表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/11

第六部

さて、このパートの次のパートから新しい展開です。

メインディッシュです。

午後三時になり、ようやく真樹斗は目を覚ました。

頭がガンガンする。

昨日の歓迎会で飲みすぎたようだ。

夢の中でもどこかの酒場で飲んでいたような気がするが。


(リアルな夢だったな。う~頭いてぇ・・・・)


ベッドから這いずり出て、ボサボサの髪、Tシャツにトランクスといったいでたちで

トイレにいく。

そして、排尿しながら気分が悪くなり、便器に顔を向けて勢いよく吐いた。


トイレにりんごのような甘い臭いが充満する。

トイレを流し、台所の蛇口からコップに水を入れゆっくり飲む。

そしてコップを片手に冷蔵庫の中身を確認すると、野菜冷蔵室にキャベツが半玉、それにマヨネーズとソースなどしかなかった。


(バイトもやってかねーと、きついなぁ。先月の親からの仕送りももう少ししかない。)


そういってキャベツを取りだして水で洗い、包丁で半分にカットしてちぎって皿に盛った。

マヨネーズとソースを混ぜたオリジナルソースを皿の端に盛り、キャベツにそれをつけて口に運びながら今日の予定を考える。


(確か、スーパーの特売のチラシがあったよな。えーと、買うのは米と、缶詰と、えーと・・・・・・・)


ふと米を頭に思い浮かべたときに、夢の中で食べた干し肉と米のスープを思い出した。


「うーん・・・・仕送りまで後一週間くらいか。ビーフジャーキーを買って、一週間分ずつに分けて食べればいいかなぁ。確かあのスープには米と玉ねぎときのこと・・・」


キャベツを食べ終えた後、シャワーを浴びにユニットバスへいく。

そして、服を脱いでいたときのことだった。


ズボンに何か硬い感触があった。


(何だ?)


取り出してみると、それは夢の中でもらった”ゴールデンキューブ”そのものだった。

思わず目を見開く。


「え?なんでこれがここにあるんだ?誰かにもらった?」


手に乗せてマジマジと”ゴールデンキューブ”を眺める。

どこか汗のような臭いのするそれを眺めていると、ふと夢の中であったドワーフのクエヴァスじいさんの顔を思い出した。


「夢じゃ・・・・ない!?」


とりあえず高揚する気分を抑えて、シャワーを浴びて冷静になった。

今日立ち寄る予定のスーパーまでの通り道に、あの世界への入り口となった空き家があった気がする。

真樹斗は確かめるために、あの空き家を訪れることにした。


あの世界は、夢ではなかった。

ドワーフ、エルフ、ゴブリン、オーク、ミイラ男、狼男、小人・・・・

食べた料理、飲んだ酒。


興奮気味に早足で歩き続け、あの空き家の近くまで来た。


「ガシャン、メキメキ、メシャ・・・・ウィィィィィンン」


何かの破砕音が聞こえてきた。

そのまま空き家までいってみると、二台のショベルカーが空き家を潰しているところだった。

庭の方を見てみるも、木が生えていたような後の穴は見えるが引き抜かれてどこかに運ばれたらしかった。


「もう確かめようがないなぁ」

「ウィィィィィンン、ガシャン、メキメキ・・・・・」


取り壊されていく家を呆然と立ち尽くして見つめながら、真樹斗はそう思った。

手元にあるゴールデンキューブは、間違いなくあれが夢ではなかった証拠といえる。

だが、あの世界に通じる木はどこかへ運ばれてしまった。


「そうだ、近所の人なら知っているかもしれない。」


真樹斗は空き家の隣の家に話を聞きにいった。

玄関でチャイムを数回鳴らすと、50代くらいの女性が出てきた。


「あの、すいません、あの空き家に住んでいた冬彦って人のこと知りませんか?」

「あぁ、冬彦君?井上さんとこの息子さんね。あなた冬彦君の知り合い?」

「え?ああ、まあそんなもんです。」

「確か井上さんのところはご家族一緒に海外に行ってるって話よ。」

「え!?海外?」

「確か、ヨーロッパの方だったと思うけど。」

「空き家を取り壊したのはなんでなんでしょう。」

「あぁ、井上さんとこは昔からここに住んでいて、ヨーロッパに行く前は家が老朽化してるからいつか立て替えなきゃっていってたわね。

うん、たしか、今取り壊してる会社の人たちもヨーロッパからご家族が戻ってくる前に立て替えるって言ってたわ。」

「あ、あの、庭に木があったと思うんですけど、それはどちらへ?」

「よく知ってるわね。あの木・・・・そういえば、どこに持っていったのかしらねぇ。」

「あぁ、そうですか・・・・・わかりました。ありがとうございます。」


あのファンタジーの世界とこの世界をつないでいた木は、どこかへ持ち運ばれてしまい真樹斗の手元には

ファンタジーの世界でもらったゴールデンキューブだけが残っていた。


(あの時だけだったけど、何か楽しかったなぁ。)


パ・シェイラの店内の雰囲気を思い出し、懐かしむ。

陽気な音楽、美味い料理に酒、ファンタジーの世界のエルフ、ドワーフ、オーク、ゴブリン・・・・・

真樹斗はしょんぼりしながら、とぼとぼとスーパーへ買い物に向かった。


次パートからヒロイン登場かな・・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