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君と

あの卒業配信から一週間。

まだネットでは騒がれている。


ういちゃん卒業したの悲しい。

世界一のVが消えた。世の中はどうなってしまうのだろう。

など。


もちろんアンチはアンチをしている。

でも私は少し嬉しくなった。


星田ういはこれほどみんなから知られていたのだと。

あらためて実感した。



これから私は普通の高校生として過ごす。


勉強して、遊んで、恋して、青春する。

JKになる。


今からなれるのかは知らないが、努力は無駄にならないと言うだろう。


努力すればなんとかなる。

きっと。



「らいかちゃん、ういちゃん卒業しちゃったね。」

「らしいね。」


またういの話だ。


「まじで悲しいよね。もう歌枠見れないんだよ?私の生きがいがぁー!」



「チャンネル消されてないし、よくない?」



ついカッとなって言ってしまった。

ういが好かれてるのは嬉しい。


でも私は、悲しい悲しい言ってほしくない。

たまに思い出してくれればそれでいい。


そう思って君に届けって言ったのに。

何も届いてないじゃないか。


「は?なにそれひどくない?」


「人の気持ち考えようとかないの?」


「ういは悲しいって騒いでほしくないって思いで君に届けって言ったの。みんなのほうがひとの気持ち考えてないとおもうんだけど。」


「うざいんですけどー。そんなのういちゃんにしかわからなくない?」


「ういちゃんじゃないくせによく言えるよね。w」


いきなり口が悪くなった。

なんなんだこいつら。


「私星田ういなんだけど。」


「は?嘘すぎてウケるーw」

「歌えないくせにーw」


キャハハと笑う。


「みんなぁー!ちゅーもくー!らいかが、私、星田ういとか意味不明なこと言ってまーす!」


クラスのみんなが笑う。


あぁ、やっちゃった。


JKになるってやつ1日目でおわっちゃった。



そのときだった。



「意味不明なのはおまえらだろ。」



いつも不真面目で嫌われているやつ、

三月ゆうたが言った。


「は?部外者は黙ってろよ。」


そんな言葉を無視して話し続ける。


「嘘なのかはしらんけどさ、らいかが歌えないって知ってるわけじゃないのに、よくそんなこと言えるよな。」


「今までカラオケ行くのも断ってたやつが歌えるわけないだろ。」


「もしかして、らいかのこと好きだからかばってんの?キモーw」


ゆうたくんは舌打ちする。

私なんかをかばわなくていいのに。



「じゃあらいか、うたってみてよ。君に届くまでを。」



は?ゆうたくんなに言ってるの?

それは無茶振りすぎる。


「どうせ下手な歌で恥かくだけでしょ?w」


またみんな笑う。

どれだけ私を馬鹿にするのが楽しいんだ。

わかったよ。

うたってやる。


「私歌う。」


みんなが驚く。

驚くなら驚け。


「やっぱ星田ういは歌うんだな。」


にこっと笑っていう。


よし、今日だけ私は星田うい。

配信のときのように歌ってやろうじゃないか。



──ちっぽけなちっぽけな声でも君はきいてくれ  ますか?


──君に届くまで私はずっと歌い続けるよ


──君に届け‼︎


──この思いこの声を歌にのせて君に伝えたいよ


──ありがとう




みんな驚いてる。

クラスのみんなも、煽ってくるあいつらも、ゆうたくんも、私も。


「どうせ、なんか仕掛けたんでしょ。なんか…今の技術でさぁ…」


私もそう思う。

星田ういはじつはいなかったとか。

私がそう言い張っていただけだとか。

信じられなかった。


しかし、どれも間違いだった。

私の喉が言っているのだ。

らいかは星田ういとして歌ったんだって。


信じるしかないのだ。



「やっぱういちゃんだったんだね!」


「生歌きけて嬉しいよ!」


さっきまで馬鹿にしてたやつらが言う。

コロコロ態度変えやがって。


「ねぇ今度遊ぼ…」


その子の手をバチンとたたいた。


「だれがお前たちと遊ぶもんか!」


そう言って教室を出る。

こんなところもう行きたくない。

勉強なんて教科書とか見れば家でもできるんだから、

行かなくていいだろう。


はぁ、すっきりした。



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