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果て無き少女等に、大いなる洗礼を  作者: 名仮
第一章 人界編
2/6

第二話 運命が交わった日

???「…これ大丈夫なの?

普通の人間だったら死んでると思うんだけど……」


???「大丈夫大丈夫。

俺に反応した時点で"対象者"なのは確定なんだからよ。それに……」


???「それに?」


???「この程度で死ぬんだったら…

別にいらないかなって」





───────────────────────





黒い夢を見……いや、これ夢じゃないな。

意識が朦朧とする中、"綾愛"は目覚めた。


(ここは…公園?…のベンチかな…ついに私も浮浪者の方々の仲間入りかな……)




世界を照らすものはこの周辺では街灯と月明かりのみである事から時刻は夜なのだろう。



なにがどうしてこうなったのか全く見当もつかないのだが、

とりあえずいつの間にかベンチに横になっていたようだ。


前後の状況がいまいちつかめない…記憶が混濁してるみたいだ



(…ん?、でもベンチにしては頭の部分がやけに柔らかいような……)



???「やっと起きましたか…随分なお寝坊さんですね、あなたは」


上からやけに可愛らしい声が聞こえた。

未だぼんやりとする意識と視界の中、

声のした方へと視線を向けると…


…そこには絵に描いたような美少女がこちらを覗き込んでいた。



髪色は茶色

髪型はあまり知識はないがおそらくウルフカット…というものなのだろう。


体格はかなり小柄で童顔。

年齢はおそらく年下なのではないだろうか。



綾愛「…かわいいね」



ふと言葉が漏れ出てしまった。



???「開口一番言うことがそれって……

もしかしてナンパ目的だったんですか?

…まぁ嬉しくないと言ったら嘘になりますが」



ジト目になったり照れたり、

表情豊かで忙しそうな子だなぁ…

……って、あれ?これ普通にヤバくないか…?



意識がやっと戻ってきたのか、

綾愛の中の陰キャが呼び覚まされる。



綾愛「あっ、すいません、変なこと言って…

すぐ避けます…」


すっと起き上がりベンチに座り直す。



???「あっ、…別に避けなくても良かったのに……(ボソッ」



そう呟いた美少女の言葉を、

いまの綾愛には受け止める余裕がなかった。



(ヤバいって、このレベルで可愛くてしかも初対面の相手に膝枕かますような子なんて絶対陽キャ。やばい、怖い。)



???(どうしたんだろ…なんか変なこと言っちゃったかな?)



いきなり人が変わったように挙動が変わった綾愛を見てちょっと困惑しながらも、

そうじゃなかったと頭を振る美少女。



???「…あ!そういえば自己紹介がまだでしたね」



そして突然立ち上がった後、

綾愛の前に立ち恭しくお辞儀をしながらこう告げた。



エクセリア「私の名前は"エクセリア"。

"エクセリア・アルカディア"です。

エリアでもセリアでも、気軽に呼んでください!」



実に恭しく…品のある所作であった


一朝一夕で身につくものではないのだろう


どこかの貴族…お姫様なのだろうか?

そもそも名前からして外国人なのか?


色々な疑問が生まれた事だろう。


だが、綾愛の頭を一番に占領したのは…



綾愛「綺麗……」



ただただその少女の立ち居振る舞い…

その風格に見惚れていた。



エクセリア「…あなた、よく人に天然って言われませんか?…まぁ別にいいですけど、

ありがとうございます」



身を捩り、

こちらを半眼で見やる彼女の顔は可愛らしい



エクセリア「それで、

あなたの名前はなんていうんですか?」


隣に座り直すエクセリア。



綾愛「…あぁ、そうだね…いやそうですね。

…私も今のやったほうがいいですかね?」



エクセリア「馬鹿にしてるんですか?

