〇〇〇○〇〇・〇○〇〇○〇○〇〇と〇〇〇〇の談話
夜、未来都市は闇に包まれる。人口の大半を学生が占めているため、夜間に出歩く人が少なくなるからだ。このビルは、辺りに照明が一つもないため、闇に溶け込みやすい場所の一つだ。
謎の気配は、屋上から誠志がコンビニに駆け込むのを見ていた。耳に着けたインカムの奥にいる人物と話しながら。
「首尾はどうだい?」
「言いたいことはたくさんありますが…一先ず、彼と接触できました」
「そうか、ご苦労だったな。それで、言いたいこととは?」
「はぁ…彼は…超能力者じゃないんですか?この世界に必要だから、呼んだんですよね?」
「…なるほど、そういう認識か…」
「そういう認識?ということは…」
「あぁ、蒼井誠志は間違いなく超能力を持っている。しかしだね、なんというか…少々特殊なんだ」
「それが、彼をこの世界に呼んだ理由…なんですね」
「そうだ。それで、言いたいことはそれだけか?」
「いえ、まだまだあります。昨日言いそびれましたが、なんで転移の場所を誤ったんですか?そもそも、それさえなければ、ここまで足を運ぶことはなかったのに」
「それこは目を瞑ってくれ。緊急だったんだ。数秒遅れていたら、蒼井誠志を諦めざるを得なかった」
「はぁ、あなたのことはこれっぽっちも分かりませんが、未来を見ることはできないんですか?」
「見た結果がこれだよ。この世界でいえば、私は無数の可能性を見ることができる。しかし、蒼井誠志がいた世界は、こことは違う。私の力も効力をかなり失ってしまってね。数秒先が限界なんだ」
「緊急だったことは分かりましたけど、転移の場所は指定できなかったんですか?」
「効力を失っていると言っただろう。転移の力も例外ではないんだ。逆に、未来都市内に転移させられただけでも褒めてほしいくらいだよ」
「まったく…もういいですよ。残りの聞きたいことは、そちらに戻ってからにします」
「ははは、お手柔らかに頼んだよ。それよりも、蒼井誠志はあのままでよかったのかい?」
「えぇ、彼にはこのまま学生治安維持委員会に入ってもらいます。もとより、彼には僕たちの組織に入ってもらい、サポートするつもりだったので」
「確かに、未来都市は学生治安維持委員会に対してかなりの支援をしているからな。私たちのところよりも、良い環境だろう」
「まぁ、直接的な関わりがない分、今後色々と苦労しますが、そこは何とかしますよ」
「頼んだよ。それよりも、第五区画の学生治安維持委員会か…」
「その話は、長くなりそうなのでなしですよ。戻ってからにします」
「それもそうだ。もう夜も遅い、気をつけて帰ってくるように」
「まったく、誰のせいだと思って」
通話を切ると、その静寂さを再認識させられる。暗闇に溶け込んだ謎の気配は、もう誰にも認識できない。気づけば、そこには誰もいなくなっていた。




