第七部
さて、このパートからが本編です。
高橋真樹斗は、自宅マンションからすぐ近くにあるスーパーマーケット「SOMURI」へ入った。
今日も主婦が多い。
「SOMURI」は地方のチェーン系のスーパーマーケットであったが、この地方で取れた新鮮な肉、魚、野菜、美味しい惣菜が揃っており、
特売日も多くてこの周辺のマダム御用達であった。
「えーと、まずは米と・・・・トイレットペーパーも必要だったな。」
真樹斗はショッピングカートに米の袋を載せた。
今日はキャンプ用のリュックを持ってきているため、最後はそれに入れて背負って歩いていかないといけない。
(今日もがんばろう)
「ビーフジャーキーは・・・やっぱりやめとくか。しめじとキャベツと味噌と卵と納豆・・・・肉は食いたいけど、我慢しよう。惣菜は魅力的だけど、自分で何か作った方が安く済むからな。」
各コーナーで商品をカートに入れていき、酒コーナーの前についたが酒の購入も諦めた。
レジで精算を済ませて、商品をリュックに入れていき背負う。
ずしっと肩に重みを感じたが、踏ん張る。
後は家まで歩くだけだった。
~・~・~・~・~・~
夜、ある居酒屋で、ある少女・・・・いや、見た目は幼く、身長150cmにギリギリ満たない女性がしみじみと酒を飲んでいた。
見た目はどこかギャルのような感じではあるが、目が大きく、スタイルも良い。
「ハァ・・・・早く、新しい彼氏を見つけないとねぇ。彼は最後に認知症になって、私のことがわからなくなったままこの前死んじゃったし・・・・」
女性がスマートフォンを出し、撮影した画像を一つずつスクロールしていく。
「孝之と海岸でデート」、「孝之が祝ってくれた私の200回目の誕生日」、「孝之と病室で」・・・・・
小鳥遊真樹子がスマートフォンをポケットに入れた。
真樹子が居酒屋のオーナーに話かける。
「ねぇ、武坊。いや、オーナー。」
「ん?何です?」
「どっかの世界に違う性別の私とかいないかしらねぇ。そんで私と同じくらい長生きするとかさぁ。」
「真樹子姉さんの一族は、超長生きですもんね。私も子供のころから遊んでもらってましたけど、もう40年前ですし。ほら、40年前の写真。」
居酒屋のオーナーが写真を見せると、そこには幼い5歳くらいの少年と今と全く変わらない外見の真樹子の姿が写っていた。
「あ、そうだ。これ、真樹子姉さんに。」
そう言って、オーナーは真樹子に何かの金属の立方体を見せた。
真樹子が金属の立方体をつまみ上げる。
「何?これ」
「ゴールデンキューブって言って、ちょっと珍しいものですよ。何でも願いが叶うとか。」
「どこで手に入れたの?」
「この前来たお客さんがくれたんです。何でも別の世界から来たとか言ってたけど。で、飲み食いしたのにこの世界のお金が無いから申し訳ないし、これをって」
「へ~」
「神々の遊びで作られたとか、謎の宇宙人が作り上げたとか、色々噂があるけど、どれも本当かどうかは・・・」
「うーん、うちの一族の書物に何か書かれていた文字と同じような気がしなくもないけど・・・・・・とりあえずありがと、じゃあもらっとくね。あと、飲食代、ここに置いとくわ。」
そういって真樹子は、飲食代のお金をテーブルに置き、もらったゴールデンキューブをデニムショーツのポケットの中に入れた。
店を出ると、夜風が冷たかった。
(どっかの世界にいる違う性別の私・・・・かぁ・・・・会ってみたいわね。そんで付き合っちゃうとか・・・・)
自販機でホットコーヒーを買い、取り出し口から取ろうとしたとき、デニムショーツのポケットからゴールデンキューブが転がり落ちた。
それを拾い上げた瞬間、「ニュウゥゥゥゥゥッゥン」という音がして前方の風景が歪んだ。
~・~・~・~・~・~
真樹斗が帰り道の途中で疲れて、リュックを道に下ろしてしゃがみこんだ時だった。
ポケットからゴールデンキューブが転がり落ちた。
「おっと」
拾い上げる。
(あぁ~俺も美樹たんみたいな彼女が欲しいなぁ。どっかの世界にいる違う性別の俺でもいいや。なんてね。)
次の瞬間、「ボミュゥゥゥゥゥンン」という音がして前方の風景が歪み、あるところを境界線にして目の前に夜の世界が広がった。
目の前にギャル風の女性が現れている。
しかし小柄だ。
いつの間にかゴールデンキューブを拾い上げた手は、なぜかゴールデンキューブを掌に乗せた彼女の手を持っており、
向かいにいるギャル風の女性も驚いていた。
「え、何!?どゆこと!?」
「いつまで人の手を握ってるのよ!」
ギャル風の女性からビンタを喰らう。
ここからちょっとずつイチャコラを出していきたい。