表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
羅山 自作漢詩集  作者: 羅山
2/3

羅山 自作漢詩集

「霜降野」


晨光燦燦霜降野

晨光(しんこう)燦燦たり霜降の野〉

寒寒烈烈長残夜

〈寒寒烈烈にして長く夜を残す〉

我聞歳月不待人

〈我聞く「歳月人を待たず」と〉

而春風到未触也

〈而して春風の到り未だ触れざるなり〉


※「晨光」:早朝に輝く太陽の光。


【意】

朝日が霜の降りた野原を燦々と照らしている

風は冷たく夜の寒さをまだ残している

「歳月というものは人を待たずに、すぐに過ぎ去ってしまうものだ」と聞いているが

春の風の訪れは遅く、その暖かさに私はまだ触れていない




「旒鯉」


旒鯉揚揚舞

旒鯉(りゅうり)揚揚として舞い〉

彩鱗泳青白

〈彩鱗青白に泳ぐ〉

遊雲際飛燕

〈雲際に遊ぶは飛燕〉

独居楽相睦

〈独居して相睦むるを楽しむ〉


※「旒鯉」:「旒」はふきながしのこと。「旒鯉」でこいのぼり。


【意】

鯉のぼりが勢いよく舞い

色取り取りの鱗が、空の青と雲の白を背景に泳いでいる

その雲際には燕が遊び

私は一人たたずんで鯉と燕が睦まじく飛ぶ様子を楽しんでいる




「来薫風」


春嵐過散花

〈春嵐過ぎて花を散らし〉

春眠覚散夢

〈春眠覚めて夢を散らす〉

新緑季五月

〈新緑の(とき)なる五月〉

夭夭奔薫風

夭夭(ようよう)として薫風を奔らす〉


※「夭夭」:花や草木の芽が出たばかりで若若しいさま。


【意】

春の嵐が吹き去って花を散らしてしまい

その驚きに春の夢心地とした眠りから目覚めた

季節は新緑の五月を迎え

若々しい初夏の風が力強く吹いていく




「藤」


藤花揺揺蓋目上

〈藤花揺揺として目上を蓋い〉

紫香芬芬降睫帳

〈紫香芬芬(ふんぷん)として睫帳(しょうちょう)に降る〉

蹻足折心声謐平

蹻足(きょうそく)折れれば心声謐にして平らか〉

愁眉開清風喨喨

〈愁眉は開かれ清風は喨喨(りょうりょう)たり〉


※「芬芬」:ぷんぷんとよいかおりがたちのぼるさま。

 「睫帳」:長い睫毛が(とばり)のように伸びているさま。

 「蹻足」:かかとをあげてつまさきだつさま。


【意】

藤の花が視界を覆うように揺れ

その紫の花が芳しい香りを睫毛に掛かるかのように降らせてくる

爪先立った私の心は折れてその声は静謐に落ち着き

悩み事も消えて清らかな風が澄み切った音となって吹いている




「擬狂人」


叫叫夜酌嘆

〈叫叫たる夜酌の嘆〉

狂狂笑落魄

〈狂狂として落魄を笑う〉

影寄擬狂人

〈影寄りて狂人を擬せば〉

彷徨遊酔躄

〈彷徨して酔躄(すいへき)に遊ぶ〉


※「酔躄」:酔っ払い、足が萎えて歩けないさま。


【意】

夜に酒を飲みながら叫ぶように嘆き

身の落ちぶれを狂ったように笑う

影が心に忍び寄り狂人のふりをしてみれば

ふらふらと千鳥足になってあちこちを彷徨っている




「驟雨」


黒雲覆夕映

〈黒雲、夕映(せきえい)を覆い〉

霹靂招驟雨

霹靂(へきれき)驟雨(しゅうう)を招く〉

煙煙帰路断

〈煙煙として帰路は断たれ〉

軒人何須数

軒人(けんじん)何ぞ数えるを(もち)いん〉


※「夕映」:夕焼けのこと。

 「霹靂」:雷が急に鳴り響くこと。

 「驟雨」:にわか雨のこと。


【意】

黒い雲が夕焼けの空を覆い

雷が鳴るとにわか雨が降り出した

雨は煙のように降り、帰り道はふさがれてしまい

軒下に雨宿りする人が、そこかしこにたくさんいる

詩作は思い付きなので、次回の更新があるかは不明……。

ゲリラ的に更新される可能性もあるので、よろしく!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