揺らぐ均衡――新たな波紋
合同軍事演習の成功で一時的に勢いを増したサティたちの陣営だったが、王都の陰ではさらなる陰謀が密かに進んでいた。
「アストール様、演習の成果は確かに一部で好評です。ですが、これを利用し反発派を一掃するにはまだ不十分です」
冷静な声で側近が報告した。
「ふむ……ならば、もっと決定的な一手を打つしかないな」
アストールの目に冷たい光が宿る。
その夜、王宮の奥深くで行われた秘密会議。
そこには反発派の有力者たちが集い、静かに策を練っていた。
「リリアナに近い者たちを切り崩し、サティを孤立させるため、次は何を仕掛ける?」
一人の男が低い声で問いかける。
「密かに暗殺を計画している」
別の者が答えた。
「だが、彼女はそれを予想しているはずだ。ならば、裏をかき彼女の手駒を奪うのが最善だ」
同時に魔国内部でも動きがあった。
リリアナの反発派が密かに情報を収集し、サティの弱点を探り始めていたのだ。
サティもまた、影で動く刺客の気配を感じ取り、警戒を強めていた。
「この均衡は、決して安定していない」
サティは冷静に言った。
「次の一手を誤れば、全てが崩れる」
しかし、その不安の中に、彼女の瞳は確かな決意を宿していた。
「私はこの未来を守る。たとえどんな困難が待ち受けていようとも――」