普通でいいですよ普通で、

私はもう癖みたいなものなのでやらないとしっくりこないんです」



プイッとそっぽを向く彼女。



綾愛(いちいち可愛いなこの子)



エクセリア「あと、敬語要らないですよ」



その言葉に綾愛は…もとい陰キャはドキリときてしまう。



綾愛(うっ…初対面の相手にタメ口だなんて…

敬語は陰キャにとっての防壁のようなものなのに……くぅぅ…)



綾愛「…まぁ分かった。ならそっちも外してよ。

私だけなんて変だし」



脳内で文句を言いながらも了承の意を伝え、

それだけでは終わらせぬと…

ならば道連れと言わんばかりに…

彼女には通用しないであろうことは火を見るよりも明らかな一手を打つ。



エクセリア「私はこっちのほうがしっくりくるんで外しませんよ」



自身の口撃をあっさりと無効化されてしまった綾愛。

しかしそれに異を唱えることなど断じて出来る筈もない。



綾愛「まぁいいけど…私の名前は"天織綾愛"

呼びやすい方で呼んで"リア"」



リア「良い名前ですね。では"綾愛"と…

…ってなんでリアなんですか?」



そう問うた"リア"に綾愛はイタズラっぽい表情を浮かべこう告げる。



綾愛「私、わざわざ選択肢を出されるとどうしても第3の択を選びたくなっちゃうんだよね(ニヤ」



リア「全く…変な人ですね、貴方は」



呆れ混じりに笑いながらそう呟く彼女に、

内心"してやったり"とほくそ笑む……



つもりだったのだが、

綾愛はただただ彼女の可愛さに心が持っていかれていた。



綾愛(なんだこの人めっちゃ可愛いんだけど。

しかもなんかめっちゃ喋りやすいし…

これが陽キャか!

これが陽キャという生き物なのか!)



リア「さっ…自己紹介は終わったことですし、そろそろ本題に入りましょう。」


すっかり忘れていた。

久しぶりに交わしたまともな会話が楽しく、

また彼女の可愛さによって脱線していたが、

そもそも何がどうなっているのか全く分かっていないこの状況。


綾愛は思考を戻す。



綾愛「…とはいっても、私も何がなんだかよくわかってないんだよね…

そっち先でいいかな?もしかしたら何か分かるかもしれないし」



リア「わかりました…って言っても特に改まって説明するほどでもないんですが…」



一呼吸を置いて、リアが事の顛末を説明する。




リア「私がこの辺…

えぇと…"京都"を散策してたら突然綾愛が上空から降ってきて…

なんとか受け止めはしたんですけど当の本人が気を失ってて何これ~?…てのが簡単な流れですかね」



んーー余計意味がわからなくなった。

だけど、まぁとりあえず自分の状況も説明して二人で照らし合わせるしかないんだろうなぁ…

答えは出なさそうだけど…


そう悟り…綾愛は事の顛末を説明する。






───────────────






リア「…なるほど…変な夢…

そしてそこに出てきた少女が現実に現れ…

近づいたら激痛……目が覚めたらここ……」



困り顔のリア。

そりゃそうだろう、

こんな突拍子のない話をされて答えを出してこれるはずがない。



リア「まぁ原因は分かりませんが…なんとなくは予想がつきますね。」



綾愛「まぁ…さすがに厳しい…えっ?マジ!?」



予想外の答えが返ってきた。



リア「えぇ、まぁ。そんな答えってほどではないですがおそらく…いやほぼ確実にその人物は"能力者"ですね。」



予想外がもう一つ増えるような答えを返され、

困惑が重なる綾愛。



綾愛「能力者って…ネットとかではよく聞くけど、

ほぼ都市伝説みたいなものでしょ?実在するの?」


私の発言に対し、リアの表情が不思議なものを見たようなものに変わる



が、勝手に納得したのかまたすぐに変わった



リア「全然いますよ。

この国だけでも現在百人近くはいるはずです。

まぁこの世界…いや、この辺の能力者は基本的に表に顔を出さない傾向にあるらしいので知らなくても無理はありませんね。

あぁ、あと一応私も能力者ですよ」



予想外が重なり過ぎると人間の脳は一時停止するらしい。


なんかもうよく分からなくて何でもよくなってしまいそうだ。



リア「今話したことが全てなら綾愛はよく分からない能力者に狙われた可能性が高いですね。

ご愁傷さまです。」


綾愛「えぇ…どうしたらいいと思います?リア先生」


リア「相手はおそらく

"幻惑系" "呪術系"のどちらか一つと、

"転移系"の能力の2種持ちだと思いますが…

どれにしても、

この国レベルの能力者がそれだけの長距離転移後に生死の確認なんて出来るとは思えないので、

狙った理由によりますけど多分大丈夫じゃないですかね?多分」


綾愛「適当ですね」


リア「まぁ確定できるようなことは何も言えませんからね。生徒。」



それでも私だけでは絶対にここまで持ってくることは出来なかったのでかなりありがたい。



綾愛(なんか凄い大事な事サラッと言ってた気がするけど……まぁ良いか…なんかもう考えるのやだ)



