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9 疑惑と信頼

 ところ変わって高斗の部屋。


「ま、まままずいよ、ナオ。ぼく、また殺されちゃうよ」

「うむ、このままだと一日に二度死んでしまうことになるな」

 淡々と直毘は答えた。やはり神だけあって、生き死にの概念が欠落してるのかもしれない。


「だが安心するがよい。あの娘からは高斗を殺した記憶は封印してある。これもわらわの力じゃ。ある一定の記憶を封印することが出来るのじゃ。あくまで消去ではないので、強い気持ちさえあれば思い出すことは可能じゃがな。よってあのツンデレ娘は高斗を殺しにきてるわけではない。よかったのう高斗」


 子供のように相好を崩しながら直毘は言った。もう既に死んでいるというのに何が良いというのか。高斗が突っ込みを入れようとすると、ドンドンとドアが激しく叩かれる音が聞こえた。


「たーかーとー! いるのは分かってんのよ! 早く出てきて顔見せろごらああああああああああ」


 ついに七海は大声で叫び出した。高斗が応対をしないので、怒りがピークに達してるらしい。しかしナオは極めて冷静に、

「お怒りのようじゃな。出てやれ」


「出れないよ! もうこのまま居留守を使おうよ」

 激怒してる人間を家に上げてどうするのかと、高斗は直毘の提案をはねつけた。しかし直毘は、

「居留守を使ってどうなる? 家が隣同士だというのに、身体が朽ち果てるまで逃げ続ける気か? それならいっそ納得のいくまで話し合ったほうがよい」


 と、落ち着き払って高斗を諭した。なぜ彼女が自分のことをこんなに詳しく知っているのか。驚く高斗に、直毘は説明を続けた。

「逃げてはいかん理由はもう一つある。あの娘は高斗の持ち物に発信機をつけておるのじゃ」


「発信機? ……あっ」


 そう言えば、と高斗は思い出した。

 桂馬瑠璃と携帯で話している時、途中でノイズのようなものが聞こえた後、会話が途切れた。あれは発信機による電波妨害だったのか。


 いや、それよりも。高斗はさらに記憶を探った。

 あの時、確か桂馬瑠璃はこう言ったはずだ。

「待ち合わせ場所が変わった」と。


 あれも、七海が仕組んだことだったのだ。毎日登下校を共にしている彼女ならば、高斗の持ち物に発信機だろうと盗聴器だろうと何でもつけられる。彼女の仕業というならむしろ合点がいった。


「と、いうわけじゃ。隠れていてもためにならん。出てやれ」

「わ、わかったよっ」


 高斗はあわてて直毘の言うことに従い、すぐに玄関口へと駆けつける。しかし、ここまで状況を詳しく知っていながら、どうして直毘は自分を助けてくれなかったのだろう。本当に直毘のことを信用していいのだろうか。もしかしたら、犯人は七海ではなく直毘で、それを隠蔽するために七海に罪を押し付けているのではないか――? いやいや。高斗は自分の考えを否定した。


 今はとりあえず、自分を助けてくれたという直毘の言葉を信じよう。そう思いながら、高斗は玄関のドアを開けて七海を迎え入れた。

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