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21 突撃! 学園のアイドル

 高斗は学校に着くなり、すぐに教室へと向かった。するとそこには、まるでアイドルの握手会のように人だかりが出来ていた。人ごみをかきわけ、その中心にいる人物に、高斗は声をかけた。


「け、桂馬さん。おはよう」


「あら、高斗くん」


 桂馬瑠璃は、高斗の顔を見ると微笑を浮かべた。

 その表情を見て、高斗の心臓はドキドキと高鳴る。


 桂馬瑠璃は、高斗の通う学校でもっとも人気のある女子生徒だ。彼女は日本人とイギリス人とのハーフである。満開の桜のような桃色の髪はくびれのある腰元まで垂れ下がっていて、細身ではあるが出る所は出た女性らしい体つきを強調している。大きく優しい目元も、周りの女子より格段に細く小さな顔も、耳も、鼻も、口元も。男子のみならず、周りの全ての人間を惹きつけてやまない。タレントやモデルをしていないことを、誰もが不思議がるほど完璧な容貌をしているのだ。


 彼女は周囲の人間をよけて高斗に詰め寄ると、

「高斗くん。昨日は……」


「ご、ごめん! ちょっと来て!」


「え?」


 呆気に取られる桂馬瑠璃の手をとり高斗は駆け出す。周りの生徒からは当然ブーイングが起きるが、そんなことはお構いなしとばかりに高斗は走った。


 廊下を抜けて、非常階段の横まで来た。

 桂馬瑠璃は息を整えながら、高斗に非難の目を向ける。


「もう、昨日はどうしたの? 通話は途中で切れるし。何度もかけ直したのに出てくれないし。私、本当に心配したのよ?」


「ご、ごめん。桂馬さん」


 しゅんとしながら高斗は答える。


「ちょっと気分が悪くて。倒れたんだ。それから家でずっと眠っていて」


「まあ……大丈夫なの? 休んでいなくて」


「だ、大丈夫。もう良くなったんだ」


 高斗は、苦し紛れの嘘をついた。

 幼馴染に刺し殺されてゾンビになったとは流石に言えなかったからだ。


「そう。それならよかったわ」


 桂馬瑠璃は、そんな高斗に優しく微笑んだ。


「じゃあ、昨日の用事を今聞くね。私にお話ってなあに?」


「あ……だから、その……ぼくは、君のことが……つまり、ずっと前から……その……」


 思い切りつっかえながら、高斗は言葉を紡いだ。少女はそんな高斗の慌てっぷりを見て、くすりと笑った。


「もう、高斗くんったら。少し落ちついて?」


「うっ……ごめん。ぼくは、君に大事な話があるんだ……もし今日用事がなかったら、放課後また残ってもらって、いいかな……?」


「いいけど、どこで?」


「あ……じゃあ、視聴覚室で……」


「わかったわ。私も高斗くんにお話があるから、今度はちゃんと来てね?」


「う……うん。もちろんさっ!」


「それじゃあ、また放課後にね」


 彼女が去っていくと、高斗はその場にへなへなと座り込んだ。

 そして、大きく息をつく。


「はあ……こんなことで、告白なんて出来るのかな……?」


 途端に自信がなくなってきた。

 それはともかく、桂馬瑠璃の話とは一体何なのだろうか。


「ま――まさか! 桂馬さんもぼくのことを? もしそうだとしたら……やったああああああ!」


 高斗の叫びが廊下中に木霊する。生徒達が訝しげに高斗のことを見る。しかし、興奮状態の高斗にはそんなことまで頭が回らなかった。


 そう、この時高斗は気づいていなかったのだ。

 背後から冷たい目で見つめる女生徒の姿を。


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