完全に疲弊モードに入り思考を放棄する綾愛。


それでもやはりリアに助けられたのは事実である。

その礼くらいはしなければ。



綾愛「なんか…今思い返すと本当リアに助けられてばっかりだな。

ありがとうございます、本当に…」


感謝の意をしっかり伝えるべく、丁寧に頭を下げる。


リア「…感謝の言葉も勿論嬉しいですが…

謝意というのは行動で示すものですよ天織さん?」


綾愛(わざとらしく苗字で…いいだろう、乗ってあげよう)


綾愛「…なるほど、では何をお求めで?」


待ってましたと言わんばかりの表情で…

上目遣いの形で一つのお願いをリアは提示する。



リア「お金ないから今晩の宿用意してほしいな」





───────────────────



よく思い返してほしい。

私は今右も左も分からぬ未開の地"京都"にいるのだ。

人生この方地元である田舎から出たこともない私が宿探しなどそう上手くいくはずがない。


そんな私が必死こいて何とか見つけたのが……



リア「綾愛!京都のベッドってデカいうえにめっちゃふかふかなんですね!」



性と生が混濁する魔境"ラブホテル"だった。


綾愛「見た目中学生と高校生でも入れるんだなぁ………なんか罪悪感」


小一時間ほど歩き回りやっと見つけ、

入った後にそこがラブホテルということを知り、

しかし今から他のを探す気力もなかった為心臓バクバクでチェックインし…というのがこれまでの経緯である。


綾愛(そういえばスマホと財布…なぜかポケットに入ってたな。バ先のスタッフルームに置いてたはずなんだけど……まぁ何でもいいや疲れた)


時刻は既に3時を回ろうとしていた。

今日一日だけで色々あり過ぎで疲労困憊の綾愛は、

とりあえず家族からの連絡の確認が怖いためスマホの電源を落としてベッドに横になる。


綾愛(朝帰りはおろか、

遅くとも10時には家に帰るほどの優等生だったからな私…まぁ朝帰りすらできるかわからんけど)


疲れた。ひたすらに疲れた。

眠ろうと思い電気を消そうと思ったのだが、

未だにベッドの上にてご機嫌の様子で跳ねているリアを思い出す。


綾愛「もうリア、まだ跳ねてたの?

テンション上がってるのは分かるけど何歳よ…

…いや中学生なんてそんなもんか…」


その後"私も別に変わらないか"と続けようとしていた時、リアから返事があった。


リア「えっと…日本で言うと…17歳ですよ」


綾愛「えっ!?17ってことは私と同い年!?

全然見えないんだけど!?」


正直今日一びっくりしたかもしれない。


リア「それは見た目がって意味ですか?

それとも行動がですか?…どっちにしても癇に障りますけど…(ムス」


かなり不機嫌になってしまった。

明らかな地雷だったのだろう…素直に謝ろう。


綾愛「ごめんごめん、良い意味で言いたかったのよ」


リア「…しっくりきませんがまぁ許しましょう…私に対してのちびなどの言葉は地雷なので以後気をつけてくださいね」


綾愛「肝に銘じておきます。

…ではリアさんそろそろ電気を消して寝ませんか?私はもう疲れました」


リア「…もう少し綾愛と話したかったけど…

まぁ良いですよ許可します」


綾愛「ありがとうございます。では」


リモコン式の為、

音もなく明かりが消える。


…………


………


リア「…なんかこういうの良いですね。テンション上がります(ムフゥ」


言葉通りの楽しそうな声音でリアが呟く。


大きいとはいえ、やはり同じベットの上に2人は少し気恥ずかしい。


綾愛「気持ちは分かるけどもう寝るからね」


リア「…はぁい……」


………


シーツのこすれる音がする。

ベットの重心が少しづつこちら側に移動している?

