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超醒の救世者  作者: ミライ
1章
22/22

覚悟 ーその1-

「"分け与える力"と"奪う力"、それが誠志(せいじ)の超能力…」


 誠志の話を聞いた愛月(まなつ)が、ポツリとそう呟いた。誠志の超能力に関しては、出鱈目、嘘つき呼ばわりされてもおかしくないものだったが、(あつむ)の件を知る愛月は始めから信じて聞いているようだった。

 数秒間、愛月は頭の中で話を整理していたのか、一言もしゃべらずにただ一点を見つめていた。そして、結論が出たのかゆっくりと口を開いた。


「ありがとう、教えてくれて」

「あ…はい…」

「どうして私に教えてくれたの?」

「それは…嘘をつきたくなかったんです。これからお世話になるかもしれない相手に、後ろめたいじゃないですか」

「そう…私以外には、まだ言ってないのよね?」

「はい、まずは霧河さんにと思って…」


 まず愛月に話す。これだけは真っ先に決めていたことだった。あの場にいた三人、愛月・萃・真緒(まお)。この人たちは、特に萃は誠志の超能力を体験しているわけで、少なからずとも話を信じてくれると思っていたからだ。ただ、萃や真緒に話してしまえば、大きな事件に巻き込みかねない。だからこそ、まず愛月に話すことにしたのだ。

 誠志のその判断は正しい。そもそも、誠志は傍から見ればどこから来たかもわからないぽっと出の人間。愛月の調べで、他の区画で山の崩落に巻き込まれたということになっていることは分かってはいるが、それの方が信じられない話だろう。愛月も信じているかは怪しいところではあるが、それでもほかの人と比べたらまだマシな方だった。


「…いい?この話は、誠志が学生治安維持委員会(S M C)に入るまで誰にも言っちゃだめよ?」

「分かりました。でも、試験の時超能力無しは厳しくないですか?」

「それもそうね…」


 愛月曰く、学生治安維持委員会(S M C)の試験は超能力者ではないとほぼ不可能。特に、対人戦が厳しいと聞く。誠志の超能力があったところで、話が変わるかは分からないが、それでもあった方がマシだろう。


「わかったわ。今週の土曜日、ちょっと付き合ってくれる?」

「付き合うって…どこに?」

「誠志と似た超能力を持った人のところによ」


 そして、土曜日。誠志と雫はとある場所に来ていた。その場所とは…。


「第十三区画支部?」

「えぇ、ここに誠志に紹介したい人がいるの。さぁ、行くわよ!」


 誠志と似た超能力を持った人とは、誰なのか。第十三区画は第五区画からかなり離れた位置にあるので、こっちに来てから初めての遠出になった。そのため、今のところはワクワクの気持ちが、誠志の心にあふれていた。

 第十三区画支部は、第五区画支部と造りが違って四階建ての建物だ。そのため、一回は完全にロビーのようなものになっており、受付にも担当の学生が座っていた。


「いらっしゃいませ。霧河愛月様と、蒼井誠志様ですね。奥で、副支部長がお待ちです」


 受付の学生に連れられて、誠志と愛月は第十三支部の二階へと向かった。エレベーターもあったが、すぐ上の階なので、三人は歩いて向かった。そして、階段のすぐそばの部屋で案内が終了した。


「では」


 そう言って、受付の学生は自分の持ち場に戻っていく。取り残された、誠志と愛月は、どちらが先に入るか決めていなかったので、それを確認しようとして目が合った。とは言っても、愛月の紹介なので二人に面識はあるはずだ。まず声をかけるのは愛月であった方がいいとも思ったが、こんなところで任せてしまっては、先が思いやられると。そう思った誠志は、思い切ってドアをノックした。


「どうぞ」


 返事が聞こえたんで、誠志はゆっくりと扉を開ける。


「失礼します」


 中に入ると、そこには一人の青年が座っていた。彼が、愛月が誠志に紹介したい人で、誠志と似た超能力を持つ人。


「よく来たね」

「あなたが…」

「初めまして。僕は、学生治安維持委員会(S M C)第十三区画副支部長の北陽(ほくよう)裕哉(ゆうや)と言います」

「は、初めまして。俺は、蒼井誠志と申します」


 自己紹介をするのは、こっちに来てから何回か経験していたが、全くの初対面でそれも副支部長相手となると、いつも以上に緊張してしまう。その緊張が伝わったのか、裕哉はハンドサインで目の前の席に座るように誘導した。その指示に従って、誠志と愛月は席に着いた。


「久し振りだね、愛月」

「えぇ、定例会議いらいかしら?」

「定例会議?」


 初めて聞く単語が出てきたので、誠志は思わず反応してしまった。


「定例会議は、学生治安維持委員会(S M C)の各支部長が本部に集まって行う会議のことよ。だいたい月一であるから…最後にあったのは三月かしらね」

「あぁ。うちの支部長(ひめさま)は日に弱くてね。代わりにいつも、僕出てるんだ。今日も、仮眠室でぐっすり寝てるよ」


 裕哉は副支部長。もちろん、第十三区画支部にも支部長はいる。どんな人物なのかは、今日だけではわかりそうもない。

 もちろん、今日誠志たちが来た目的はそれではない。話が少しずつそれていたので、軌道修正を裕哉が行った。


「さてと…だ。さっそく、本題に入ろう。誠志、君は僕に何を聞きたいんだい?」


 誠志が聞くのは、自分が何をすべきか。どう、超能力と向き合うかだ。その答えを見つけるために、誠志は勇気をもって口を開き、自身の超能力について話し始めた。

北陽裕哉が活躍する、『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』もよろしくお願いします

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