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スキゾイドとぽっくり地蔵

独居老人予備軍、かつ孤独死を運命づけられるスキゾイドは、いかに自己管理を頑張ろうとも細胞分裂の限界がある以上、やがて死を迎える。そのとき、彼らにもやはり人並みに「死の恐怖」が存在する。


だからこそ、「苦しまずに死にたい」という願いが生まれる。脳卒中や脳梗塞のように、眠るように息絶える死にざまを羨む心情は、スキゾイドに限らず多くの人に共通するものだろう。しかしスキゾイドにとってそれは切実だ。なぜなら、彼らは人間関係を避け、支え合いを自ら断ち切って生きているからだ。


そのとき、信仰の対象となりうるのが「ぽっくり地蔵」である。


◆ぽっくり地蔵とは


ぽっくり地蔵とは、病気や長患いに苦しまず、「ぽっくり」と楽に死ねるように願う対象として信仰されてきた地蔵菩薩のこと。特に高齢者に人気があり、日本各地の寺院に「ぽっくり寺」「ぴんぴんころり地蔵」などの形で祀られている。

「ぴんぴん(元気に生きて)、ころり(苦しまず死ぬ)」という理想の生き方・死に方を象徴している。


◆ムカサリ絵馬とは


一方、死後の「孤独」を埋めるための民俗として、山形県を中心に伝わる「ムカサリ絵馬」がある。

ムカサリ絵馬とは、未婚のまま亡くなった者のために「絵馬に仮想の結婚式の絵を描き、観音堂に奉納する」風習。亡者の魂を慰め、この世で果たせなかった婚姻をあの世で叶えさせる願掛けである。


◆スキゾイドの場合


スキゾイドの多くは未婚で亡くなる可能性が高い。

そう考えると、死後の婚活としてムカサリ絵馬は彼らにとってリアリティのある慰めになりうる。

しかも現代ならば、AIを用いて「本人と理想のパートナーの姿」を絵馬化し、観音堂に奉納することも可能だろう。


つまり、スキゾイド的な死の理想はこうだ。


生きている間は、ぽっくり地蔵に願をかける

→ 苦しまず、眠るように死にたい。


死後は、ムカサリ絵馬で婚姻を果たす

→ 孤独のままではなく、形式的にでも「誰かと結ばれる」という形で魂を慰める。


◆まとめ


スキゾイドは、人間関係を築けないがゆえに、死の瞬間にも「他人に迷惑をかけたくない」と願う。

その意味で、ぽっくり地蔵は「孤独死の理想の守護神」として信仰対象となりうる。

そして死後は、ムカサリ絵馬によって「生涯の孤独を超えた形」を得ることができるかもしれない。


孤独を宿命とするスキゾイドにとって、死のあり方を民俗信仰とつなげることは、最後のライフハックなのだ。

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