柱が中央にそびえ立っていて、たくさんの人が柱についた扉から出たり入ったりしている。
知識の迷宮の姿に見惚れていると、いつの間にかお母さんが隣に立っていた。
「さぁ、いよいよ登録しましょうか」
そう言いながら、壁際にあるカウンターへと歩きだした。ユズもお母さんに置いていかれないように、小走りで後を追っていく。
お母さんは友人に話しかけるかのように
「娘のギルドカード作りに来ましたよっ」と、
普段の姿からは想像できないような明るい口調だった。
「聖女様のご令嬢がようやく登録するのですか。今後の活躍が期待できますね」
「もうある程度は仕込んでありますから、1層、2層くらいは軽く今年中に行けるかもしれませんね、私も楽しみです」
お母さんと受付の人(でもとても偉そうだった)の人が会話を弾ませていて、無視をされているような気がする。少し睨んでみる。
「あっ、ごめんね。登録用紙に必要事項は書ける?お願いね」
それだけ言うと、受付の人はまたお母さんとおしゃべりを弾ませている。
お母さんが『聖女』って呼ばれているけれどなんでだろう?という謎は心の底にしまいこんで、用紙を使い慣れない魔導式万年筆で埋めていく。
「はい、できたよ」
ずっと話し続けるお母さんたちに書き上がった用紙を渡す。受付の人は変な機械に私が書いた用紙を差し込んだ。
2分位だろうか。待つと「チーン」という音がして、さっきの変な機械から綺麗な銀色のカードが飛び出してきた。この空間にある物は全部素敵なものばかり。
受付のおばさんは分厚い本を開き、慣れた手つきで読み上げる。
「これはギルドカードです。世界共通、全機関共通の超絶便利カードになります。表面に氏名、年齢などの個人情報が載り、裏面には登録ギルドが刻み込まれます。今の所この探究者ギルドのみですが、これから増やしたり、ランクを上げて豪華なカードにしていってください」
「はいっ!」
返事の基本は、明るく、元気に。
「でもここは知識を探究する者が集う場所ですから、1層に入ったら返事は控えめにお願いね」
「うん」
先程より少し控えめの返事をする。
「もう行っていいよ」
許可がおばさんからでた。でもどうすればいいのかわからない。
「よし、行こっか」
お母さんが手を握ってくれる。
中央の柱まで連れていかれて、入り方を教えてくれる。扉の取っ手付近についている隙間に、一回カードを通すだけで、私の行きたい階層へと連れて行ってくれるそうだ。
今教わったやり方で扉を開ける。
眩しい光が襲いかかる。さあ、私の冒険の始まりだ……!
結構キリが悪い……ごめんなさい




