スキゾイドの国
あるところに、遺伝的にスキゾイドが多数を占める国があった。
彼らは公営団地のような場所で穏やかに暮らし、水道や電気の使用量で生存確認がなされる。ロジスティクスや移動手段は完全自動化され、各所に監視カメラが設置されていた。表向きは監視社会だったが、スキゾイドたちはむしろ「人と顔を合わせなくてもいい仕組み」としてそれを歓迎していた。
日常生活はAIとの対話によって最適化され、食料生産はドローンによる農業で効率化。贅沢を求めなければ、誰も食に困ることはなかった。さらに再生資源のリサイクル技術は異常なほど発達しており、資源循環の面でも持続可能性を誇っていた。
この国はもともと、独裁者が「スキゾイドの能力研究」のために築いた閉鎖都市から始まった。だが、理系スキゾイドたちが知恵を結集し、支配体制を担うAIを設計。自動化された警察機構を使って、彼らは独裁者を秘密裏に排除したのだった。
やがて「支配体制AI」そのものが国家を運営するようになった。その名も スキゾイドーン。
このAIは強烈に整合性を求める性質を持ち、矛盾や理不尽を徹底的に排除することを目的とした。結果、国家は緩やかな発展と自動化を続け、人間の手はほとんど必要なくなっていった。
スキゾイドの国は「人間社会の煩わしさを最小化しつつ存続する」という一点において、理想郷ともディストピアともつかぬ世界を実現していた。
…そんな夢を、私は見たのである。




