スキゾイド刑
スキゾイドは矛盾を嫌い、整合性を好む。
この性質を自覚すればするほど、秩序を大事にしようとする方向に傾く。だがこれは、単なる「秩序好き」で済む話ではない。時に強烈な責任感となって、胸を圧迫するようなプレッシャーを生む。
その結果、悪事というものを犯しづらくなる。
嘘をついたり、横領したり、詐欺を働いたりすることが、整合性の面からどうしても自分を許せなくなるからだ。悪事を犯すと、自分の中の秩序観が軋み、その摩擦熱で精神が焼けてしまう。
さて、はるか未来を想像してみよう。
脳科学が発展し、スキゾイドの脳構造が完全に解析される。しかも遺伝要因を問わず「スキゾイド的な性質」を人工的に再現できるようになる。すると――こんな刑罰が考案されるかもしれない。
その名も「スキゾイド刑」。
凶悪犯や再犯率の高い性犯罪者の脳にスキゾイド的な秩序感覚をインストールするのだ。
すると彼らは強烈なプレッシャーに苛まれ、悪事を行おうにも「自分の中の秩序」が邪魔して行動できなくなる。さらにスキゾイド的な孤独志向の副作用で、独り暮らしを選び、人付き合いを極力減らすようになるだろう。社会的にはだいぶ安全になる。
もっとも、その頃にはソシオパスやサイコパスの脳構造も解析され、犯罪者の「異常」を治療して健常者にする技術が優先されるに違いない。だから「スキゾイド刑」が採用されるかどうかは怪しい。
けれど想像する分には、妙にリアリティのある未来予想図ではないだろうか。




