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超醒の救世者  作者: ミライ
1章
7/22

一日の終わり

「私たち学生治安維持委員会(S M C)には、超能力者の学生に協力を依頼することができるの。その内容に応じて、報酬金も支払われるから…」

「なるほど…それなら、俺が学生治安維持委員会(S M C)に入るまでの間も金銭面で苦労しない…と」

「えぇ…でも、助けが必要になる依頼もそうそうないのよね」

「そうですね…報酬金も学生治安維持委員会(S M C)本部から支払われるので、協力が必要と承認されないと、依頼できませんし...」


 報奨金も、無限に出てくるわけではない。報奨金が給料を上回ってしまった場合、それは本末転倒だからだ。

 依頼についても、現行犯では事後承諾になってしまい、タダ働きに、最悪の場合は民間人が無理をして参入したとして、警告を受けるかもしれない。そうなれば、誠志(せいじ)学生治安維持委員会(S M C)に入るのも難しくなるだろう。


「名案だと思ったんですけど…ごめんなさい」


 莉穂(りほ)はしょんぼりとした顔で、椅子に腰かけた。ほかに案も出ず、静かな時間がかなり続いていた。

 ~♪。都市中に聞き覚えのないチャイムが鳴り響いた。


「あぁ、もうこんな時間ですか。そろそろ帰らないとですね」

「これは?」

「帰宅時間を知らせる合図みたいなものよ。未来都市は学生が多いから、合計で二回、今みたいなチャイムが鳴るの」


 時計の針は、ちょうど真反対に位置していた。愛月(まなつ)曰く、この合図は中学生用のものらしい。高校生用も別にあり、十九時になるそうだ。基本的には、このチャイムが鳴ったら家に帰らないといけなく、チャイム後二時間以内には絶対帰宅だそうだ。学生治安維持委員会(S M C)も例外ではなく、仕事がない場合はこのチャイムに従って帰宅している。


「え?!俺、帰る場所ないんですけど…公園で野宿って、できたりしますか?」

「ん~無理だと思います」

「そうね、警察に見つかったら補導は確実。補導経験があると、学生治安維持委員会(S M C)に入るのがグッと難しくなるの」

「それは、困りますね…」


 超能力者ではない誠志が、学生治安維持委員会(S M C)に入るのがただでさえ難しいのに、そこからさらに難しくなってはさすがに諦めざるを得ない。だからと言って、今の誠志に泊まるあてはない。ネットカフェなどの学生利用もまずい。この世界で知り合い、今連絡を取れる人は皆女性だ。「泊めてくれ!」とは、さすがに言えない。

 学生治安維持委員会(S M C)は、この世界で行き場のない誠志の唯一の光だ。補導されても、道が閉ざされないならば…。


「だからさ、今日はここ使って」

「え?!いいんですか?!」

「確かに!その手がありましたね」


 二人曰く、学生治安維持委員会(S M C)は学生と言えども未来都市においての重要度が高く、高校生ならば支部に泊まり込みも許可されているらしい。その際、特に申告もいらず、確認もされない。支部長の許可があれば、部外者も止まることを許されているそうだ。

 こんな権限を持っているのだから、学生治安維持委員会(S M C)の支部長の地位は未来都市においてはかなりのものであるのだろう。


「と、いうわけで…誠志、また明日来るから、留守番よろしくね!」

「そ、それでは…また明日」

「はい!任せてください!二人とも、今日は本当にありがとうございました!」


 さすがにこれ以上引き留める訳にもいかないので、一通りのことを教えてもらい、誠志は二人に帰ってもらった。二人の家の距離が分からないので、三時間の猶予があるとは言えども、遠かった場合に間に合わなかったら、申し訳ないからだ。


「さて、時間も時間だし、夕食買ってきますか」


 カレンダーを見て、日付がずれていないことは確認済みだ。今は春なので、午後七時にはもう真っ暗だ。そうなる前に、コンビニで夕食を狩ってくるつもりだ。近場のコンビニの場所は、すでに愛月から教えてもらっており、そんなに遠くないので道に迷うわけがない…はずだった。


「え~と、どこ?」


 地図が使えないとはいえ、誠志は方向音痴ではなった。近道になるような裏路地も通らなかったし、目印になる看板も教えてもらっていたので、それを頼りに歩いてきた。そして、今最後の曲がり角を曲がったところなのだが、目の前を見渡してもどこにもコンビニはなかった。それどころか、さっきまで見えていたはずの看板も、まるで始めからなかったかのように姿を消してしまった。


「あれ?詰んだ?」


 帰ろうにも、現在地が分からないので誰かに聞く必要がある。しかし、誠志の周りには現在時刻から考えても、不気味なほど人けがなかった。誠志は、異世界とも呼べるこの世界で、またしても不思議な空間に迷い込んでしまったのかもしれない。

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