…もしかして……


気づいた時にはリアは既に私のすぐそばまで来ていた。


綾愛「ちょっ…なにして…」


リア「近くで寝たほうがなんか楽しくないですか?…それに…綾愛が近くにいると落ち着くんですよ……」


可愛らしい声がすぐそばで囁かれる。

呼吸音が鮮明に聞こえるほどの距離に彼女がいると思うと、自然と心臓の動きが速くなる……


って、


綾愛(何考えてんだ私!?

ただでさえさっき出会ったばかりの上に相手は女の子だぞ!?

私にそんな趣味はないはずだし…

これが陰キャ特有のすぐ勘違いしてしまうあれなのか!?同性で発動するなんて私はなんてチョロいんだ…)


頭のなかでパニックになりながらも、

ポーカーフェイスを崩さないように虚勢を張る綾愛。


綾愛「…そう…まぁ…良いけど、別に…

てか、速く寝るよ…おやすみ」


リア「ん…おやすみ」


やっと寝れる…そう安堵した綾愛に、

リアがまたもや爆弾を投下する。


リア「…あんまり私が可愛いからって…

寝込み襲っちゃダメですからね?」


綾愛「っ…!?もぉ!!速く寝て!!」






───────────────────────




…身体が熱い。くらくらする。

意識が朦朧としたなか目が覚めた。


綾愛(なにこれ…なんか、もんもんとする…)


身体が勝手に隣で寝ている少女へと手を伸ばし、覆いかぶさるような体勢をとる。


…理性が一枚ずつ剥がされていくような感覚を覚える


綾愛(…何してるんだろう…わたし…でも、もういいや……我慢できない…)


理性を手放し、彼女に自身の全てを委ねようとした時…

一つの声が部屋に通っていく。



リア「もお…ほんとにやってどうするんですか…

このケダモノ……ちょっと待ってくださいね」


そういってリアは自身の首につけていたペンダントを外し、枕元のわかりやすい位置に置く。


リア「…よし、…はいどうぞ、抱きついて良いですよ」


よしをされた犬のように…

まさにケダモノの如く彼女を強く、強く抱きしめる。


顔が熱い。今この瞬間にも全てをかなぐり捨てて、

本能のままに彼女を喰らいたい。


そのとき…

彼女から私を抱き返し、

その可愛らしく小さな顔を…私の耳のすぐそばに寄せてくる。


リア「本当にどうしようもない人ですね。

…良いですよ…あなたのその欲望…私が全部受け止めて…解消してあげます」


囁く。


リア「……それじゃあ……"いただきます"」


そう囁き、リアが綾愛の首元に


カプリ


と噛みつき、

これまでとはまた違う声音でこう囁やく。



『例外』───エグゼプション──



 







──────────────────────

リア「…で、屋内と屋外…どっちにいるんですか?」


暗く静寂の空間にリアが言葉を投げる


???「よく気付いたな、そのまま二人で仲良くしていればよかったのに」


窓の外に隠れていた存在が、

音もなく窓を破壊してその姿を表した


リア「あいにく、はじめてをこのような形で失うのはロマンチックではないので…

それで…あなたの目的は私ですよね?

こんな事しなくても私直々に行ってあげますよ」


???「それはありがたい…が、半分正解で半分不正解だ、狙いはお前じゃなく…お前ら二人だ。

そいつも連れてこい」


リア「じゃあだめですね、

あなたのような下郎では二人どころか私一人エスコートすることも出来ない。

…それでも二人でというのなら逃げますけどよろしいですか?」


???「チッ…めんどくせぇガキだ…分かったそれで良い。ついて来い」


リア「話が早くて助かりますね。

おかげで予定よりも寝る時間が長く取れそうです。」


リアは再度眠った綾愛が起きないようゆっくり寄せ、

静かにベットをあとにする。


そして自身の置いたペンダントと綾愛交互に一瞥した後…呟く。


リア「…行ってきます」


その言葉一つだけが部屋に響き…沈んでいった。





 












─────────────────


名前・エクセリア・アルカディア

性別・女

年齢・17

身長・147cm

種族・不明

所属・不明

能力・不明


備考

茶髪にウルフカットの童顔少女。

赤眼。

絶壁。見た目は中学生程度。

敬語キャラ。

外国人?

いいとこの貴族?

能力者。

本作の主人公の一人。















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