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スキゾイド創作大賞

そのうち「スキゾイド創作大賞」みたいなものができてもおかしくないと思う。

年間発表のあらゆる作品──漫画、アニメ、小説、映画、ドラマ──からノミネートを集め、複数のスキゾイドが静かに五段階評価をつける。

「情熱」「感動」「社会的意義」などの項目は存在しない。あるのは「整合性」「構造美」「無理のなさ」「感情の抑制」「世界観の自立性」だけだ。


最高得点を取った作品には、大賞を“勝手に”授与する。副賞はもちろんない。授賞式も開かれない。せいぜい、ネットの片隅にひっそりと「スキゾイド推薦作品」としてリストアップされるだけだ。


しかし、そのリストを見たスキゾイドの子供たちは、きっと安心するだろう。

「この作品は、理屈が通っているらしい」と。

そして、そういう作品こそが、彼らにとって最良の“感情教育”になるのだと思う。


一般的な感動作品が「涙を流す練習」だとすれば、スキゾイド創作大賞の候補作は「考えることを休む練習」である。

作品の中で論理が閉じ、世界が自律しているとき、スキゾイドはようやく安心して沈黙できる。


だから、この大賞は実際に存在していなくてもいい。

誰かが勝手に心の中で選び、静かに「今年の一作」を決めればそれで十分だ。



この賞が本領を発揮するのは、おそらくミステリやサスペンスだろうと思う。

推理ものというのは、感情よりもまず理屈が優先される世界だ。

犯人の動機よりもトリックの構造、涙よりも伏線の整合性。

物語の終盤に「そう来たか」と頭の中の点と点がつながる瞬間、スキゾイドは心の中で拍手を送る。外ではしない。静かに、無表情のまま。


ミステリには、“論理の世界で生きるキャラクターたち”という安心感がある。

彼らは余計な感情に振り回されず、状況を分析し、矛盾を排除し、最も合理的な結論を導き出す。スキゾイドにとって、それは一種の理想的社会である。


一方、恋愛ドラマやヒューマン系の作品では、「なぜこの人物はそんな行動を?」という疑問がしばしば生まれる。そこに論理的説明がないと、もう没入できない。

その点、ミステリは裏切らない。論理を裏切った瞬間に作品が崩壊するジャンルだからだ。


つまり、「スキゾイド創作大賞」は、感動よりも構造に快楽を見出す人々による、静かなトリック愛好会でもある。

年間大賞の常連は、おそらく東野圭吾、綾辻行人、あるいはアニメなら『名探偵コナン』『PSYCHO-PASS』、『DEATH NOTE』あたりがノミネートされるだろう。

どれも、世界観と論理が破綻していない。


結局、スキゾイドにとって“謎を解く”とは、“矛盾を消す”ことであり、それがすなわち安息でもある。

だからミステリを読む時間は、現実の不整合を忘れるための一種の治療行為なのだ。

……つまり、論理的セラピーである。

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