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闇に潜む黒幕
魔王城の奥深く、誰も立ち入らぬ秘密の間。
そこには古びた書物や魔法陣が散らばり、冷たい空気が漂っていた。
「すべては計画通り……」
暗がりから低く囁く声が響く。
長い黒髪をたなびかせる女――それが黒幕だった。
彼女の名はセレナ。かつて魔国の古代王族に仕え、失脚した過去を持つ。
「サティたちの盟約を破壊し、この混沌を利用するのが私の狙いだ」
セレナは冷たい微笑を浮かべ、手にした魔導書を見つめた。
「この黒霧の力で人間界も魔国も支配下に置く」
その瞬間、側近の影が現れる。
「計画は順調です。王都の大宰相アストールとも密かに手を組み、二重の策を進めています」
「ふふふ……世界は私の手の中に」
セレナの瞳が闇夜のように冷たく光った。




